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映画「シン・仮面ライダー」感想 ヒーローって本当にいいものですね

※ネタバレあります!!

俺はヒーローが好きだ。世のため人のため正義感で戦う、過去の重大なトラウマで悪人をしばき倒すのが強迫観念になってしまっている、正義の味方が仕事だから戦う、単純に復讐の過程でヒーローになったしまった、単純に暴力を振るうのが大好きで悪人あいてならそこまで咎められないから、本当にただなし崩し的に・・・等々、様々なヒーローがいると思うが俺はどれも大好きだ。その中で苦悩するのも好きだし、自分自身に絶対的な信頼をおいており全く苦悩しないのも好きだ。

先日公開された庵野秀明監督の新作「シン・仮面ライダー」でやっぱヒーローっていいものだよなあというのが再認識できたのがすごく良かった。映画のキャッチコピーのひとつの孤高、信頼、継承というのもいい味出している。

内容は庵野秀明の仮面ライダー愛が爆発しすぎててヤバい怪作になっている部分もあれど、「仮面ライダー」というのがどのようなヒーローかというのを真正面からぶつけてくるのがたまらなく良かった。合わない人にはとことん合わない作品かもしれないし、それなりに覚悟キメて観に行ったほうが良い作品とは思うが俺は心の底からオススメさせてもう。

開幕のつかみはバッチリ。アクションも良い。

シン・ウルトラマンのときも開幕ぶっこんできたので今作は何をぶっこんできてくれるか楽しみにしてたのだがシン仮面ライダーでもバッチリだった。

開幕バイクで疾走する本郷猛と緑川ルリ子。それをトラックで追いかけるショッカー。追いつかれてルリ子は囚われてしまうが崖上にバッタオーグと化した本郷猛がただずんでおり・・・という展開を開幕数分でぶっこんでくる。

その後の戦闘シーンで完全に魂を掴まれてしまった。徒手空拳でのかっこいい殺陣もそうなのだが仮面ライダーのスペック通りの力で顔面をぶん殴られたショッカー戦闘員がど派手に血飛沫を上げながら死体になっていくのがもうたまらない。打撃音もものすごく重くて良い感じ。

効果音もおなじみのものが鳴り響く。シン・ウルトラマンのシン・ウルトラQほどのものすごいインパクトは無いかもしれないが見応えたっぷりのアクションシーンを最初にぶっこんでくれるのでもう最高だ。この時点であっ、この作品もう最高だなって「安心」させてくれる。

特に俺が好きだったのはライダーキックだ。仮面ライダーの代名詞ともいえる必殺技だが今作のライダーキックは本当に「必殺」だ。「ライダーキック!!」と叫びこそしないが演出はド派手でとんでもない破壊力のある描写をしてくれるしそれなりに演出の種類も多彩でみてて飽きない。特に空を飛ぶサイクロン号から思いっきりジャンプして飛んで逃げるコウモリオーグを仕留めるシーンが最高にかっこいいし少し笑えてくるから大好きだ。

各種ギミックもすんげえかっこいい

今作の「仮面ライダー」はベルトを使って変身・・・する訳では無いというのが結構面白い。原作と同じように風を受けて変身するのだがあくまで体で風を受け止めてプラーナ(生命パワーみたいなモン)を活性化させて変身しバッタオーグ・・・仮面ライダーになるのだ。じゃあベルトは何に使うねんってなるが変身時のラジエーターみたいな役割だったり変身を解除するときに余剰プラーナを排出するのに使う。

それ以上に「仮面」が重要なアイテムになっている。変身したときにいつの間にかかぶっているとかではなく、バイクのヘルメットのように別個に存在していて変身後にかぶるというものになっている。被った人物の生存本能を最大限引き出し、躊躇なく殺人がおこなえるようにするという滅茶苦茶物騒なものだがけっこう理にかなっているアイテムだよなあとは思う。映像とかのデータを保存したりして被っている人に見せたりもできるし他にも色々な機能がある。物語でもすごく重要な役割を果たすのでそこは是非見てほしい。

あとは何と言ってもバイクだろう。仮面ライダーといえばバイク!というのを全面に押し出している。しょっちゅうバイクに乗るし変身するのにもバイクは必須だ。後半には量産型の仮面ライダーたちとのバイクでのカーチェイスバトルシーンもある。前述したライダーキックのギミックに使ったりもする。俺が何と言っても好きなのはサイクロン号も変形するところだ。あれは滅茶苦茶かっこいい。大好きなんだよねえああいうの。

仮面ライダーは人間の自由のために、ショッカーと闘うのだ!

