埋め草原稿

ふと思った事などを気楽に書いていこうと思います。

埋め草原稿

ふと思った事などを気楽に書いていこうと思います。

マガジン

  • 随筆

    これまでに書いた随筆を収録しています

  • 時事的な事柄に関する記事

    時事的な事柄について書いた記事の置き場です。

最近の記事

  • 固定された記事

『桃花源記』雑感:向はんとすれば即ち背く

一陶淵明の著した『桃花源記』が、中国文学や中国文学史研究でどう扱はれてゐるのか、私は知らない。以下に記す事は、中国文学については全くの素人である私が『桃花源記』を読む中で抱いた感想である。 『桃花源記』の粗筋は次の様なものである。中国の晋の時代に、武陵といふ場所に或る漁師がゐた。或る日、漁師は谷川に沿つて航行する内に、どれ位進んだのか忘れたところ、一面に桃の花が咲き誇る林に出逢つた。漁師は林の奥へ進み、山の口を見つけてそこを通り、桃源郷へと辿り着いた。桃源郷の人々は外界から

    • 夜道を帰る中で

      今年度に入ってから、できる限り定時で帰るようにしていた。超勤が続くと、健康によくないと考えるようになったからである。しかしここ数週間は何かと慌しい。年度内に幾つかある繁忙期の一つが来たらしい。それもあって、今日は帰るのが遅くなった。 最近は日が長くなってきたので、午後6時頃であれば、まだ周囲は明るい。しかし午後8時近くになると、日も沈んで、辺りが暗くなっている。その暗い夜道を、歩いて帰った。 久々に夜道を歩いてみると、周囲の音がよく聞こえてきた。水が張られた田んぼからは、

      • 株価チャートの背後には人々が下した選択がある

        2024年1月に、新NISAが始まった。それもあって、投資に関する本や記事を読み始めた。色々と読んでいく過程で、投資の考え方は、他のことにも応用できるのではないかと考えるようになった。そのことについては、すでに別の記事で書いた。 投資関係の文章を読む中で起きた変化は他にもある。それは株価チャートを見た時の捉え方である。以前は、数字の変動を示すものという印象を抱いていた。しかし今では、投資家が下した選択の歴史という印象を抱いている。 過去のデータを見る限り、経済指標は上がり

        • 「分散投資」という視点から働き方を考える

          1 投資に触れる――新NISAの開始2024年1月から、新しい「少額投資非課税制度」――いわゆる新NISA――が始まった。それに伴い、証券会社で口座を開設し、投資を始めた人も多いのではないかと思う。 世間で新NISAが話題となっていたこともあって、少しずつではあるが投資に関する本や記事などを読み始めた。論者によって主張は異なるものの、「分散投資」という方針を推奨している点は共通している。一つの企業の株だけではなく、複数の企業の株を持つ。一つの国・地域の株だけではなく、複数

        • 固定された記事

        『桃花源記』雑感:向はんとすれば即ち背く

        マガジン

        • 随筆
          8本
        • 時事的な事柄に関する記事
          1本

        記事

          文体を使い分ける重要性

          1 二つの文体 色んな文章を読む過程で、文体は二つに分けられると思うようになった。一つは、一文が短く、文構造が簡潔な類である。もう一つは、一文が長く、文構造が複雑な類である。前者の例を挙げるならば森鴎外であり、後者の例を挙げるならば谷崎潤一郎であろうか。 私は森鴎外と谷崎潤一郎について詳しくはない。彼らの作品を全て読破したわけでもない。従って、彼らの作品の良し悪しについて、論評することはできない。けれども二人の作品を読んでいて、面白いと思ったことがある。それがすなわち、両

          文体を使い分ける重要性

          年明けから始めた自炊生活を振り返って

          今年の初めから、本格的に自炊生活を始めた。それ以前にも、1週間の内の何日かを自炊して過ごすことはあった。けれども今回は、1週間を通して自炊するようにした。 自炊を本格化させたのは、節約の必要性を強く感じるようになったためである。それまでは昼食用の弁当を注文していた。それによって手間は省けるが、昼食だけで500円から600円が消えてしまう。この出費が日々積み重なると、馬鹿にならない額になる。朝食や夕食も、やろうと思えば昼食と同じように、すでにできあがったものを買って済ませられ

          年明けから始めた自炊生活を振り返って

          もうすぐ6月――梅雨と蛍と

          早くも5月の中旬である。気温と湿度の高い日が増えた。もうすぐ6月がやってくる。 6月は梅雨の時期であり、雨天の日が続く。雨天の日は外に出る気がなくなる。ここ最近は、雨天の日は単に雨が降っているだけでなく、風が強いことが多いように思う。そのため、「傘が役に立たないな」と思うことが増えた。傘を差しても濡れるというだけでなく、強風で傘が使い物にならなくなることが多いのである――単に私の傘の差し方が悪いのかもしれないが。こういう時にテレワークができれば、わざわざ家から出なくともよい

