『永遠と横道世之介 上・下』感想
どれだけささやかなものであれ、手元にある幸せがずっと続けばいいのに、という願いは誰しも共感する。世之介の予感は正しい。ドーミーの設備は高額の更新費用を必要とするし、上司である南郷の華やかな時代はあっという間に過ぎてしまう。そして哀しいことに、愛する人の命も等しく有限性のループに絡め取られている。
父親・母親は世之介のビッグチャンスよりも、それで多忙になることで健康を損ねないかのほうが心配だ。ドーミーで祝宴をひらく予定の世之介にとっては物足りない気もするが、長崎から上京してカ