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【プレバン】モデラーとは「コレクター」ではない。「クリエイター」だ。

執筆:北見工業大学 井野敢太いのかんた

お世話になってます。北見工業大学の井野です。

最初に注意です。
プラモデル初心者は読まないでください。
最初は自由に楽しく作りましょう。
プラモデル初心者じゃないと思っている方は、どうぞ先へお進みください。
俺の哲学を授けてあげます。
ではどうぞ。

みなさんプレミアムバンダイは好きでしょうか。

本題に入るのが早すぎる。

俺ですか? 絶対に買いません。

こんなこと書くと色んな人からブチギレられるかもしれませんが、別に買うなと言っているわけではありません。プレバン依存症みたいなブルジョア後輩もいるので、刺されないために念を押しておきます。あくまで自分の話なのでね。

実際に俺は、生まれてこの方プレバン限定商品を1度も買ったことがありません。ホビーオフに投げられているようなものも含めてね。

というわけで今回は俺の哲学を授けましょう。


そもそもガンダムファンじゃない

俺がプレバンに触れずにモデラーをできているのは、この理由が大きいでしょう。

俺が別にガンダムファンじゃないからです。

いつぞやのアレ

「いやお前自分で回路組んでガンダムにLED仕込んだり自分の大学のロゴ背負ったディランザ作ったりしてたじゃねえか!」

と思った方。俺のファンですね。ありがとうございます。

いいかげんコレ載せるの飽きてきた

順を追って話しましょう。

そもそも俺はこんなもの作ってしまうくらいの熱烈なLBXフリークであって、ガンダムシリーズのファンではありません。アナザーガンダムいくつかとユニコーンだけは通ってきていますが「まあ面白いよね」くらいの感覚です。唯一『ガンダム00ダブルオー』シリーズだけはかなり好きですが、「ガンダムシリーズ」のファンかと言われると、そうは言えないかな。

え? なんで00だけ好きかって?
・男の子も女の子もメカもみんな余さず美形かつ美声。イケメンと美人さんしかいない(エクシアは美人さん)
・作画が好み
・メカデザインが海老川兼武えびかわかねたけさんと柳瀬敬之やなせたかゆきさん(大好き)
・監督が水島精二みずしませいじさん(大好き)
・いい意味でシンプル(ガンダムなのにね)
・明確に希望が見えるエンディング(ガンダムなのにね)
・フェルトかわいい(かわいい)
・アレマリ

このまま羅列すると100超えそうなのでやめとこう。00だけに。今思ったけどダブルオー布教記事も書いた方がいいな。このままだとガンダムシリーズ批判記事に移行してしまう。あとアレマリはいいぞ。電池とか言うな。というか電池をバカにするな。動力って大事なんだぞ。いや待てということは電池って賛辞……(略

さて、そんな俺がガンプラを作る理由。はっきりと言ってしまいましょう。

練・習・用ゥ!

おい待てまず刃物を置け。やめろニッパーで人は死なんぞ。説明するから落ち着けダブルオーは大好きだからあ!

ふう。

まずそこまでファンではないだけで、ガンダムシリーズが嫌いなわけではない。
そしてガンプラほど作りやすいプラモデルは現状この世に存在しない。

これがちょうどいいのだ。

全く思い入れのないプラモデルを作るのも大変だが、思い入れがあり過ぎて失敗したくないプラモデルを作るのも大変だ。

その上で、ガンプラにもデザインが好きなメカは色々ある。
個人的には頭・胴体と四肢だけのシンプルな機体が好きだ。この時点で、もはや当てはまらないガンプラの方が多いが、さっきのデュエルやディランザはまさにそう。

そして、オリジナル要素を入れる遊びを乗せやすい。思い入れの強い作品のプラモデルではオリジナル要素を入れるとなっても、どうしても作中のキャラクターや設定・物語性を尊重し、反映させたくなってしまうが、「初代風デュエル」や「北見工業大学仕様ディランザ」は、遊び心満載で作ることができた。

