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虹ヶ咲5thライブ感想~2期の話を添えて

この夏何も書かなかった反省も踏まえ5thライブの感想とそれに付随して虹ヶ咲2期の感想を書こうと思った。

虹ヶ咲2期

結論から言うと、「一期ほど跳ねなかった」というか「置きに来たな…」というのが正直な感想である。

概ね評価していた(まぁ小骨がのどにひっかかる程度のものはあったが)1期の同じく、2期も色々な評価点、評価できない点があった。だが、それこそ過去のnoteに書いたようにある程度モヤモヤする部分はアレど、客観的なストーリーとして眺めるならよししており、むしろ12話まで概ね良いですねという気持ちだったのだ。
だが、最終話、13話によって一気にノレないと感じてしまったのである

何が一番納得がいかなかったかといえば、12人(と侑)という形でのファーストライブという現実では実現しえなかった形での実現ということでありながらその実態は現実の1st liveのセルフオマージュに終始していたことだ。

かつて2019年12月のファーストライブに参加した者として、あの時感じた煌めきや心の揺れ動きは以後の何度となくやった虹ヶ咲の、いやラブライブ!シリーズの中でも特異なものであり、オンリーワンのものがあった。虹ヶ咲がコンテンツとして躍進していけばいくほどあの輝きは変わらず光っており、もはや聖域と化しているといってもよい。

アニガサキではこれまではスクールアイドルフェスティバルや個人のライブであり同好会だけのライブは行っておらず同好会だけでのファーストライブをやろうというのは正直盲点であり、やられた!という想いだった。ラブライブ!に出場しないこのアニメの最終回としてはたしかにこれ以上ないという気持ちではある。

しかし現実の1st liveをセルフオマージュする必要はなかったのではないか?なぜこのタイミングで今まで影も形もなかった2ndアルバムの楽曲を使う必要があったのか?

現実の彼女たちが進んできた道があるように、アニメにはアニメの彼女たちが進んできた道がある。アニメ2期最終回という最後の結晶をそんな再演とでもいうべき内容に終始する必要があったのか?(そういった意味で私は1期最終回をとても評価しているのだけれど)

アニガサキ製作陣は頭が良い。いや良すぎたのだろう。「追加メンバーを組み込みつつも1st ライブの再現をしてください」というオーダーがあったのかは私の知るところではないが、本来なら切り捨てても一向に問題ないあのシーンこのシーンのオマージュをやりつつも話に絡める方法を見つけることが出来るのだ。友&愛での果林登場やオードリーwithA・ZU・NAはDiverDiva ファンミやA・ZU・NAファンミでの1幕を思い返す演出でたしかにサプライズには違いない。

だが、いくら侑ちゃんが作りましたよ!といっても、コンテンツとして虹ヶ咲を追ってない人からしたら、最終回にいきなり「知らない曲!」×12なわけである。ノレるのだろうか?むしろアニメ一期の楽曲の方がアニメの彼女たちと積み重ねてきた歴史を感じて、まぁ安直に言えばエモみを感じれただろう

では一方私のように、これまで虹ヶ咲を追ってきた人からしてはどうか?
正直これも是とすることはできない。なぜなら2ndアルバムの9曲の楽曲だけに絞っても、そもそもスクスタで「あなたが9人の少女に向けて作った」という前提があるからである。ライブごとに新しい文脈を生み、楽曲そのものが進化していくというのはラブライブ!に限らずライブコンテンツの魅力ではあるのだが、少なくともこの楽曲の生まれは「それぞれ一人一人に寄り添ったあなたが彼女達のために作った曲」である。
俺とお前で叶えていくstoryなのである。

だがアニメでは「高咲侑がいきなり一晩で作っちゃった曲※1」に変貌した。生まれた前提まで異なってくるとなると話が違ってくるのである。生まれを捻じ曲げてまで披露されても「アニメでも使ってくれてありがとう」と簡単にはならないのである

