GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)はアフリカで何をしている?
世界で強いGAFAですが、アフリカではどうなのでしょうか。プラットフォーマーとして次々市場を狩っていくこれら企業、アフリカはまだ無傷なのでしょうか。また、これら企業は、アフリカ市場をどう捉えているのでしょうか。
実はGAFA4社とも、今年になって、動きが活発化しています。コロナ感染拡大は、アフリカでの機会を掴むむしろチャンスだと捉えているのだと思いますし、実際そうなるでしょう。
1社ずつみてみたいと思います。
以下は、「週刊アフリカビジネス」で掲載した、GoogleやFacebookのアフリカでの動向に関する特集から一部抜粋したものです。
週刊アフリカビジネスについてはこちらからご覧ください。
フェイスブック
フェイスブックはこの9月、ナイジェリアのラゴスにオフィスを開設すると発表しました。アフリカでは、2015年の南アフリカに続き2拠点目です。
アフリカにおけるフェイスブックは、これまではブロードバンドネットワークの普及のためのインフラ投資が中心でした。同社の2014年から2018年のアフリカへの通信インフラ投資額は810億円を超えるとされています。
この5月には、世界で2番目の長さとなる、アフリカ向け海底ケーブル2Africaの取り組みを開始することを発表しています。
2016年、ザッカーバーグ氏はナイジェリアとケニアを訪問しました。その後、ラゴスにおける代表的なテックハブ/コーワーキングスペースであるCCHubと提携したり、ザッカーバーグ氏夫妻が設立した財団、チャン・ザッカーバーグ・イニシアチブを通じて、エンジニアを育成しつつ請負を行う(現在はビジネスモデルを変更)ナイジェリアのスタートアップAndelaに出資をするなど、アフリカ訪問後は現地のエンジニア支援に注力している様子です。今回のラゴスオフィスでも、現地のエンジニアを採用すると発表しています。
訪問したナイジェリアで、ランニングをするザッカーバーグ氏。この橋は、いつもは人がランニングするような場所ではないので、このとってつけた感がちょっとおかしいです。
https://www.news24.com/fin24/tech/news/the-future-will-be-built-in-africa-mark-zuckerberg-20160831
ザッカーバーグさんは、このときナイジェリアのラゴスとケニアのナイロビを訪問したのですが、もともとの目的はラゴスで、ケニアは時間がとれそうだからついでに寄ったんですよね。ついでといっても、ラゴスとナイロビの間のフライト6時間ですが。
もともと関心があったのはナイジェリアのようだし、訪問したこともあって、それ以降フェイスブックはナイジェリア推しですね。
ちなみにザッカーバーグさんがケニアにきたとき、私は地理的にすごく近くにいたんですが、姿を見ることはできませんでした笑
サービスとしてのフェイスブックは、アフリカでも人気で、必ず携帯にアプリは入っていると思いますが、Whatapp(Lineのようなサービス)が普及して以降、人々の可処分時間はフェイスブックでなくほとんどWhatsappにとられているように思います。といっても、そのWhatsappはすでにフェイスブックが買収済みなんですが。
Google(アルファベット)
南ア、ナイジェリア、ケニア、ガーナにすでにオフィスを持つのがGoogleです。
GAFA4社の中で、もっともアフリカに積極的で、多様な取り組みを行っているのは、Googleでしょう。
Googleは、通信インフラ投資として、2011年にCSquaredに出資しています。この会社、三井物産もco-Investorです。2019年には、アフリカと欧州をつなぐ海底ケーブルEquianoの敷設を発表したり、また今年になってとうとう、長年取り組んできた、気球を飛ばして基地局とする気球インターネットの商用サービスがケニアで開始されました。
アフリカでも都市部にはすでに基地局が設置されていますが、人口密度が低く、基地局設置が割にあわない地域が、気球インターネットのターゲットです。
https://www.bloomberg.com/news/articles/2018-11-16/google-s-solution-for-african-internet-balloons
気球基地局については、ソフトバンク子会社である日本のHAPSモバイルも、ルワンダで実証実験を開始すると発表しています。ソフトバンクはドローン基地局も進めていますね。
