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コロナ禍がもたらした「立地」に対するインパクト

今回は、こちらの記事を読んで、飲食店の土地の重要性を改めて実感しました。

昼間人口が都心部から居住地域である郊外部へと移動したことで、従来なら「好立地」であった都心立地の外食は大きなマイナス影響を受けている。(本文より抜粋)

という文がしめしてくれているように、郊外ではなく、中心部へ出店を主にしている企業が大きく売上にダメージを受けています。

それがどうしてなのか、コロナ禍以前のデータをみて、「立地」に注目しながら考えていきたいと思います。

・リモートによる移動の減少

こちらは2015年のデータですが、コロナ禍以前だと、東京区部の人口は昼間に非常に増加していることが分かります。(昼夜間人口比率 129.8%)

一方で、東京市部は昼間に人口が常住人口に対して少ないです。(昼夜間人口比率 91.4%)
この事実からは、多くの労働者(労働者だけではなく、通学者なども含まれています)が昼間に市部から区部へ移動しているといえるでしょう。

区部で増加した人口が、市部の減少した人口より多いのは、東京内部に限らず他県(千葉や埼玉)からも昼間に区部へ移動する人が多くいるのだと推測できます。

しかし、コロナ禍になりその移動をする人が少なくなったはずです。
オフィスに通勤するのではなく、自宅などでリモートワークをする人が増加したからです。

人の移動の減少は、食事場所の移動も意味します。
つまり、今までは中心部へ通勤し、昼・夜ご飯を食べていた人が、自宅or自宅周りで食事をするようになります。
これは、外食業界の売上に大きなインパクトでしょう。

・どのくらいのインパクトなのか

令和1年から2年にかけてテレワーカーの人口が全就業者の10%増加したということなので、これを使ってどのくらいのインパクトなのか推測してみます。
ランチ限定で推測します。
2015年の区部の昼間人口ー常住人口=2,760,852人より、2,760,852×10%=27万人。つまり、27万人がコロナ禍になってリモートワークで区部に通勤しなくなったとします。(労働者以外は今回は考えません)
27万の内、65%が弁当持参ではないとすると、27×0.65=17.55万人
1人あたりのランチ代が570円だとすると、570円×17.55万=約1億円。

以上より、コロナ禍になって、区部でランチ代として支払われるお金が1日当たり1億円減ったことが推測されました。
非常に大きな数字ですね。

・最後に

以上のようにここまで書いてきましたが、「こんなこと知ってるよ」という方も多いと思います。

ただ、飲食店の売上に関わる変数の中でも「立地」は、ここまで大きく変わることが珍しい変数のはずです。
以前であれば、人が多い都市に店舗を出すことがとりあえず、客数の確保には一番手っ取り早い、そういう印象だったかもしれませんが、そうではなくなりつつあります。
もちろん、コロナが落ち着けばどうなるかは分かりませんが、当たり前の認識が大きく変わっていく瞬間は、その原因を強く理解することが大切なのだと、改めて実感しています。

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