※1好意的な解釈をするなら10話でのみんなで曲を作りたいという侑の願いにより生まれた『Love U my friends』の製作過程で生まれた副産物(それこそ同アルバムに収録されている楽曲なので)と捉えられなくもないがそんな余り物で料理一品作りましたみたいなノリでも困る

高咲侑と私

なぜ私がここまでアニメとスクスタを別のものだと考えているのかについてだが、それはアニメ一期であそこまで高咲侑はあなたであるかもしれないがそれでも1人として一歩を踏み出したということを描き切ったからだ。
であるなら同じトキメキや輝きを浴びても受け止め方やその想いの発露は変わってくるはずだからだ。その意味でも3話での「Neo sky,Neo Map!」はとても良い、納得のいくものだった。

であったにもにもかかわらず、それ以降、7話のトキランなどを筆頭に、侑が侑個人とあなたとの間を反復横跳びを始めた。切り離しきれてないため、ファンサービスが都合の良い部分だけつまみ食いしたと見えてしまい、逆に鼻につくのだ。
 
結局のところ侑をどうしたいの?というのが一番の心の引っ掛かりなわけである「侑、あなたはどうしてここにいるの?」という劇中のランジュの問いがそのままアニメ2期への疑問符へとなったわけである。アニメとゲーム、コンテンツを両立させたいのか、まとめてしまいたいのか。

μ'sやAqoursは自分が輝く姿を見せることで「自分も頑張ろう」と思わせるなら、虹ヶ咲は劇中でも「元気が欲しい時は会いに来て!」「あなたには私がいる!」と言葉が送られているように頑張っているあなたを応援する存在である。ファンであった侑もトキメキを胸に動き人の心を動かしたように、アイドルだからとかファンだから関係なくあなたが動いてることで誰かの心を動かすことがある。頑張っている人は誰にでもスクールアイドルのように輝いていますということ自体はとてもすっと入ってくる(同じ話はよりにもよってスクスタ2nd Seasonでもやってるんですけどね。)もので、あなたから渡されたバトンを侑がアニメという物語を走り切り、再びあなたにバトンを渡すように物語は幕を閉じた。
だが究極的な話、本当に踏み込むべきなら高咲侑のスクールアイドルとの別れ(巣立ちといってもいい)を描く必要があるのだと思うのだが、あまりにも侑が人気出すぎたためそこまでは踏み込めず、一歩前で立ち止まってしまったのだろうと邪推している。

これはややネガティブな考え方だがスクスタはリリースの遅れに始まり、2nd Seasonが荒れに荒れていた(今となっては過剰だと思うが)が、その最中放送されたアニガサキ一期が丁寧すぎるほどに丁寧だったためアニメのことを救済措置のように呼ぶ人は少なからずいる。
そのため「アニメが正しくスクスタ(とそれに準拠したこれまでの展開)は間違っている」と言われてるようにも見えるのである。スクールアイドル同好会の部への昇格問題などは当てこすりか?と感じてしまった。

しかし荒れた道であろうと道は道である。私自身もやっぱりスクスタのアレやコレはおかしいという部分はたくさんあるがその中で感じた想い、(たとえそれがマイナスのものでさえ)は虹ヶ咲というコンテンツへの想いの積み重ねなのである。その都合の良い部分だけ切り取られても「はぁ?」といいたくなるのは至極当然の話なのである

そして、この作品は何回1st Liveをやればいいんだという気持ちである
2019年12月:虹ヶ咲1st Live
2020年9月:虹ヶ咲2nd Live(10人加わって初のライブ実質1st live)
2022年2月:虹ヶ咲4th Live(12人加わって初のライブなので実質1st live)
2022年9月:虹ヶ咲5th Live(同好会12人だけのファーストライブの再現なので実質1st live)
実質1st ライブがこれまでに3回ある。言ってみれば再現の再現である虹ヶ咲5th liveに私はノることが出来るのだろうか?

