しましまコップとぞうの色
もう三十年以上前の作品なのに、未だに納得いかないものがある。
一つは幼稚園の時に作った画用紙のコップ。好きな色に塗ってから紙をクルッと丸めてテープで止める作りだ。一色に塗る子、大きいハートを描く子、水玉模様にする子。私はクレヨンを全色使いたくて、しましま模様にすることにした。他の子たちが完成し始めても私は三分の一くらいしか塗れていなかった。スピードを上げるよう先生から言われ、不本意ながら雑にしましまを描き続ける。ほとんどの子が書き終える頃になると、完全にイライラした先生が「もう、あとは一色で塗っちゃって!」と言った。泣きそうになりながら紫で白い部分を塗りつぶした。
きれいなしましま
雑なしましま
紫の塗りつぶし
三つのエリアに分割された不本意なコップが出来上がった。「普通に塗ればよかったね」と先生に言われた。母には「最初からこういうデザインにしたくてしたんだ〜」と伝えた。
小学校一年生の図工でぞうを描いた。ぞうの色は『水色、黒、白』を使うことにした。特に水色を使うことは譲れなかった。黒はほんの少しでいいので調整が難しい。気に入った色が作れても、使い終わってしまうと次の分を作るのに時間がかかり、塗ることより色を作ることに大部分の時間をとられた。クラスメイト達が終盤にさしかかっても、私はまだ六分の一くらいしか塗れていなった。先生が横に来て「ぞうは黒と白混ぜればいいの!」と言った。涙をこらえながら顔以外の場所はのっぺり灰色のぞうを描き上げた。
後日、保護者面談で担任は「ぞうを塗るのに水色を使っていたのが個性的で良かったです。」と満面の笑みで母に話した。
どちらも作品はもう手元に無いし、そもそも一応完成させしまったから後から直せない。居残りでも、宿題でも、未完成のままの持ち帰りでも良かったのに...とずっと思っていた。このnoteをもって完成としようと思う。
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