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親の養育態度で職業選択が決まる?: ロー

私選・キャリコン試験頻出学者50名のリストの中には、結果として数えたら女性が6名います。ちがう言い方をすれば12%。男性中心に発達してきた資本主義社会のキャリア理論だから仕方ないね。

ちなみに、東大学部生の女性比率は20%弱(2018年)、国立大学の女性教員比率は16%(2016)、正規雇用労働者の女性比率は33%(2017)、上場企業の女性役員比率は3.8%(2018)…です。

だから、女性で名を残す人は同性のよしみで紹介したくなるはずなのだけど、米国の臨床心理士のローについては、なかなか紹介の筆がすすみませんでした。なぜかってあんまり同意できなかったからです。僭越ですが。

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Ann Roe(1904-1991)

ローの「早期決定論」とは「人のキャリア選択の指向性は、幼少期の家庭の雰囲気や親の養育態度によって決まる」というものです。

親の養育態度は「①情緒型 -Emotional」、「②拒否型 -Avoidance」、「③受容型 - Acceptance」の3タイプに分かれます。

試験でここから先が問われることはあまりないけど、その3類型はさらにそれぞれ2つのサブタイプに分割されて6類型になります。

①は「①ーa 過保護型(Over-protecting)」と「①ーb過剰欲求型(Over-demanding)」、②は「②ーa 拒絶型(Rejecting)」と「②ーb無関心型(Neglecting)」③は「③ーa ありのまま型(Casual-acceptance)」と「③ーb愛情型(Loving-acceptance)」。

実は、メインタイプは全て両極端な態度を含むグルーピングなんですね。①は情緒型というより感情型、②は拒否型というより回避型って訳したほうが、そのニュートラルな感じを捉えられる気がします。

ここでひとつクイズ。ちょっと考えてみてね。

Q)ローは、親の養育態度は職業選択志向(対人・対物軸で分類定義される)につながると言っているのですが、さて、対人(ヒトとのかかわりに軸足を置く)と、対物(モノへの関心に軸足を置く)そのバランスが取れた職業を選ぶのは、大分類の情緒型 ②拒否型 ③受容型 のうちの、どのタイプでしょうか?



■答: はい、③の受容型!(もっというと③-bの愛情型がベストだという論旨のようです)

なんだかね、そこまで解像度低いと、ネットにあふれる〇〇診断ですか?といいたくなるタイプ論。誰でも親の養育態度に何らかの影響を受けながら生きていることには違いないでしょうが、この手の原因論、個人的にあんまり納得しません。

ただ、ここで改めてリストの年表で見てみると、ローが相対的に古い時代の人であったことに気付きます。

ギンズバーグが最初に「個人と環境との関わりの中で長期にわたって変遷していくもの」と言うまでは、「人の職業観は人生のある時期までに決定されるもの」という前提が主流だったんだもんね。

以上でリストの女性学者6名の紹介がそろいました。国家試験の頻出順に並べると、ハンセンシュロスバーグホリングワースロー ディンクレッジ平木典子先生…かな…それぞれリンク先の記事もあわせてお楽しみください。

どなたさまも、ハッピーなライフキャリアを。

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