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224冊目:孤高の人/坂本眞一・新田次郎

こんばんは、Umenogummiです。


今日は山に魅せられた男たちの物語です。
舞台は現代で、新田次郎氏の描く小説・孤高の人とは内容がかなり異なります。




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孤高の人/坂本眞一 作画・新田次郎 原案




あらすじ



森文太郎は転校した先の高校で、クラスメイトでクライマーの宮本一に煽られ校舎を登攀、屋上まで登り切り、クライミングの興奮を覚えます。

著名なクライマーで高校の英語教師の大西の指導の下、文太郎はクライミングにのめり込んでいきますが、ある悲劇的な事故、そして雪山での遭難をきっかけに高校を退学します。


その後は派遣社員として工場に勤務しながら、山へ行くために体を鍛える日々。

大西の大学の先輩のジャーナリスト・黒沢に誘われ、政財界にパイプを持つ登山家・二宮の主催する、前人未到のK2東壁登頂に挑む14マウンテン山岳会に参加することになります。


しかし、文太郎を含むK2アタック隊のメンバー5名で、前哨戦として挑んだ北アルプス縦走で大規模な遭難事故が起きてしまいます。



感想


文太郎は、周りに恵まれなさすぎて、本当に同情してしまいます。。。無口なので、なかなか想いを伝えられなかったり、勘違いされてしまったり、文太郎が悪い面もあるかと思うのですが、それにしても。

そんな彼だからこそ、やっと理解者である大学の足立先生や、のちに文太郎の妻となる加藤花、娘の六花が出てきたときはホッとしましたね。けれどもやはり文太郎は山に魅せられて、ラストではとうとうK2に挑みます。

K2のあとはそれまでの激しい描写とは一転、穏やかな時間が流れます。


以前紹介した坂本氏の作品・イノサンでもそうなのですが、表現力が独特ですごいです。


雪崩が起こるシーンは文太郎が高速道路を歩く姿を描いたり、氷塊が落ちてくるシーンはコンテナが落ちてくるような描写であったりと、あまり身近でない登山を、わかりやすくたとえるように描いているのだと思います。


文太郎の単独行という、孤独な闘いを描いた作品です。




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