平日の昼下がり、OLだろうか、紺色の制服を着て厚い化粧を施した女性がトレーを運んできた。飲み終わりわずかに口紅が残ったコーヒー・カップと空のグラス、食べ終わったサンドウィッチの包装ラッピングを乗せたトレーを持って歩いてきた。トレーを返却台に置いて、振り向きざま階段を下りていった。

ここは街のおしゃれなカフェ。
ただ、ほかのカフェとはわずかに違う。1階に席がほとんどないため、客は2階席に座る。2階はテーブル席がたくさんあり、その周りを窓際のカウンター席が囲む。カウンター席は電源が使用でき、コンセントがついている。2階席が満席になっていることもある。この店に慣れた客は、飲み物を注文する前にまず2階へ上がり席が空いていることを確認し、椅子に荷物を置いて、席を確保する。そうしてようやく1階に下り、飲みたい物をレジで注文して、飲み物を手に2階へ上がる。

主婦らしき女性が2人で2階へ上がってきた。階段を上がりきった返却台の脇で立ち止まり、2階席の奥を左から右へながめる。テーブル席も電源付きのカウンター席も半分ほど空いている。女性らが空席を見つけたらしく、指をさして2人でそのテーブル席までやって来て、バッグを椅子に、スマホをテーブルに置いた。バッグから財布を取り出し、女性らが階段を下りていった。
紅茶とバームクーヘンを乗せたトレーを両手で持ち、女性らが2階の自分たちのテーブルに着いた。

男が2階に上ってきた。
グレーのジャケットを羽織り、40歳代くらいの中肉中背の男は黒いバッグを左肩から下げていた。階段を上がりきった返却台の脇で立ち止まり、男は2階の窓際の席をぐるっと見回す。
男は振り向き返却台を見た。上の段から下の段までなにやら物色している。さきほどOLが返却した飲み終わったコーヒー・カップとグラス、食べ終わったサッドウィッチの包装ラッピングを乗せたトレーを右手で持ち上げ、歩いた。窓際のカウンター席にトレーを置き、バッグを椅子に置いた。
先程の主婦らしき女性ら2人が隣のテーブルから男の運んできた用済みのトレーを見て、目を見合わせた。
男はバッグからノートパソコンを取り出し、コンセントにアダプターを差してトレーの横にパソコンを置いた。男は返却口に用意してある水を取りに行き、グラスに水を入れて自分の席のトレーに置いた。

4時間ほど作業をして、男はパソコンをバッグに入れ肩から下げ、立ち上がってトレーを片手で持ち上げた。男が返却口へ向かう。女性店員が1階から上がってきた。返却口の飲み終わったカップやグラス、トレーを片付け始める。男がトレーを返却口に置こうとした。女性店員がそれに気づき、男からトレーを受け取ろうとした。
「ありがとうございます！」
「ごちそうさま。コーヒーおいしかったよ」
男が笑顔でトレーを渡した。
「はい、ありがとうございました！」
女性店員がトレーを受け取る。
男が階段を下りてゆく。
女性店員がトレーの上のコーヒー・カップにわずかについた口紅を見つけ、首を傾げた。

◇◇
さて、本日はNHKマイルC。
④イベリスを狙う。
ガサツな男馬たちを横目に、女馬イベリスがち密な計算で逃げきる。

（勝馬投票は自己責任でお願いします）
[今年の当たり]
〇大阪杯　ワグネリアン　4人気3着
〇中山記念　ラッキーライラック　6人気2着
〇フェブラリーS　ユラノト　8人気3着　
〇共同通信杯　ダノンキングリー　3人気1着　
〇日経新春杯　ルックトゥワイス　5人気2着
〇中山金杯　ウインブライト　3人気1着

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