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ChatGPTと映画論「ハリーポッター」

2022年に登場したChatGPT「GPT-3.5」は、少なくとも私に衝撃を与えました。

当時、システムエンジニアとして勤務していた私は、プログラミング(Python)を利用して測定装置の開発を行っていました。

システム開発に必要なスキルは多岐に渡りますが、プログラミングスキルもその一つになります。(for文を回せないと自動化はできない)

ChatGPTのリリース後、ITニュースサイトを埋め尽くして、私も登録して利用してみました。

当初は、SiriやAlexaみたいなものと思っていましたが、作りたいシステムの機能を言語化して入力するだけで、なんと私よりも早く、正確にプログラミングしてくれるのです。

数年かけて習得したプログラミングスキルは、半分くらい無駄になったなと感じました。

ChaGPTのようなシステムを、広くは「生成AI」「大規模言語モデル(LLM)」と呼称したりします。

「生成AI」は、文章にかかわらず、画像や音声を入れて、指示した内容を実行してくれるものになります。ChatGPTだけでなく、SiriやAlexaなども含まれます。

「大規模言語モデル(LLM)」は、入れた文章をもとに、最も適した回答を確率計算して、文章で返してくれます。これは、膨大なテキストデータセットと、高度な推論モデルによって実現できています。ChatGPT(by OpenAI)やGemini(by Google)がLLMに当たります。

まとめると「生成AI」は、指示したら考えて回答してくれるもの。「LLM」は高度な生成AIを実現するためのモデルとなります。用語はシステムを抽象的に説明するだけのものなので、この素晴らしいシステムの本質ではないかなと思います。


さて、このChatGPTはプログラミングスキルや、アイデア出しに優れています。

このアイデア出しも「その手があったか」と思わせるほど、合理的かつ現実的なアイデアを数秒で複数出してくれます。

映画や小説など、物語のプロットアイデアも作ってくれますが、何度か試した結果、ChatGPTに「ハリーポッター」を作らせることは現時点でできないな、と結論付けました。


「ハリーポッター」もとい、魔法学校を舞台にした作品は、さまざまなジャンルで物語られています。(最近ではアニメ「マッシュル」)

ワクワクするような設定が、いっぱいありますよね。

組み分け帽子や個性豊かな4つの寮、オリバンダーの杖店や杖を使った魔法、挙げ出したらキリがありません。

ChatGPTにこのような創造的アイデアを出させることはできると思います。

しかし、ハリーポッターの魅力は、ワクワクする設定だけではありません。


最愛の友人と最悪の同級生との間に生まれたハリーを憎み、それでも壮大な愛で最後までハリーを守り抜いたスネイプ教授をChatGPTが描くことができるでしょうか?

相反する二つの感情が、スネイプを最低で最高な教師たらしめたのです。


ChatGPTに、スネイプというキャラクターをモデルに、同様のキャラクターを模倣させることは今後できるようになると思います。

ですが、人間の底知れない感情、それを作品にする作家の才能、これを0からChatGPTに模倣させることはできないのです。

モデルを作り、思考を模倣できても、人間の創造力を上回ることはできないと私は考えます。


1ユーザーとしてChatGPTに人間を超えた進化を望み、一方で人間の創造力は負けない(負けてほしくない!)という、相反する二つの感情を抱えて。

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