作品を完成させながら感性と技術を磨く上で、ガンプラほど効率的なものはなかったと思う。

実際MGデュエルでは水性塗料とチッピング、コンセント電力でのLED電飾を一気に学ぶことができたし、HGディランザは混色における明度調節や、白を塗るための下地の作り方、マークを塗装で表現するためのステンシルなど、様々な技術を訓練する場所になってくれた。

その上で作品を完成させること自体にも喜びがある。

練習用の実験台でもあるんだけど、それに留まらない愛着も生まれる。
俺は、プレッシャーなく、けれど楽しみながら訓練をするためのキャンバスとしてガンプラを使っている。

だから、劇中に登場する何かを手に入れたくてガンプラを買うわけではない。あくまでガンプラは俺のための素材であり、ガンプラは俺に従属する立場なのだ。プラ板やプラ棒を買う感覚に近い。フルスクラッチよりは手間がかからないから練習用として丁度いいというだけに過ぎない。

その技術はLBXのために。

↑このプラ板どうすか?

「素材」であるなら、限定販売はおかしい

ガンプラはあくまで素材であり、表現者は俺だ。

というスタンスであるなら、プレミアムバンダイは全く逆の価値観であると言えます。俺にとっては、タミヤやウェーブがいきなり「プラ板とかプラ棒は受注生産の限定販売にします。送料も高いけど払え。」って言ってくるようなものなのですから。

また怒られそうなこと書きますが、
「プレバン大好きだけど積んでばかりのガノタガンダムオタク
が俺の目にどう映っているかというと、
「受注生産限定の高級レア絵の具を買いまくってるけど全然描かない画家」
です。

本質はそこではないよね、と。むしろ絵の具は入手性が低いと困る。
「いつでも手に入る素材」にこそ価値があるのです。

唯一性オリジナリティを出すのはクリエイターこっちがやるから!」ってことですね。

MGデュエルもHGディランザも、俺という画家にとっての絵の具だったんだ……!

↑この絵の具どうすか?

「買う」のではなく「作る」のが本質

プレミアムバンダイは、本来どこでも買えるべきであるはずのプラモデルを「コレクションするためのもの」という立ち位置にしてしまった気がします。

失敗を恐れずに手を動かし、失敗をしても修復し、どうしても直せなければ同じキットをまた買ってくればいい。これがプラモデルのあるべき姿だと思います。

しかしプレバンの商品に同じスタンスで挑むことはできないでしょう。

限定品であるが故に、おいそれと素材として手を加えることができない。失敗できない。キットがモデラーの上に立っているような状況では、モデラーは成長することができないのではないかと思います。

そしてもう一つ。

マイナーなモチーフも数多く立体化してくれるプレミアムバンダイの存在は、多くのモデラー(というかガンダムファン)にこう思わせてしまっているのではないかと思います。

「待っていればプレバンで商品化されるかもしれない!」

これが何を意味するかと言うと。

「ないなら自分で作るしかないだろ!」

という、モデラーの誰もが持っていたはずの原初的欲求オリジンであり最終到達点デスティネーションである崇高な価値観を喪失させてしまったのではないかと。

プレバンに祈り続けるのはモデラーではない。思い出してほしい。

「キット」が先にあるのではない。
「欲しい」という意思が先にあり。
「作りたい」という意思が先にある。
意思があれば、作る。
キットを使うか、マテリアルを使うかは問題ではない。

それを形にできるのは自分しかいないと信じ。
自分こそが世界の表現者だと疑わず。
道具と材料の全てを従属させ、タクトを振るう。
モデラーとはかくあるべき。
モデラーとはかくあるべし。

2024年2月6日
井野敢太

執筆者プロフィール

井野敢太

2002年生まれ。北の果ての工業大学生。UMA北海道(北海道学生模型連盟)のnote運営立案者。3D設計ロボット・フィギュア造形・フルスクラッチ。なんでもやるモデラー。趣味がたくさん。サッカーが好き。

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折り紙とプラモデルを極めるチャンネル『オルカラス・ラボ』

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