ここまでがライブまでに書き残した文章である

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虹の彼方に

さてではそんな複雑な気持ちの中で迎えた9/10.11と9/17.18に開催された5th Liveはどうだったか。結論から言うとライブそのものは楽しかった。
同じ5th liveと冠しているものの公演名をわけているだけあり、中盤以降のセットリストは大きく異なり、そのコンセプトは大きく異なるものだった。「colorful dreams! colorful smiles公演」をAqoursの3rd  Liveのようにアニメ2期の総括とするなら
「NEXT TOKIMEKI公演」はAqours 4th Liveのように虹ヶ咲そのものの総括というところか。

アニメの楽曲はもはやいうに及ばず作中で披露された順番に披露された後、CDCS公演では各キャラの2nd楽曲~ユニットのカップリング曲が披露された。2ndの楽曲は上記でも書いたテレビ最終回ようにメドレー形式で披露された。モニターに1st liveのロゴでもある「With you」が出てくるなど、さながらミニコーナーといった趣だった。
2ndアルバムのソロは楽曲各ユニットのファンミでも披露されず、一部の楽曲は虹ヶ咲3rd以来の披露であり、1st liveのオマージュであるからこその成長した力強さを見せつけてきた。もう「開花宣言」を涙ながらで歌った大西亜玖璃さんはいないのである。
しかし、ライブ自体は良かったからこそ、あの煌めきはライブであってこそ、というかやっぱり1st liveと同じ感動をアニメで与えようとするのは厳しかったという答え合わせにも近いものがあった。
ユニットのカップリング曲では「恋するmagic」が好きな私は狂わざるを得なかった。

NEXT TOKIMEKI公演ではミニドラマ(生首幕間とも言う)でR3BIRTH組が観客としてライブを楽しむ侑に妬き、自分も観客になってライブを楽しみたいというお題のもとにアニガサキ1期のソロ9曲を披露した。これは12人となった今でも1期の楽曲を合法的に持ち出すことができる、想定外のサプライズであり「Dream with you」のイントロが流れた時は会場のどよめきが抑えきれていなかった。だが、そういうサプライズ心があるならば、余計にアニメでの1st liveでこそアニガサキ1期のソロ楽曲を使い、ライブでのソロ楽曲を入れ替えた方が良かったのではないかと思ったのだが……

アンコール初手は視聴動画の時点で絶対盛り上がると言われていた「繚乱ビクトリーロード!」はロングの学ラン(どう見ても特攻服)にライトセーバーを片手にパフォーマンスの鬼と化したキラーチューンだったし、1期Blu-rayの特典曲のため9人曲だしいつのやるのかとヤキモキされられた「Hurray Hurray」 は公演ごとに9人と12人+1人披露する人数を変えることで全ての需要に応えた

Hurray Hurrayの矢野妃菜喜さん登場のフラッグぶん回しや、
繚乱での客席で振り回したら退場確定なブレードや
「夢が僕らの太陽さ」での花束を矢野妃菜喜さんの籠に集める演出などAqoursなどにはあまり見られない、自由な(行儀が悪いともいう)演出は虹ヶ咲らしい特権だなと改めて感じ入るものがあった。

最後のダブルアンコールはまぁ5thだしそういうこともあるだろうとライブ前の冷静な脳みそでは考えていたのだがライブ終盤の焼け付いた脳みそではそんなことを全く考えられなくなってしまったのである

アニメ最終回にモヤついていたのもあり「Future Parade」が自分でもびっくりするほど刺さらず、聞くと崩れ落ちそうになる「夢がここから始まるよ」とは別の意味で再生数が異常に少なかったのだが、ダブルアンコールではただただ圧倒された。ラスサビ前のR3BIRTHの声の伸びの素晴らしさよ……永遠なれ……