Googleは、こういった通信インフラ投資の他、低価格アンドロイドスマホのサブスク販売をケニアで開始したり、太陽光発電や風力発電といったエネルギーインフラへの出資も進めています(風力発電については、ケニアで大型投資を行う予定だったのですが、取りやめてしまいました)。
スタートアップ投資として、たとえば、こちらのような、公共交通データプラットフォームを提供する会社に出資したりしています。この会社には豊田通商も出資しています。
今年1月には、開発者向けハブであるGoogle Developers Spaceをナイジェリアのラゴスに開設すると発表しています。さらに今月は、ナイジェリア政府と観光業への支援で協業したり、仏語圏でも低価格スマホを売り出すなどを発表しています。これらのニュースは、今週発行する週刊アフリカビジネスで取り上げます。
アマゾン
アマゾンは2017年に、ドバイを本拠とするeコマース会社Souqを買収しました。Souq(アラビア語で「市場」の意味)はアラブの国々で事業を行っており、展開国にはエジプトも入っています。つまり、Souqを買収したことで、アマゾンはアフリカのeコマースに進出したこととなります。
エジプトはいま、政府を挙げてオンライン化に取り組んでいます。アマゾンはこの8月、今後もエジプトで事業を拡大し、人工知能やデジタル決済を取り入れ、エジプトでもAmazon Flex(自家用車を所有する人が空き時間を利用してアマゾンの商品を輸送し追加収入を得るUber的事業)を取り入れていくなどと語っています。
アマゾン自身のeコマースサービスは、アフリカにオフィスや倉庫などの拠点はもっていませんが、海外配送を使ったり、また英国などで受け取り配送をしてくれるサービスなどがあるので、アフリカでもアマゾンから商品を購入している人はみかけます。
一方、アマゾンのクラウドサービスであるAWSの方では、2004年となんといまから16年前から、開発チームを南アフリカのケープタウンに置いています。2015年にはオフィスを開設し(Googleと同じタイミング)、今年4月にはAWSサービスの提供を実際に開始しました。
さらに今年4月には、南アフリカに米・欧州向けのカスタマーセンターを設立することも発表し、新たに3000人を雇用する(あわせて7000人)としています。
AWSは、南アの次はケニアでオフィス開設準備を進めているようですが、ケニア政府はデジタル産業への規制や税制の変更を検討しており、どうなりますかね。
あと、アマゾン子会社のオンライン決済Payfortは、北アフリカでDHLと組んで事業を行っていますね。
アップル
アップルの製品であるアイフォンやマックブックは、アフリカでも人気です。正規の代理店を通じて、または非正規や中古品も含めて、市場で販売されています。
ガーナのアップル正規販売店。アフリカの主要都市にはこのような正規ショップがあります。
(ABP撮影)
かつてはアイフォンは新品がメインだったので、「見せアイフォン(人に自慢する用の携帯としてアイフォンを持ち歩く)」を持っていたり、誕生日に彼氏にアイフォンを買ってもらうのが自慢だったりしていました。
最近は中古も手に入りやすくなり、たしか200~300ドルくらいで買えるようになってきたので、持っている人は多いです。
消費財を中心にアフリカにおけるブランド力を調べた「アフリカで強いブランドトップ500」をみると、アップルは6位に入っており、常に上位の常連です。
アフリカにオフィスはありませんが、今年4月に世界52カ国でApp StoreやApple Musicのサービスを新たに開始した際、そのうち25カ国はアフリカの国々でした。アイフォンやマックブックといった製品だけでなく、サービスの展開を開始します。
GAFA4社とも、アフリカには、サービスや商品の消費地としてはすでに参入しています。フェイスブックのWhatappはアフリカを席巻していますし、みんながもっている携帯はアンドロイドで、現地スタートアップがまずアプリを上げないといけないのはPlayStoreです。
アイフォンも人気だし、アップルはApple Musicのサービスを開始しました。アマゾンで買い物している人もいれば、現地IT企業は南アのAWSの利用を検討するでしょう。
ただ、フェイスブックやGoogleがアフリカへ行っている投資の内容をみると、通信インフラとエンジニア育成であり、まだ、アフリカはそこから始める必要がある市場とみていることがわかります。
そこからはじめたとしても、投資を行っていくだけのリターンがある市場とみているともいえますね。
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