          もうすぐ6月――梅雨と蛍と

          時間調整と力配分の難しさ

          学生だった頃、色々な人から、「社会人になると、自分の自由に使える時間が少なくなる」と言われました。けれども当時は、まだ自分が社会人になっていなかった事もあって、その字面の意味を頭では理解したものの、今一つ具体的な感覚を持つ事ができませんでした。けれどもいざ自分が社会人になってみると、少しづつではありますが、上記の言葉の意味を理屈ではなく感覚として理解できるようになりました。 誰しも一度は、自分のやりたい事ができない状況に対して、不満を抱いた経験があるかと思います。それは金銭

          時間調整と力配分の難しさ

          気楽に外国語と接したい――新年の抱負

          年末年始の休みが始ったと思っていたら、早くも三が日が過ぎようとしています。明日から年明け最初の通勤や通学が始まる人も、大勢いらっしゃるかと思います。かく言う私も、その一人です。 noteに投稿された記事を見ていると、多くの方が新年の抱負を掲げており、自分も何か頑張ってみようという気持ちになります。過度に他人と自分を比較する事は望ましくないけれども、自らのモチベーションを保つ為には、適度に他の人の様子を見る必要があるのだろうと、改めて思った次第です。 私自身の抱負は、気楽に

          気楽に外国語と接したい――新年の抱負

          謹賀新年(2024年1月1日)

          2023年が過ぎて、2024年がやって来ました。新年あけましておめでとうございます。こうして記事を投稿するのも、随分と久しぶりの事です。 年齢を重ねるにつれて、時間の過ぎる速度が速まっている様に感じます。大晦日に2023年を振返ってみても、「もう大晦日か。今年の自分は何かやり遂げたことはあっただろうか」、という疑問が浮んできました。何もやってなかった訳ではないのでしょうけれども、日々の出来事に押し流され勝ちな年だったのは確かであると思います。 最初は慣れない事であったとし

          謹賀新年(2024年1月1日)

          万華鏡

           最後に万華鏡を覗いたのは何時だつたか、正確な事は思ひ出せない。恐らく小学校低学年の頃が最後ではなかつたかと思ふ。いづれにしても、久しく万華鏡を手に取らずに過ごしてきた事は確かである。  幼い時分に覗いた万華鏡は、土産物店で買つて貰つたものだつたと記憶してゐる。それは高価なものではなく、設計に凝つたものでもなかつた。鏡の反射が織成す紋様は、比較的簡素なものだつた。無論、幼い子供はそんな事を一々気にしない。万華鏡を覗いた時に見える紋様が、筒をクルクル回すに随ひ、次々に――しか

          学説の変遷と研究者の雇用状況

           文系と理系とを問はず、学問研究で主張される学説には、その研究が行はれた時期毎の特色がある。さうした学問研究の在り方それ自体を研究対象として取上げる試みが、学術史や科学史と呼ばれてゐるものだと思はれる。思想史もまた、その類の試みだと言へるのかもしれない。  学術史、科学史、思想史は多くの場合、思想家や研究者を選び出し、その人物の生い立ち、交友関係、主張した学説の内容、その学説が生れるまでの経緯、といつた事柄を検討してゐる。そこで複数人の人物が取上げられ、時系列順に並べられた

          学説の変遷と研究者の雇用状況

          「グローバル化」といふ言葉について思ふ事

          始めに新聞や雑誌、或はウェブ上の記事を見てゐる時、屢々目にする言葉といふものは色々あると思ふ。「グローバル化」と言ふ言葉は、その代表例である。この言葉について思ふ事を、以下に書きつけてみたい。 1 日本に於ける「グローバル化」といふ言葉:その使はれ方と現れ方「グローバル化」といふ言葉は、近30年間、絶えず叫ばれてをり、もはや標語となつてゐる。同じくここ30年に亙って叫ばれてゐる標語の一つに、「改革」がある。そして、「改革」の名の下で発案・実施される種々の試みの中身は「グロー

          「グローバル化」といふ言葉について思ふ事

          自動車學校の思ひ出:行動しながら考へる事の難しさ

          始めに多くの人は自動車學校を、自動車等の運轉免許を取得する爲に通つた場所として記憶してゐるであらう。けれども私は自動車學校を、運轉免許を取得しに行く場所といふよりも、死角といふ事について考へさせられた場所として記憶してゐる。 1 視野に入つてゐる筈の範圍內にも死角はある 自動車學校に入つて間もない頃に受けた或る學科授業で、こんな事があつた。その講義を擔當してゐた講師の方は、誰もゐないと思つた所に實は人がゐて、それに氣付かなかつた爲に生じる事故の存在に言及した後、次の樣な趣旨

          自動車學校の思ひ出:行動しながら考へる事の難しさ

          最初の投稿

          日々の中でふと思つた事を書いてみようと思ひます。投稿頻度などは特に決めず、無理をしない範囲で投稿する積りです。 ここでは最初の投稿といふ事もあり、「ですます」調で記してゐますが、基本的には「である」調の文体で投稿する積りです。その点について、理解して頂けると幸ひです。 なほ、歴史的仮名遣ひを用ゐてゐる事については、特に深い理由はありませんが、強ひて理由を挙げるならば、次の様になるでせうか。戦後に於ても、一部の文筆家は歴史的仮名遣ひで文章を書いてゐたわけですが、さうした文章