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ママを悩ます子育ての常識 / 三歳児神話はやっぱり神話なのでした

こんばんは。きょうは、幼いお子さんを持つお母さんを悩ますいくつかの事柄について考えてみました。よかったら、お付き合いくださいね



「三歳児神話」は…かなり重い

さて、「三歳児神話」ってご存知ですか?

やっぱり子どもが三歳になるまでは母親が育てなきゃ可哀そうよね…

数十年前、よく耳にした言葉です

そんな頃、

あのお子さんは、お母さんが働いているでしょう、だからちょっと乱暴なの。まあね、お母さんが昼間いないし、きっと寂しいのね…

こんな大人同士の会話をよく耳にしたものです。まだ働くお母さんが少数派だった頃の話しです

わたし自身、子どもが幼いころ海外から帰国し保育園探しをしましたが、相手にさえしてもらえませんでした

今、お仕事されていないんですよね?

と。働きたいから保育園を探しているのに… きっと今でもありますよね


神話には強いパワーがあります。それが神話の魅力。けれど、たどっていくと、三歳児神話の大元に神様の存在はありません。なぜなら、その語源は精神科医が確立した「愛着理論」※にあるのですから。それは、第二次世界大戦後、戦争孤児などの多くの子どもに精神発達に遅れがみられたけれど、その子たちに施設であたたかい療育を試みると状態が改善した。だから「子どもが健やかに成長するためには、三歳までに少なくとも一人の養育者との愛着関係が必要」という結論に至ったというのです

つまり、そもそもこの理論、子どもが3歳になるまではお母さんが子どもの傍にいなければならないなんて理論ではありません

とはいえ、日本では明治時代に学校で良妻賢母思想が教えられ、妻は夫につくし家事育児に責任を持つ、そんな考えが刷り込まれ、それが社会に色濃く残っています。ですから、そこからなかなか抜けられない。だから【母性的養育】の「母性」が「母親」になってしまったのです

日本女性には、もはや文化ともいえる暗黙の女性の役割があります。ですから、女性自身が個人でそこを乗り越えようとすると、手ごわい壁が幾つも立ちはだかるのです

参考:※りんごちゃんのおけいこラボ 「三歳児神話」って本当はどういうもの? 共働き家庭の「発達への影響」はある?立女子大学教授西坂小百合https://youjiokeiko.gakken.jp/idea/ikuji-mini/12240 



保育園か幼稚園か

それに、今でも時折話題にのぼる、幼稚園か保育園か問題、こちらも悩ましいのです。ここにも、あの三歳児神話の影響があって、子どもはお母さんの手で3歳まで育てないと大変なことになる…そんなちょっとした恐怖が植え込まれています

で、ここでちょっと日本経済新聞に掲載されていた面白い調査をご紹介したいのです。それによれば、

☑ ①1957~1987年のデータを使って分析した調査では、幼稚園より保育所通園の方が、高校、大学の進学率が高い、そんな結果がでています

さらに、

☑ ②全国の親子追跡データによる因果推論で、小1~中1での学校適応や問題行動に、幼稚園・保育園の有意な差は認められていません。ですので、上の保育園組の発達を促しているのは、「質」の違いというよりは「量」の違いの可能性がある、というのです

つまり、学校適応や問題行動に差はなく、幼稚園より保育園の方が進学率が高いというのです

それを受けて、

☑ ③経済的に恵まれない家庭の男女が長期の保育所通園をした場合、将来の結婚や所得にどんな影響を及ぼすかというインターネット調査では、男性は個人年収を上昇させています。ただ、女性は結婚するケースが多く個人年収が下がっています。これはこの国の社会構造による結果と考えられています

参考:日本経済新聞2021年6月3日 「子ども庁、何を優先すべきか㊦ 保育の効果まず現状分析」 柴田悠 京都大学准教授 ①赤林英夫 慶大教授による因果推論13年 ②三村国雄一橋大学研究員 17年 ③柴田悠 京都大学  2021年2月、全国20~69歳の男女2万人からの回答




お母さんが絶対

子どもが小児喘息で、病院通いばかりしていた頃、

お母さん、この病気はね、あなたが悪いの。これは母原病っていうの。それじゃお子さんが可哀そうだよ。あなたの愛情が足りないからこうなるの

と、何度となく調剤薬局の先生に言われています。白衣を着けた先生に繰り返し言われた言葉、その言葉にわたしはどんどん滅入っていきました

ところが、数年後、小児科の先生が生み出した言葉「母原病」のことが書かれた一冊の本※を偶然手にします。そこには、1950年代以降子どもの病気に変化がおこったこと。小児喘息、吃音、食欲不振、登校拒否、骨折しやすいなどが増加したこと。その原因は、過保護型やガミガミ型という子どもへの接し方が精神的な問題が絡む病気を発病させていること。ゆえに、母が原因の病気である、そう書かれていたのです

そうであるなら、過保護型なわたしに、薬局の先生はさらに愛情不足と言われ続けていたのです。一見すべてを表す理にかなったように思える「新しい言葉」が、時に意味を取り違えて使われることもありますし、その言葉で差別される人が出てくることもあります

参考 ※落合恵美子『21世紀家族へ』1994 有斐閣選書 P68~70



まとめ

育休をとって子育てをするパパのブログや音声配信が増えている一方で、いまでもまだ三歳児神話が普通に語られています。ところが、その神様の大元は「愛着理論」。そう、多くの人が信じて疑わないこの三歳児神話は、神様とは関係ないのです。それに「愛着理論」は「母親」を特定してはいません

また、環境の変化で目につき始めた子どもの病、それは、子どもの数が減り、母親が子育てに専業になったことから発生した時代の病。ですから「母原病」という言葉は一つのレッテル、つまりスティグマなのです。育児をするのがパパなら父原病、祖母なら祖母原病と言わなければなりません。環境の変化の歪みからでてきた時代の病を、そのことに苦しむ人に向かって指摘することは恐ろしいことでもあります

つまり、三歳児神話も、保育園ではかわいそうも、母原病も、子育てはお母さんの役割、そんな考え方が根っこにあります

ですから、生まれてくる子どもの数が減った、このままでは国力が衰える、そんなことを嘆くより、まずは、様々に貼られたレッテルを剥がし、子育てをする人がもっと楽しめる環境を整えることが急務だと思うのです





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