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予備試験対策反省会(総論?)

はじめに

初めまして。
令和5年度司法試験予備試験に合格しました傘屋(X:@parap1uies)といいます。

よびごうかくしゃのすなるのうとといふもの、かさやもしてみんとて、すなるなり。

というのは冗談(?)です。いつもは自分の手帳かPCのメモで行っている勉強の反省会を、せっかくだし公開しようと思い立ちました。自分がオンライン・オフライン通じて色んな方のから情報いただいてこともあり、自分も何か還元する機会になればとの思いあがりから筆をとった次第です。

拙い文章ですがお付き合いいただけると幸いです。


自己紹介

大学・学部:東京大学法学部4年(令和5年度予備試験合格時)
予備試験受験歴
・令和4年(学部3年次):短答落ち(150点)
・令和5年(学部4年次):短答合格(180点前半、1300位代)
                論文合格(200点後半、2桁順位後半)
所属団体:運動会運動部(具体的な団体名は勘弁してください。)

学習遍歴と各期間の反省

大学2年

【基礎講義受講期】
学習時間
・学期期間:約35時間/週
    (1日あたり大学の講義2時間+予備校の基礎講義3時間)
・長期休み:約20時間/週

GWに法学部への進学と予備試験&法科大学院受験を決意しました。
この頃に伊藤塾に入り、基礎マ(基礎マスター)を受講し始めました。当初から東大ローの法科大学院進学プログラムも意識していたため、大学の講義(オンライン)も消化しつつ、毎日3時間ずつ講義を視聴していました。
前日部分復習→講義受講のサイクルで取り組んでいました。
今振り返ると、この頃から講義該当部分の短答過去問に触れておけばよかったと後悔しています。
1月は持ち出し科目の試験に戸惑い、ほぼ進捗は0でした。短答対策を本格化したのは、基礎マ行政法まで聞き終えた3月下旬でした。遅すぎる

〈振り返り〉
よかった点
・法曹コースを意識し、必要な成績をギリギリキープできたこと
(ちなみに2A終わりのGPAは3.3ほどでした。オンライン試験だったこともあり相対的にはそこまで高くないと思われます。)
・ほぼ毎日基礎マの受講を継続できたこと
悪かった点
・部活などで忙しくなりうるとわかっていたのに前倒しで進めなかったこと
→そういう意味では、塾長コースに入ったのは失敗でした。フリースタイルか呉クラスか、そもそも伊藤塾を選んでいなかったかも(アガルート・資格スクエア等)。
・基礎講義と同時に該当範囲の短答過去問を解かなかったこと
→結果として短答対策できた時間が大幅に少なくなった

大学3年

【短答直前期①】
学習時間:約30時間/週(1日あたり短答対策2~3時間+大学の講義2時間)
     総時間(短答対策):約150時間
3年生になって法学部進学後、講義に出席しつつ短答対策を行いました。とはいえ実質対策期間2ヶ月弱では過去問を2周できない科目もあり、当然のように不合格でした。短答だけでも自分を追い込んで論文に進めていられれば、と翌年めちゃくちゃ後悔しました。

〈振り返り〉
よかった点
・わからない点はきちんと基礎マを参照しながら解いたこと
悪かった点
・どの科目も1~1.5周しかできず、定着が甘かったこと
・一元化教材を作らなかったこと
・学習量を増やして追い込みをかけられなかったこと
→直前に部活の試合が数日間あることはわかっていたので、それも踏まえたスケジューリングと体調管理が必要でした。

【論文対策期】
学習時間
・3Sセメスター:30〜35時間/週(純粋な予備対策は15時間ほど)
   (試験期間:40時間/週(期末試験対策のみ))
・夏休み期間:前半はほぼゼロ、後半は20時間/週ほど
・3Aセメスター:約40~45時間/週(純粋な予備対策は20時間ほど)
   (試験期間:50時間/週(期末試験対策のみ))
・春休み期間:30~40時間/週

短答後から論マス(論文マスター)の受講を進め、問研(問題研究)の1周目を進めました。
所属する部活は3年生が執行代を務めており、このとき私自身も執行代として役職を持っていたので、相変わらず部活と並行する形で勉強していました。
基礎講義の知識はどこかへ行ってしまっているか、論文に使える形ではなかったので、先に問題文を一読して、軽く問題になりそうな論点を洗い出してから講義を視聴するようにしていました。最初は答案構成をしっかり目にしていましたが、全然わからず時間だけが過ぎていくので、やめました。

もっとも、7月上旬以降は期末試験対策に全振りしており、また8〜9月中旬は部活関係で非常に忙しかったこともあり、週あたりで見てもそれまでの2割も勉強できていませんでした。結局9月末時点では論マスの憲法、民法、刑法、行政法、刑訴法半分を視聴し終えた状態に留まっていました。忙しい間も、少しでもすでにやった分の論証集を眺めていればなあと嘆いております。
Aセメスター(秋学期)も相変わらず講義・部活・論マスを反復横跳び(?)していました。このときには伊藤塾のコンプリ答練(コンプリート論文答練)をとって、週末に起案していました。
年末ぐらいまでは、純粋な予備の勉強としては月平均75時間ほど割いていました(履修していたのは11コマ)。

