2022年12月に思ったこと②

●ウクライナでは、2月24日のロシアによる軍事侵攻以降、公的文書にて「ロシア」「ロシアの」と記載する際、大文字の使用が禁止されている。全て小文字のみで記載しなければいけない。
ロシア連邦の略称であるRF(Russian Fedeation)を使用する場合も同様に「РФ(大文字)」ではなく「рф(小文字)」となる。
今週、社員向け通達にて「今回のロシアによるエネルギー・インフラ関連施設に対するミサイル攻撃によって、現在、十分な電気を確保することができない状況が続いている。従い、当面自宅待機を・・・・」と記載したドラフトを弁護士に確認してもらったところ、斯かる指摘を受け私自身も初めて知った次第。
尚、理由についてなんとなく想像できたものの、念の為、聞いてみたところ、大文字の表記には常に相手へのリスペクトの念が込められており、現在そうしたリスペクトそのものが禁止されているためとのこと。

●ピックアップ・トラック
WEBの記事によると、日本のピックアップ・トラックがウクライナで活躍しているとのこと。ピックアップの荷台にMANPADS(携帯式地対空ミサイル)やATGM(対戦車誘導ミサイル)を備えることで即席の戦闘車両に変わり、悪路にも強く機動性が高いのだとの説明である。
一方で、日本政府や日本企業は軍事用途としてピックアップ・トラックを提供することはできないことから、こうしたトラックは他国からの提供になっているとの説明。
今月、韓国政府もウクライナに対して100台のピックアップ・トラック(サンヨン・ムッソー)を提供したことをリリースしている。
本来の「イノベーション」とは既存のモノに対して新しい使い方・新しいサービスを産み出すことだと言われているが、これも一種の軍事的イノベーションになっているのかもしれない。

●ウクライナ国立バレエ(=旧キエフバレエ)
10月中旬に放送されたNHK特集「ステージで、輝くいのち〜戦禍のウクライナ国立バレエ〜」にて紹介されたウクライナ国立バレエ団が今月15日に来日した。
本日17日より日本公演を開始しており、演目は「ドン・キホーテ」がメインとなっている。
「白鳥の湖」などで知られているチャイコフスキー作の演目は、ソ連時代にプロパガンダとして政治利用された経緯があるとのことから、現在、チャイコフスキーによる演目については同バレエ団では上演を見送っているとのこと。「白鳥の湖」のみならず、「くるみ割り人形」「眠れる森の美女」など有名な作品が多数ある。
尚、チャイコフスキー自身はロシア(ウラル)生まれだが、同氏の出自であるチャイカ家はウクライナのポルタバ州にあるウクライナ・コサックだったとのこと(Wikipediaより)。従い、本を正せばウクライナ由来となる。
本来的にはウクライナとロシアはとても繋がりが深い国であり、お互いを「タバリシ(同志)」と呼び合っていたが、もはや修復不可能なほど関係が拗れてしまっている。

ところで、今月5日、ロシアでは同性愛宣伝禁止法(2013年に施行された同法の改正法)が成立しているが、チャイコフスキー自身がLGBTと言われており、そうした情報も拡散されている。
チャイコフスキーは今年で死後129年。ワグナーは139年。モーツァルトに至っては231年が経っている。
遥か昔に生きた有名な作曲家たちの名前やプライバシーが、今、この戦争で利用されていることを知ったら、みな草葉の陰で嘆いているかもしれない。

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