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幻となったピンクのガーベラ

明け方、雷、起き抜けのまどろみの中。
意識が、夢と現実の区別がつかない状態のときに唐突に、
そういう体験をする。

2021年7月15日の明け方
外は嵐のような風雨で、雷鳴が轟いていた。
雷の音で目が覚めたのか、
枕元に落ちてくる【何か】の音や感触で目が覚めたのか
今はもう、わからない。

【それ】は、天井からひらひらと落ちてきて、枕元に降り積もっていった。
『? 何だろう?』と思いながら、枕元に落ちたものを
半ば寝ぼけているような状態で、拾い上げた。

この時期の朝5時半頃は、もう十分に明るい。
夜中に外気を取り入れることもあるので、
寝室の窓の外につけているシャッターは
いつも下の方を少し開けている。
寝室の西側にある窓には、シャッターは付いていない。
だけど遮光カーテンの隙間から、外の光は入ってくる。
晴れていれば光が差し込んでくるので、部屋はうっすらと明るくなる。
いつもなら。

外は嵐で、分厚い雲に覆われている。
この時間にしては、寝室はいつもより暗いはずなのに、
天井方面から何かが光りを発しているようで、部屋が妙に明るかった。

だから【それ】は、妙に明るい空間の中で見たものだ。

拾い上げたものも、今なお天井から降ってくるものも、
そんなことは、ありえないものだった。

『ピンクのガーベラ!?』

この手の感触、におい、質感、これくらいの質量のモノが、
天井付近からbedに落ちてきたときの反動と音。

ありえないことが起きている。

『これが幻だというのなら、現実の何をもって現実と言うのか?』
という思いと、
『これが現実なんてありえない』
という思いが交錯している中で、【何か】が、話しかけてきた。

「この人を探して!」
と言いながら【何か】によって差し出されたものには、
イラスト風のタッチで人の横顔が描かれていた。

『・・いや、無茶ぶりだろ!
 知っている人間ならともかく、こんなイラストでどうやって?』
とっさにそう思った時に、それを言ったのかもしれないし、
伝わったのかもしれない。

諦めたのか、失望したのか【何か】は、ふっと消えた。
それとともに、現実のものとしか思えなかったガーベラも消えた。

確か以前にも、こんなことがあったな。
以前経験したのは、完全にコントだったけれども・・。

雷鳴の明け方、こんな不思議な体験をするのは、
雷によって発生した磁場が、人に幻覚をみせるのだろうか?

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