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B Dash Camp2021AW Pitch Arena18社を判定

スタートアップ関連で唯一定期的に参加させていただくイベント、B Dash Campが2021年10月21,22日にあります。

今回私は下記のイベントの登壇とのため、このPitch Arena本選を見ることなく帰京予定です。

サムライのイベントでは「NEXT GAFAM」について榊原さんと私でトークするようです。茨城で...w

本選は見れませんので、下記の通り出場するスタートアップを、毎週金曜のウメキワークスの如く、「判定していく」記事を本稿でお届けします。

ウメキワークスの「判定基準」を今一度おさらいすると

そのラウンドで出資した投資家が(今回の記事では出資がない場合もあり、バリュエーション不明企業が多いですが、仮に今のステージで出資したと仮定すると)

S:5倍以上で回収可能
A:2-5倍で回収可能
B:1-2倍で回収可能
C:元本割れで回収
D:回収不能

あくまで、HPを見ただけでの判定なので、実際のプレゼンを聞けば(特にトラクションの有無)考えが変わることが多々ある点はご了承ください。

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こちらは、Bdachcampの一般公開ページより拝借。

このPitch Arenaの優勝企業はSmartHRなどがあり、本選出場企業は数年後にスタートアップの星となっている可能性も高い傾向にあります。

昔のPitch Arenaの記事はTheStarup時代の記事でどうぞ。(無料記事)

時期:優勝企業:リンク
2019AW:Anyflow:リンク
2019SS:Revcomm:リンク
2018AW:エアロネクスト:リンク
2018SS:カケハシ:リンク
2017夏:サークルイン:リンク
2017春:WAmazing:リンク

ヘー。色々ありますね。この中だと、カケハシとRevcommがIPOの確実性高いように思えます。

この記事では、最下部の「本選進出予想」のみ有料箇所とし、それ以外は無料公開とします。(9割型の箇所は無料記事です)

1.ascend 物流DX C

梅木:アセンド・ロジという物流DXサービスを提供。データ分析などを提供し、月額5万円、初期費用10万円からで提供。

ただ、物流DX自体はテーマとしては目新しくなく、競合も多いように見える。参入障壁もさほど高くないのではないか。

HPに情報がなさ過ぎて判断しづらいが、上記のようなロジックから、特段強みは見出せない。C判定。

2.AVA Intelligence OTA(AI)D

梅木:AVA TRAVELというOTAで、条件を入力すると、色々出てはくる。

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しかし、この手の旅行提案サービスは昔からアーリーステージでは見かけるが、跳ねた会社は見たことがない。結局は、ホテル特化OTAで手数料ビジネスとなるだけである。旅行プランニングで課金できるほど甘くはなく、SEO、リスティング、SNSでのCPAも高いゆえに、スタートアップにはコスト構造的に不利な戦いに陥りがちである。

D判定、回収不能で。

3.ベンナーズ 魚(PF&サブスク) B

梅木:魚!な企業らしい。お魚サブスクのフィシュルと、プラットフォームのMarinityを提供。ビジネス的には後者の方が成り立ちそう。B2Bプラットフォームであり、GMVに見える型。

この手のビジネスは一見、軽視しがちだが、ウィズコロナで食べチョクやポケットマルシェが伸びたという話も聞くし、案外馬鹿にできない気はする。しかし、八面六臂とか、伸びてなさそうに思えるスタートアップもある。

B判定で様子見。

4.ビーワンカレッジ KPIマネジメント B

梅木:Scale CloudというKPIマネジメントSaaSを提供。ニーズはわからなくはなく、言い方は悪いが、経営陣と現場社員の力量差が明確な企業ほど、ニーズが高そうに思える(経営陣:東大早慶レベル、現場:日東駒専レベルの企業はよくあるし、仕組みで回る企業ならこれでも成立する)。

一方で、現場社員のレベルが高そう(新卒で東大早慶レベルが多い)だと、KPI管理をツールでやられると、アレルギー反応も出そうな気がするが、どうだろうか。

既に導入事例もそこそこあるようなので、B判定様子見。ただ、会社のリリースを見たところ、「顧客企業の資金調達を、自社のリリースで扱う」という例は初めて見たw 顧客の成長に相乗りしてる感がハンパない点は、感心できない。

5.Coeto 音声SNS(カジュアル版クラブハウス) C

梅木:Wacha(ワチャ)という共通の趣味をもつ友だちと会話を楽しめる音声SNSアプリを提供。アーリーでも、C向けサービスは本当に少なくなりましたよね。

アプリを一応見てみましたが、テーマがカジュアル版なクラブハウスっぽさがありました。クラブハウス、聞かなくなりましたね。2021年1月末〜3月あたりの一瞬のトレンドでした。クラブハウスはビジネス色が日本では強かったのに対し、Wachaはカジュアル、ゆるい感じですね。

ライブ配信がポコチャや17で未だに一定のニーズがあるので、今後音声だけのこういったサービスにユーザー大挙してきても、ロジック的にはおかしくはないと思います。ただ、キラーコンテンツが何かというと、それがわからないし、獲得も難しそう。やはり、インフルエンサーの参入が鍵なのか。

