【資料】ゲームプロデューサーは現実と夢を見る。ゲームを企画する前から考えていること。販売予測シートも公開
ゲーム制作者の多くは作りたいものを作るところから始める人が多いかもしれない。
それで全然いいと思うし、むしろそれこそモチベーションMAXで取り組めるよね。
でも私の場合は少し違う。
もちろんやりたいことから始めることもある。
でも、ある企業からの命題が与えられたり、タスクがある前提からの仕事を始めることが多いので、どうしても収支と利益が求められることが多い。
そこで今回は、私が普段、ゲームを作る時、どういうところから考え始めるのか?という観点で、企画を考えると同時に行う、マーケティングと数字を意識した資料を少し公開したいと思います。
まぁ資料の数字はダミーではありますが、実際にこういうことやってるよという参考になれば幸いです。
特にプロデューサーとか、事業設計者志望の方は参考になるかもしれません。
▼企画考案時と一緒に数字を作る
まずは私はこれをやる。
まず数字をはじき出すことから始めるけど、
自分のやりたいこと、チームでやりたいことを寄せる努力
を惜しまない。
一体どういうこと?と思うかもしれないが、いかなる制約やルールがあったとしても、最大限、その制約やルールを逸脱しない範囲で、自分たちのやりたいことを自然に入れ込む努力をする、ということ。
たとえば小さなところでは、好きなイラストレーターさんを起用する。好きな声優さんを起用する。好きなゲームデザインやシステムを構築する。シナリオに好きなセリフや展開を作る。といった感じ。
話を戻す。
私の場合、ゲームを起案する前から数字を作るということから始めるのですが、すごーく簡単にはこういうシートを作る。
例えば下記は、
売り切り型モデルの販売シミュレーションです
そもそもゲーム開発にはいろいろな販売や収支モデルがあるのですが、分かりやすく売り切り型にしておきます。
正直運営型の計画を立てるのはもっと複雑になります。
今回はこの中の事例1を使います
・各種数値は仮仮の仮だけど、今かかる諸経費とか人件費とか製作費とか広告費などを入れる場所を作って、そこに数字を入れていくイメージ。
そうすると簡単にどれぐらいの費用感で、どれぐらいの収益がでるのだろうかという予測が出せる。
▼図1:簡易予測
とりあえず一目でこのプロジェクト、こうなったらこうなるねが分かるまとめ表です。後に紹介する図式を使ってこれが完成されていくイメージです。
▼図2:簡易シート2
とりあえず超絶ざっくりした数字を出す為の表組。
必要な人員、制作物の費用、広告費用、プラットフォーム手数料などを月割とか気にせずとりあえず記入していくもの。
※記入数値はあくまで仮
そうすると、図1の方でなんとなくの数字が出てくるので、今度はそれを月別シートに反映させて、より詳細な数値計画を作っていく。
▼図3:詳細な工数シート
プロジェクト前にはとりあえずこういう表を作ります。
記入すべきは下記の点
・人員(毎月かかるもの)
・製作費(短期間で終わるもの)
・広告費
・間接費
・売上げ予測
・その他
→プラットフォーム手数料
→パッケージを作るならその手数料
とかとか。
まぁ細かいのはさておきとしてもこの辺りが重要なので記入します。
・人は流動性がありますし、最初はそれほど人数はかからないので、その辺りの詳細を入力して予測。
・とりわけ最初のプロトタイプ作成が固まるまでは人はかけないに限るので、厳選メンバーで費用を入れる。
その際にいつぐらいから人が必要だから、今のうちにアサインを決めておかないとなと詳細を決める
▼図4:広告を使った時の売上予測
・広告はどれぐらい、どこに入れるべきかを予測したもの
・パッケージ販売は正直読めないところがありますが、たとえばウィッシュリストを10,000集めるならば、ストアに来た人の登録率が10%だと仮定すると、ストア流入数は10万は必要だよねとか、そういうのをシミュレーションするシート。
▼図5:最後、詳細は黒字ラインを出すシート
もろもろやったあと、このプロジェクトってどういう希望が持てるのだろうかという数値をはじき出すもの。これを見て、何が足りないからここをこうした方がいいとか、もっと簡単なものにしましょうとか。
そういう考えを巡らせる。
そしてゲームの企画を調整していく。
私の場合はそういうところまで見て、ゲームの企画を作り上げていくイメージです。
最後に
とはいえですね、数字を立てるとどうなるのか?ですが、完全にゲームなんですよ。
だってゲームって売上予測って立たないんですよね。実は。まぁシリーズものとか、それなりに会社のバリューがある場合は、経験則からこれぐらい何をすれば、これぐらい売れるよねと予測が立てられます。
でも、初めての会社とか、アプリの場合は本当に立てづらい。だからこそ、基本先にどうしても、
数字を作るとまず悲観的
になりやすいわけです。
でもそうすると、やらない方が良くない?
みたいになるんですが、それでは意味がない。
だから我々企画起案者は、できる限り失敗しないように土台を固めつつ、売れやすい仕組みの構築と、自分たちがこれおもしろいよね!という企画を仕上げていくというアクションをとっていきます。
▼ゲームにおける成功の再現性はない
これはもうどこにいってもこの話が良く出ますが、完璧な再現は不可能だと思っています。
その理由は、同じものは飽きる。人は学習する。ゲームはリリースまでに時間がかかる(人も時代も変わる)。タイミングや時代環境が全く同じになることはない、からです。
でも、似たようなことはできるかもしれないし、作り手側も進化しますので、売れる努力は当然できるわけです。
そんな感じで、できる限り現実を見ながらも、夢を見る。そういうものがゲーム制作なのではと思って、今もやっています。
本来ならば、じゃぁ失敗しないために何をすればいいのか? とか、このシート通りにならないよね、じゃぁどうするの?というところも書きたいのですが、それはまた別の機会にします。
プロジェクトプラン策定から座組設計、
0からの企画設計からセールス策定までやっています。
スタジオデルタ代表 うきょう
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