年明け〜1月は期末試験に全振りしていました。年始早々新型コロナに感染し、試験に間に合わない!と非常に焦って勉強していました。一見予備の勉強はできていなかったようにも見えますが、個人的にはこのときの勉強が民訴・刑訴において特に役立っていると感じています。
具体的には、情報を一元化した講義ノート及び演習書または講義で扱った事例集の周回を行いました。
民訴法・商法はLaw Practice、刑訴法は一部ですが事例演習刑事訴訟法、行政法は基礎演習行政法を使用しました。

結果的には大学の成績は望外の結果であり、ロー入試の筆記試験免除が狙えるくらいにまでGPAが上がりました。試験対策における方法論の重要性を身をもって知りました。

春休み以降、執行代が切り替わったこともあって少し余裕ができました(の割に勉強時間少ないねとか言わないで)。論マスも2月上旬に全て受講し終えました。
そのため、コンプリ答練に取り組みつつ問研を周回し、論証集を問研と大学の講義レジュメで加筆・修正していました。論証集はvflatというアプリでスキャン+OCR処理して、(かつては無料で1日100枚までできましたが、今はほぼ有料化したみたいです。)テキストデータをwordファイルに貼ったものを素材にしていました。
正直、この論証集の修正に時間をかけすぎたという反省もある一方で、論証の構造を理解するきっかけにもなったので、なんとも言い難いです。
ちなみに、刑訴法はほぼ全改訂レベルで修正しています。
また、この時期に並行して実務基礎のインプット+過去問、選択科目の倒産法のインプットを4月にかけて行なっています。

〈振り返り〉
よかった点
・論マスの予習を途中から簡素化したこと
→問研(問題研究)はその後に何周もする教材であり、初見問題の対応を押さえる効果は二の次であるためこの方法でよかったです。
・コンプリ答練をペースメーカーにして学習したこと
・大学の試験対策がうまくいったこと
→需要があれば書きますが、基本的にはレジュメへの一元化、論証集への反映、事例問題が出る場合には演習書の周回につきます。
・(一部ではあれ)大学の講義・試験対策を予備試験対策に反映できたこと

悪かった点
・論証集の加筆・修正に時間をかけ過ぎたこと
→憲法・民法・行政法の演習時間が割りを食った形になりました。
・大学の講義と論証集(一元化教材)のリンクを3Sの時点で確立できなかったこと
→おかげで現在も科目・分野ごとに理解の深度が大きく違ってしまっています…

大学4年

【短答直前期②】
学習時間:45~55時間/週

部活の集大成といえる大会が春にあったので、それまでは部活に注力していました。
なので、5月中頃から短答対策に全振りしていました。
学習時間としては、月平均210〜240時間くらいです。
上3法は伊藤塾の合格セレクション、下4法は短答過去問パーフェクト(以下「短パフェ」)を使い、刑法は基本刑法、憲法は基礎マテキスト、それ以外は判例六法に一元化していました。結局本番までに全問2周+間違えたところ1周ほど取り組みました。もっとも、間違えた問題はAnkiに入れて空き時間にも取り組んでいたので、それらについては実際には5周ほどしていると思います。せっかくの一元化教材を実際に復習で使えたのは憲法・刑法だけだったため、うまく使いこなせなかったことが反省点です

一方、大学の講義は6コマほどありました。それなりに講義に出つつ、6月以降に毎日2時間ほど割いてロープラ商法・民法Ⅲなどを解いてまとめノートを作って対策していました。

なんとか短答は突破しましたが、順位は合格者の真ん中くらいでした。
しかも一般教養で40点以上稼いでいたため、法律知識弱々合格人間が誕生してしまいました。
ちなみに大学の成績も、試験対策に本腰を入れたのは短答後であったものの、事前の準備とスケジューリングがうまくいき、全体のGPAをコンマでの微減に留められることに成功しました。危ない。

〈振り返り〉
よかった点
・条文と判例を適宜復習で参照したこと
→条文の位置関係なども整理して理解することができました。
・隙間時間にAnkiで問題を解いたこと
・一般教養についても、模試などで少しではあるが対策したこと
→易化に伴い40点取れてしまいました。

