見出し画像

【日仏の違いをひも解く】 フランス在住oharicotoさんと日常を語る#2 


一度も行ったことのない国にお住いの方とお喋りができるなんて、凄い時代になったものだと思う。

お話しするのは今回で2回目。コンプレックスさえ感じるあのフランスにお住いの方とstand.fmでお話しをさせていただいた。

わたしはセザンヌが好きだ。フランスといえば、ゴッフォもロートレックも、かのマティスだって暮らした国。描けば絵になるような風景が今も残り、その風景に溶け込むような街角のカフェで、フランスの人々は道行く人々を眺めながらお茶を飲む。ここはわたしたちの街なのだとお茶を飲んでいる。何とも大人な国だと思う。


お話しさせていただいたoharicotさんが語られるフランスは、とてもいい。フワフワなどされていない。なにしろすでに10数年暮らされていて、働いてもこられている。そこがいい。異国で育った視点を併せ持ちながら、フランスを冷静に観察し、そしてフランスでの暮らしを堪能されている。

話し言葉で階層が分かれ、きっちり階級ですみ分けされた国。

そんな国でわたしが惹かれるのは特権階級ではなく労働者階級の人々。彼らは実にたくましい。

今日は、前回お話しした際に、気になっていた点についてお尋ねしてみた。

前回、フランスにも正社員と非正社員には待遇の違いがあるんですよ、というお話しを伺っている。今回はそこの部分をもう少し詳しくお尋ねしてみた。

「フランスの最低賃金はおいくらですか?」

と。

すると、思った通りの金額を教えて頂けた。凡そ1,500円だそうだ。

そうそう、そこがお聴ききしたかったのだ。

それであれば、1日8時間働くと12,000円。1か月22日働くと264,000円。これであれば年収300万円代は無理でも年収200万円代はゆうにキープできる。

どうにか暮らしていける。

それがフランスの最低賃金。

ところが日本の最低賃金は、地方によって差があるけれど、東京は2023年10月に3.8%値上がりして、最低賃金が1,113円になっている。地方では今でも900円代の所が多い。

そこから社会保険料15.66%が差し引かれると手取りの年収は200万円を割る。

これで家を借りて人間が暮らしていけるはずがない。

人は病気もするし、時には旅行にだって行きたくなるし、服だって欲しい。日頃と違う動きをほんの少しするだけで、途端に生活が成り立たなくなる。そんな賃金で働かされている人が山ほどいるのがこの国なのだ。

だからわたしは講演会では、最低賃金は1,500円~1,600円は必要だとお話ししている。

最低賃金は、人が働いて最低暮らしていけるだけの賃金だ。しかも日本は2人に1人の女性が非正規で働いている。加えて、日本の場合、非正規の賃金は恐ろしく上がりにくい。1年で時給が5円や10円上がったという話しなら枚挙にいとまがない。生涯最低賃金でこき使おうと思っている雇い主だって少なくない。

だから、わたしはフランスの労働者階級の人たちが好きなのだ。

彼らは世の中をひっくり返し、そんなバカなことがあるかと怒ってきた。納得できなければ、街中をゴミの山にしたってテコでも動かない。

それを人々は静かに受け入れている。

そんなふうに暮らしてきているのだ。

そんなフランス人は良く語るに違いないと思っていたら、やっぱりよく語るのだそうだ。幼い頃から論理的な語りを叩き込まれているという。誰にも自分なりの考えがある、それはおそらく相当に手ごわいに違いない。けれど、実に頼もしい。

自由と平等を決して手放さない国。米国をイギリスから解き放ち、自由の女神だって送った国だ。自由と平等が自分たちのものだという思いには年季が入っている。

こんなふうにフランス在住の方と違いを語り合うのは、なんとも面白い。日本には自由と平和と博愛、なんて考えは残念ながら根付いていない。

わたしは日本の女性の働き方を変えたいと思っているけれど、日本では女性の参政権も、男女雇用機会均等法も女性が勝ち取って手に入れたわけではない。棚ぼたで転がり込んできている。だからそんなものを自覚しようにも、なかなかピンとこない。

だからこそ、いきなり最低賃金は1,500円~1,600円は無きゃ駄目だなんて口にすると驚かれる。

けれど、こうして他国と比べてみると、それがどれほど普通のことかが分かる。これが、働く人が家を借りて食事をして服を着て暮らしていける最低の賃金だ。

日本の賃金は低すぎると問題になっている。

けれど、誰もこの最低賃金のお粗末さには本気でふれようとしない。

だから何度でも言おうと思う。

日本の最低賃金は、この国ではまともに暮らしていけない最悪賃金なのだと。

わたしはここを変えていきたい。


※oharicotさん、貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。

※最後までお読みいただきありがとうございました。



※2月22日(木)10時〜11時半、国際文化会館で講演会を開催します。お申し込みはこちらから✨




※スタエフでのoharicotさんとのコラボ配信です。




※いつもお読みいただきありがとうございます。

この記事が参加している募集

お金について考える

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?