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2歳のトレッキングデビュー

そのランドは、安房の港町から島の奥に入ること、車で40分。

途中から崖沿いの一車線になり、行き交う車もほとんどありません。白い霧がたゆたう視界に突然、野生の猿が現れたりするので、かぶりものでも出てきそうなそのネーミングには一言申したい「ヤクスギランド」。実際は立派な屋久杉にバンバン出会える、標高1000メートル超えの、山の神様の領域です。

30分〜150分を選べるコースがうまくつながっているので、2歳のヨーヨーがもし歩かなかったら30分で折り返そうと覚悟して行きました。でも、結果としては、50分コースを倍くらいの時間をかけて、半分以上、自力で歩いてもらうことができました。「コケ」にそっと触れたり、「カイダン」を登りきった自分に拍手したり、沢が流れるのをじっと見て「ザーザー」と音を真似たり、最後はさすがに疲れて「ダッコ!」となりがちだったけれど、まずまずのトレッキングデビュー。

屋久島はあまり観光地化されていないので幼児連れで大丈夫かって感じですが、だからこそ、身を置くだけで充電というか魂が涵養されるようなその島に、自分がどうしてもまた行きたくて家族旅行の目的地に決めました。本来7月の旅行計画だったのが9月にずれて、海ガメの観察シーズンを逃してしまったのが残念でしたが、それがなくても、雨上がりで大迫力の滝を眺めたり、きれいな海岸で荒波に磨かれた貝殻を拾ったり、常時吹く海風にマイクロカイトを揚げて追いかけさせたり、都会っ子のヨーヨーを自然に触れさせるという目的も十分に達成することができました。

初日、悪天候で鹿児島で足止めになったため急遽一泊した霧島国際ホテルも温泉が本当に素晴らしく、スタッフも親切でコスパ抜群。やっぱり九州の温泉はいいね。予定外の霧島神宮詣ででは「バス」にも乗れて、ヨーヨーも大喜び。

旅行に行ったねえと話を振ると「バプノッテ〜、コーキノッテ〜、ブーブーノッテ〜、デンチャノッテ〜」...乗り物いろいろ(バス・飛行機・車・電車)を見事に網羅した思い出を語ってくれます。でも、何が一番楽しかった?と聞くと「カイダン!」とも言ってくれます。

2歳の記憶なんて、きっと全部消えてしまうのでしょうが、だからこそ、親である自分も心から楽しめるところで休暇を過ごせてよかった。旅から戻って自作のご飯を家族で食べている時、そのなんでもない瞬間をしみじみ幸せに感じました。その余裕もやはり自分が涵養されたからですね。魂の涵養、大事。屋久島、おすすめ。

ちなみに、屋久島での個人的なおすすめは「西部林道」の散策です。世界遺産登録地域であり原生保護林でもあるこのエリア、ガイドなしで踏み入るのは難しいですが、逆に有名な縄文杉や白谷雲水峡はコースが整備されているので、プロを頼むなら是非ここへ。(前回訪問時にわたしがお願いしたのは屋久島ロックリバーさん、ご参考まで。)シカもサルもわさわさいます。あ、ヒルなんぞも出るので、あくまでワイルド・サイドな自然が好きな方へのおすすめです。

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