悪かった点
・時間がかかる1周目の着手が遅かったこと
・一元化教材を一部科目しか回せなかったこと
→回せた刑法・憲法とそうでなかった科目の点差がひどいです。

【論文直前期】
学習時間:55〜60時間/週
短答後、大学の期末試験を終え、論文対策を本格化しました。時間内の起案や事案の把握に難があると思ったため、加藤ゼミナールの加藤先生が公開されている過去問重要度ランクづけに従い、A・Bランクの過去問を中心に1日に3〜4題ずつ起案しつつ、論証集を周回しました。1日に2科目ずつ、負担の大小・得意不得意に併せて組み合わせて取り組んでいました。
過去問の解答例は、論マスにあった分に加え、studywebさんや加藤ゼミナールの解答速報などを参考にしていました。
9月、慶應ローの入試ののち、論文本番に向かいました。
〈振り返り〉
よかった点
・徹底的に起案したこと
→解答筋の見極めや時間配分、現場思考などの対応力が鍛えられました。
・論証集を2〜3時間に1科目のペースで回せたこと
・Ankiで論証の暗記をしたこと
悪かった点
・起案の要否の見極めを怠ったこと
→今思うと、民法、商法、刑法あたりは書き方自体に特性が強いわけではないので、起案の数を減らしてもよかったと感じています。
・復習の網羅性が低かったこと
→公法系・民法の論証集については周回が甘く、きちんと覚えていた論証が少なかったです。本番苦労しました。
・実務基礎のインプットが足りなかったこと
→要件事実がズタボロでした。実務基礎科目はアドを取りやすいと言われているので、定期的なインプット(暗記など)の機会を設けておくと良いと思います。

【東大ロー入試対策期】
学習時間:平均40時間/週
論文後は、10月から東大ロー入試対策を行いました。
週末に過去問を起案し、平日は問研を答案構成して周回しました。行政法だけは基本行政法判例演習を使用し、答案構成ノートを作成していました。
引っかかる問題が想定以上に多く、よくこれで論文試験会場に行ったよなお前ェ…という気持ちに何度なったことか。

結果として、学部の講義も疎かにしていなかったことが幸いして学内の法科大学進学プログラム(いわゆる法曹コース)で筆記免除で合格しました。
出願時のGPAは大体3.5後半になります。

〈振り返り〉
よかった点
・毎日コンスタントに演習書を周回できたこと
・過去問の起案をメルクマールにしたこと
→〇〇系ごとの試験で試験時間も短いため、形式に慣れることができた点が大きかったです。また、文字数制限への対応の練習にもなりました。
悪かった点
・毎日取り組んだとはいえ、論文後で周回量に結びつかなかったこと
→結局2周止まりでした。2周目時点で定着が怪しい問題もあったので、まだ周回が必要だったと感じています。

【口述直前期】
学習時間
・年末まで:40時間/週
・年明け〜本番:平均55時間/週

12月某日、論文試験の合格がわかり、望外の結果に唖然としました。
喜びとか安堵より、驚きと口述への不安で足が震えていたのを覚えています笑
ここら辺の対策は機会と需要があれば詳述しますが、今回は以下の振り返りに留めておきます。

〈振り返り〉
よかった点
・早めに過去問に着手し、友人と一通りロールプレイで練習したこと
→傾向の把握に加え、コミュニケーションの感覚も養うことができたと感じています。
・一元化教材を決めて一元化できたこと
・模試を複数受けたこと
→初見の会場・問題を解いて採点してもらえるというので、良い練習になりました。複数受けた方がメンタルにもいいと思います。

悪かった点
・直前に類型別に浮気(?)しかけたこと
→大島本の請負の簡素さに不安を覚え、前々日ぐらいに該当部分を読みました。やるならもっと早くやるべきでした。
・刑訴法の対策が甘かったこと
→手続に気を取られ、論文で問われるような範囲の復習が甘かったです。

司法試験に向けて

司法試験でも論文・短答の対策が必要です。すでにある程度の知識や経験が蓄積されている一方で、時間的制約があることからすると、あまり手を広げない方がいいかと感じています(77期に比べて対策期間が2ヶ月ほど短い)。
今のところは、2月中に過去問の演習計画を立てて実際に起案するもの/答案構成に済ませるものを分類し、3月から本格的に過去問の起案と短答対策を始める予定です。

使用教材としては、以下を予定しています(☆は手が回ればしたいもの)。個人的には民法の成績が悪かったことと、公法系の判例の理解が甘いことから、何かしらで補強したいと考えていますが、何がいいのでしょうか…。基本書と判例集ですかね?ご意見お待ちしています。

論文
・過去問(全科目)
・憲法判例の射程(憲法)☆
・事例でおさえる民法 改正債権法or民法演習サブノート210(民法)☆
 *追記:後者は網羅性こそあるもののかなりシンプルな問題とのこと。
     前者かな…?
・刑法事例演習教材(刑法)
・会社法事例演習教材(商法)☆
・読解民事訴訟法
・基本行政法判例演習
・事例研究行政法☆

短答
・合格セレクション
・判例六法(一元化教材)

終わりに

長くなりましたが、たかだか予備合格者に過ぎない人間の自語りにお付き合いくださりありがとうございました。

ご要望があれば、またはお節介精神が働けば、科目ごとの勉強法についても公開での振り返りを行いたいと思います。
こんな反省まみれの振り返りが自分だけでなく誰かのお役に立てれば幸いです。
それでは。


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