楠木ともりさんは本公演は4thとは異なりほかのメンバーより少し離れた場所に立ち激しいパフォーマンスこそないもののステージに立つこととなった。4thから見ると相対的に200%増しくらいでオフショットに映っているし、「みんなー!会いたかったよ!!」と1stの沈黙を払拭させたのは笑った。  4thでは「自分に出来ることに目を向けて…」とMCこそあったもののほとんどいわゆる天の声状態だった状況かつ、アニメ二期での楠木ともりさんの立ち回りがどこか腫れ物でも扱うようなような雰囲気が漂っていただけににかなりモヤモヤしたものを抱えたのも事実(個人でのライブ活動を見に行けている分猶更そう感じる。)
やはりいるのといないのでは大きく違うものだ、という部分だけでも5th liveに対する加点数は高かった。のだが。
最終日に「せつ菜を体現しなくてはいけないのにせつ菜が踊れないみたいに見えてしまうから私としてはやりたくはなかった。けど(中略)今回すごく楽しいライブでした」という彼女の心境の吐露に我々の身勝手な想いが彼女を苦しめていたのかもしれないと、頭を抱えた。
しかしそれでも自身の矜持とできることの間の中で揺れ一歩踏み出してくれたことには感謝の念が堪えない。

とここまで書いてきたようにライブ自体は楽しいしエモいものであったが、それはアニメ2期も良いものだったなと上書きされたかというとそうともなりきってない。1st live以来の「Love U My frirends」の銀テープ発射に嫌な記憶を吹き飛ばされただけといわれたら否定は出来ない。

結局侑をどうしたいの?とどのつまりスクスタとアニメをこれからも切り離していくのか、融解させてしまいたいのか?という問題についてははっきり言って答えらしいものが見えていない。にじよんをアニメ化するのはアニガサキの物語をこれ以上先へ進ませられないが、高咲侑は今後も登場させたいという事情も透けて見えなくもない。
スクスタ由来の「永遠の一瞬」を上記でも書いた虹ヶ咲そのものの総括的なNEXT TOKIMEKI公演だけでの披露に留めたところから察するに製作陣もそのことを分かっていないわけでないのだろうが…

しかし、そもそもアニメの予定がなかったと田中ちえ美さんの1st での自分を弄るという当人にしか許されない発言も見受けられたように、自分たちではどうしようもならない事情に振り回された虹ヶ咲だったからこそ彼女たちの出来事を回想した映像を流した時は、NEXT TOKIMEKI公演のみでの演出で何の心の準備もできていなかったため「走馬灯か?」と思ってしまった。そして「いつだって、いまが最高」とあの伝説の言葉をここで持ち出してこられたら、もうなすすべがないというか積み重ねてきたものを思い出し崩れ落ちるしかないのである。

次のトキメキはいずこへ

スクスタのリリースが2019年かつアニメ以降のテンポが爆速なだけで忘れがちだが、彼女たちは2017年デビュー、つまりこの世に生まれ5年である。Aqoursやμ'sが5thライブを行った時間の歩みとなんら変わりないのである。

つまり終わりはしないがコンテンツとしては一つの区切りについたと言っても良い。あるかどうか知らないが劇場版の発表もグループとしての次のライブの発表もない潔さは評価できるが「永遠の一瞬」を初発表の曲だと思っている人もいたようで、スクスタがコンテンツを盛り上げるにはあまりにも力を失ってしまった。あれだけマイネットが盛り返そうと奮起しているというのに(スクフェス2がパイの奪い合いにならないか、私は心配である)
公演タイトルでもある「NEXT  TOKIMEKI」へのビジョンがあまりにも不透明であることも否めない

ユニットライブは来年に控えてこそいるが、一つ区切りがついた今こそ虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会にとっての「未体験Horizon」が必要なのだ。具体的に言うならば次のソロ曲が欲しいというのが切なる願いだ。ユニットやグループの形も良いものであるのは事実だがそれは彼女達の主体かソロだからであって彼女たちの本質はソロなのである。
全員が足並みがそろった今こそMV付き楽曲センター投票をやってもいいし、なんならAqoursのように誕生日に個人のシングルCDを発売したっていいだろう。
虹ヶ咲がCDを発売するようになって毎年1枚はソロ楽曲を発表していたが、2022年も3/4が終わろうとしているのに次なる音沙汰が全くないのである
そんなことを思った次第である


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