普通に考えると、C判定。

6.クイッキン ホテルOS B

梅木:プラグインを組み合わせて、施設に最適なOSを作る、HotelStyle OS「aiPass」を提供。ホテル向けサービスは、大手チェーン系がターゲット顧客になるか否かで、収益が大きく変わるはずで、HPを見た限りでは、大手の導入実績はないし、大手向けだともっと細かいカスタマイズを求められそう。

中小ホテル向けでロングテールで積み上げという方向な気がするが、スマートチェックインとプラグインの導入で1万円(月額かは不明)とのこと。

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一応、1万室の導入実績はある。1ホテル平均室数50部屋とすると、200ホテルに導入でBasicプランが月額だとするとMRR200万円となる。

トラクション的には、なくはないと思うのですが、すごい跳ねそうとも思えず、B判定様子見。

7.デジタルレシピ NA

梅木:HPが繋がらないため、コメント略。

8.Engineerforce エンジニア見積もり工数 B

梅木:エンジニア向けの見積もり工数のDXで、プロジェクトの振り返りで使い、PDCAを回し、次のプロジェクトに備えたり、プロジェクト進行中にも役立つ。みたいなSaaSのようです。

HPを見るとアトラシアン上のプロダクトもあるようですね。アトラシアンに載せておくことで、セルフサーブで勝手に使われると旨味があるのですが。(注:アトラシアンをApp Store的に捉えると良い)

ただ、Must Haveではなく、Nice to Haveなプロダクトに思えなくもない。その点、どうだろう。B判定で。

9.FastLabel 6,500万円 アノテーションプラットフォーム(教師データ作成代行)A

投資家:ジェネシア・ベンチャーズら

梅木:2021年3月に調達、UWでA判定。当時の記事から、コメントを引用要約すると

アノテーションとは、あるデータに対して関連する情報(メタデータ)を注釈として付与すること。転じて、AI業界では、機械学習のモデルに学習させるための教師データ(正解データ、ラベル)を作成すること。

SaaSか不明ですが「定額の」プラットフォームを導入し、その上で画像動画テキストなどの教師データ作成代行で従量課金というモデル。Incubate Camp13thに出場していたようですね。AIのボトルネックは教師データの作成にある、という指摘をしていて、たしかにそうなのだろうなと思うので、良さげなサービスに思えます。

今見ると、完全に従量課金のようです。

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ただ、教師データ作成という市場自体がニッチというか、教師データさえ作ってしまえば、あとはそれでデータ収集だと思うので、その点は懸念としてはあります。とはいえ、次のラウンドには進めそう。A判定変わらず。

10.GiverLink 介護経営支援 B

梅木:介護のコミミという介護ソフトの口コミサービス。ビジネスモデルは、アフィが中心なのだろうか。

介護は成長市場ですし、DX余地も大きい。それゆえ、ソフトウェアサービスがたくさん出てきていますが、選ぶのが難しい。という課題はありそうです。

ただ、介護ツールのアフィだけだと、売上のアップサイドは限定的に思えます。第三者的立ち位置が強みである以上、カイポケを提供するエスエムエスによる買収。とかは考えにくい。

手堅い需要は見込めるが、アップサイドの爆発力に欠ける気がするので、B判定で。

11.ホロックス CSマネジメント A

梅木:YORIAIというCSマネジメントツールを提供。

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CSの成否で解約率は大きく左右されることもありますから、CSへの投資やCS効率化ツールには需要があると思います。

当初は法人向けXRの提供で、EVやSkyLandから1,200万円調達していたようですが、全くXRではなく、単なるSaaSに見えますが、ピボットした。という理解で合っているのだろうか。ピボットした方が、正解に思えます。

具体的トラクションは不明ですが、CSの効率化には需要あるので、A判定で。

12.ジェイタマズ セールステック(オンライン商談)A

梅木:OPTEMOというオンライン商談ツールを提供。

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プレイドのKarteと近接領域に思えなくもない。具体的には、WEBページに「このまま少し話を聞いてみる」ボタンを設置することで、サイトを閲覧中のユーザーとそのままオンライン商談しやすい、セールステックと言える。

たしかにアポを取らずとも、その場で10分程度話聞いて、利用するか否か判断できたりしますよね。アポ取らないといけない。って、悪しき慣習な気がします。月額10万円から。セールス効率化にアリだと思う、A判定。

13.KINCHAKU 中小店舗集客 C

梅木:KINCHAKUという、デジタルカードを活用して顧客管理や業務効率化を支援するクラウドサービス。

昔からこういうの、たくさんありますけど、どこも勝者がいないのはなぜなのだろう。中小店舗のポイントカードのDXですね。スタンダートプラン月額6,000円。

あくまで仮説ですが、アプリで利用する中小店舗って、利用頻度が高い店じゃないとユーザーが使わないと思います。私でいうと、昔はスタバ。つい最近までは、近所にあったテイラードカフェ。これらは週に1,2回は行くので、利用頻度が高く、独自のアプリを使う理由になります。