本作のショッカーは人類の幸福のためにという目的で動く組織となっており、単純な悪の組織という感じではない。創設者もとある日本の大富豪としか語られておらず、人工知能に人類を幸福に導くことを託して拳銃自殺している。なので本作にはショッカー首領なる存在もない。AIもロボットを介して観察をしているといったていでほぼ介入してこない。

その結果何をしてくるかというと可能な限り多数の人間を幸福に導くということはせず、深い絶望にある個人を支援し、オーグメント、つまりは改造人間にするという事をしている。その結果何が起きているかというと改造人間になったショッカーの上級構成員が各々の独りよがりなやり方で幸福に導こうとしている。洗脳やらはたまた肉体を捨てて新たなるステージへ・・・みたいな人類補完計画みたいな目論見があるやつまで。自分の欲望のためだけに殺人を繰り返すイカれ野郎もいる。まさしく人間の自由を脅かす悪の組織といっても差し支えないだろう。

そんなショッカーと戦う本郷猛だが、ショッカーを裏切るつもり満々だった緑川博士によって作られた対ショッカーオーグメントの最高傑作としてバッタオーグにされるのだ。結構可哀想だとは思うが緑川博士が本郷猛を選んだ理由はもちろんある。

本郷猛は他のオーグ同様深い絶望を背負っているが、ルリ子に呆れられるレベルで「優しい」のだ。きっと通り魔を説得しようとして殺された父親の影響もあるのだろう。最後まで人質と通り魔の安否を心配していた父親の。
過去のトラウマから力を求めつつもそんな父親のようにもなりたいと思っていた。そして父親とは違い必要な場面で必要なだけの力を行使できる人間に。
これは俺の憶測だがきっとショッカーの候補者の中から緑川博士の目にとまり選ばれたのだろう。プラーナを真に人類の幸福の為に行使してくれる人間として。

劇中でも「緑川博士やルリ子に言われたから戦っているだけのでは?」と問われるがそうではないのだろう。他のショッカーのオーグメントと同じ絶望を味わいながらも底抜けの優しさを持つ本郷は自らのエゴには決して流されず、緑川親子から意思を自らの意思で継承し人類の自由の為にショッカーと戦うのだ。あまりにも過ぎた力を行使するのに苦しみながらも。苦悩しながらも戦うそんな等身大のヒーローがそれでも誰かのために戦うというのも俺は大好きだ。
そして・・・たとえ本郷猛の身が滅びようとも「仮面ライダー」は存在する。ルリ子の助けもあり、ショッカーの洗脳から解き放たれ自分の深い絶望に同じように向き合った一文字隼人。「仮面ライダー第2号」が。

今作も大傑作だとはおもうけど怪作でもあるかも

本郷猛が力を行使するのを怖がったり苦悩する場面とか本郷猛と緑川ルリ子の関係性とかわかりやすく面白い要素もたくさんある。後は中盤から登場する一文字隼人、仮面ライダー第2号がまじ最高。ニヒルなイケメンキャラ大好きだわ俺。

でもやっぱりこの「シン・仮面ライダー」という作品の本郷猛という漢に心底惚れてしまったかもしれない。2時間という限られた尺で何故、本郷猛がヒーローとして選ばれたのか。自らを仮面ライダーと名乗り、本来暴力など嫌悪しているであろうこのコミュ障の青年がショッカーと戦う事を決意したのかを見事に描ききっていると思う。この等身大のヒーローを見ていると悲しい気持ちも湧いてくるがとても暖かな、優しい気持ちにもさせてくれるのだ。

不満点もままある。量産型ライダーとの戦闘シーンが暗くてよくわからない(暗闇で光るライダーの目はかっこいい)とかマジで仮面ライダー、怪人ともにマスク越しに喋った声を収録しているっぽいのでボソボソ喋ってて何言ってるかよくわからないシーンがまあまああるとか。後は庵野秀明の仮面ライダー愛が爆発しすぎてるところとか。・・・これは良い点でもあるかも。

仮面ライダーは悩み苦しみながらも人類の自由の為に戦い続ける。そのテーマを2時間で火の玉ストレートでぶつけてくる本作は本当に本当に良かった。

マフラーは昔からバイク乗り、ライダーには必需品。それにヒーローといえば赤なんでしょ。よく知らないけど。

僕の名は・・・ライダー・・・仮面ライダーと名乗らせてもらう!!


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