百貨店のアプリもありますが、百貨店の利用頻度が低いので、アプリ使わないのですよね。家電量販店も使わない。

独自アプリを使わず、ウォレットパスで利用するそうですね。

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私はANAのチケットだけはウォレットパス使いますが、ここまでして使いたい店舗がユーザーにはない。という構造的な問題ではないでしょうか。C判定で。

14.パートナーサクセス 1億 SaaS(代理店営業管理)A

投資家:Coral Capital、ALL STAR SAAS FUND

梅木:2020年12月に1億調達、UWでA判定。当時の記事からコメントを引用すると

なかなか面白い論点で、代理店営業を利用する市場規模がどれくらいかは記事にも記載はないですが「一定の市場はある」とアバウトに書かれていた。個人的な感覚値としても、それは理解できる。

しかし、代理店営業管理に特化したSaaSはなく、目の付け所としては面白い。参入障壁が高いとは思わないが、代理店営業市場がすごく有望そうという感じでもないので、競合も入って来づらそう。

月額1万円〜という料金設定もアバウトなのは気になるが、チューニングして価格は上げていくのでしょうね。既にマネフォやSmartHRが導入しているようです。

今HPを見ると、インフォマートも事例に加わっています。価格はサイト上からは不明。導入企業数も不明です。感覚にすぎませんが、月額1万円よりもっと高額でも課金されると思う。

代理店を使った企業活動をする企業がどれだけあるかという市場規模に大きく依存すると思われるが、ニッチなので独占市場にもなり得る。最悪、マネフォとかのM&A対象にもなり得るだろう。M&Aを睨んだA判定継続。

15.プライシングスタジオ 1億 価格改善 C

投資家:STRIVE、(既存)EV、CAC

梅木:2020年1月に1億調達、UWでC判定。当時のコメントを引用すると

PRICING SPRINTというサービスを提供。スポット利用と年間契約があるようですが、価格改善というペインは年間契約とは相性が悪いように思えます。最初の1,2年は仮に年間契約しても、価格のスイートスポットを見つければ、その後価格改定の必要がさほどなく、毎年価格改定を検討するためにSaaSでコストを支払い続けるか?という点は疑問です。

よって、SaaSプランを用意しても、LTVは解約率が低いSaaSほどは上がらない。そういった構造的な弱さがあり、ピュアSaaSと比較した時にライフタイムが短いはずなので、評価できない。ということで、出口を見出しづらくC判定。

SaaS全盛ですが、SaaS支援領域は実はあまり旨味がないのでは。と、米国Zuoraを見て感じています。国内だとアルプとか応援してはいるのですが、最近はSaaS支援系にややネガティブ気味になってきました。

私はプライシングには関心が高いため、一瞬「はて、なんでC判定にしたのかな?」と思い出せなかったのですが、当時のコメントを見て納得です。

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スポット、半年ごと、四半期ごとのプライシング見直しプランがありますが、これってSaaSというよりは、スポットで課金するサービスであり、SaaSじゃないよね?SaaSとは相性悪いよね?という話に尽きます。ビジネスモデルとして、旨みがない。という判断になります。

言い換えると、単なるコンサル業と近しい。ということ。C判定継続。ぱっと見は良さげなので、トラクションとか聞くと評価変わる可能性もありますが。

16.Rsmile マンション共用部清掃 D

梅木:マンション共用部清掃のCOSOJIを提供。今まで住んでいたマンションの共用部は大抵清掃の人がいたので、なぜこれに需要があるかよくわからず。価格帯が低いマンション向けなのでしょうか。大抵は管理会社がいるはずで、管理会社が清掃もカバーするものだと思っていました。

地域の方にスポットで頼むものではなく、もっと仕組みとして成立させるもののように思えますが、違うのでしょうか。私が需要を読み違えている可能性も大いにありますが、D判定で。

17.TRULY 女性向けオンライン相談 D

梅木:女性向けオンライン相談サービス。フェムテックが最近増えていますが、そのほとんどは参入障壁が低そうに思え、生理関連の事業はたくさん出てきていますが、ペインは理解できますが、特にモートが感じられないサービスばかりなので、ビジネスとして魅力を感じません。

こちらのTRULYも同様で、法人プランが月額10万円からありますが、女医や専門家が相談に乗ってくれる。博報堂やビズリーチが導入している。ようですが、相談という性質上1on1の労働集約型ですし、スケーラビリティに欠けます。もはやテックですらない。D判定で。

類似分野として、コーチングもテックですらないといえますが、対象者が性別で区切られることもなく、「ざっくりとした相談」、よりも「経営者向け」とかでターゲティングされ、単価も高いので、まだ理解できる。

18.WAVE1 ビルメンテナンス・マッチング B

梅木:ビルメンテナンス業界特化の求人サービス、ビルメを提供。助太刀のビルメンテ業界版に思えます。

ビルメンテ業界の市場規模がわかりませんが、単発仕事のマッチングと相性が良い業界ではあると思います。最悪、上場するであろう助太刀や、ビルメンテに強そうなザイマックスあたりのM&Aを期待しつつ、市場規模のニッチさは割り引いて考えて、B判定で。

本選進出予想企業:6社

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