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忙しいからこそ欲しい、便利な「だし醤油」


今日で我が家の正月休みも終わる。今年のお正月も穏やかに過ぎた。

けれどそのお正月に足りなかったものが一つだけあった。それは「だし醤油」



なにかが足りないお正月…

我が家では母手作りの「だし醤油」を結婚以来お雑煮に使ってきた。

その母が我が家で暮らしはじめると、その年の瀬から母のお友達がそれを作って送ってくれるようになった。

ところが昨年末に届いた贈り物にはそれが入っていなかった。お餅や甘酒や味噌をはじめとした手作りの品が詰まった贈り物が届いたけれど、それだけが入っていなかった。

考えてみると母の同級生は皆80代後半。もう大量の手作り品は作れないという。

いつかはとは思ってはいたけれど、ついにそんな日がやってきた。



それが食べたかった

母は毎年故郷に一キロほどの利尻昆布を送る。それがやがて「だし醤油」とつやつやの佃煮に化けて我が家へ送られてくる。それが12月の楽しみの一つ。

故郷の贈り物が届くと、母は嬉しそうに電話で互いの近況を語り合う。もう60年以上の付き合いの友達たち。そんな時の母の頬は紅潮する。そしていつもより張りのある声でコロコロと笑いながらよく話す。そんな嬉しそうな母の笑い声を聞くと、ああまた年末が来たんだなあとしみじみ思う。

思った通り、今年のお雑煮はついにあのお雑煮の味にはならなかった。いつでもそこにあって冷蔵庫には必ず一本は入っていたあの「だし醤油」。慌てて2,3種類の「だし醤油」を購入したけれど、ついにあのまろやかで優しくて味わい深くていい香りのするお雑煮の味にはならなかった。

この家の煮物おうどんは抜群の味だと何度もほめられたけれど、それはわたしの腕ではなかったということ。あの一本が人々をうならせていたのだ。

舌とはよくできたもので、期待した味でないと心から納得感を、腸からは満足感を得ることが難しい。今年の雑煮には満足できなかった。



忙しいからこそ欲しい

近頃忙しくなる一方で台所時間を減らすことばかり考えているけれど、あの「だし醤油」がどれほど便利で体に良かったのかを今頃知ることとなる。

あの一本でお雑煮もおうどんも煮物も、まるで料亭の味と化す。

おまけに母の血圧が近頃どうにも定まらない。90~200越えを日に何度も行ったり来たりする。もはや塩分は我が家の敵。だしは間違いなく塩分を減らす手助けをしてくれる。

というわけで母に「だし醤油」のレシピを聞いてみた。ネットにも出ているのかもしれないけれど、これは母たちの長年のオリジナル。このレシピがこの世から消えてしまわないよう記しておきたい。


「だし醤油」レシピ

材料と量

①だし昆布・干し椎茸・鰹節・・・・・すべて同量

②煮干し・削り鰹節・・・・・・・・・①の三分の一程度の量

③薄口しょうゆ・みりん・・・・・・みりんは好みの量

※母たちはそれぞれ一キロほど購入して作る。もちろんわたしはそれほど大量には作れない。聞くと、だいたいの量で良いのよと母が笑う。


作り方

① だし昆布干し椎茸を一晩水につけ、そこに頭とはらわたの部分を取り除き開いた煮干しを加え加熱。

沸騰直前にだし昆布を取り出し、残りを30分ほど加熱し干し椎茸煮干しを取り出す。

次に鰹節を入れ、沸騰したら取り出し、最後に削り鰹節を湯に放ち、暫く味をなじませて取り上げる。

② 別な鍋で薄口醤油みりんを沸騰させる。

③ 最後に①のだし汁と②の醤油を同じ量鍋にいれて沸騰させる。

④ 市販の瓶容器は一度沸騰させ、そこへを加えて完成。



だしの凄さ

もう二度とあの味は手に入らないなんて思っていた。複雑なうまみと風味を感じるあのだし醤油。ところが実はこれほどシンプルな材料と作り方で手に入ることを知った。

なんだ、自分でもできるじゃないと嬉しくなった。

今度の三連休に作ってみることにする。

ずっと途切れることがないと思っていた物が有限だと気づいた時、それを送ってくれる母のお友達の優しさと思いやりに深く感謝した。

考えてみれば昔の人も忙しかった。それでもだしをちゃんととっていた。そういえば幼い頃、毎晩お味噌汁用に固い削り節を削らされた。当時の食卓は今よりずっと豊かだったのかもしれない。



おわりに

だんだんと暮らしが簡略化され、それも致し方なしと思ってはいたけれど、だし醤油は実はとても手軽な調味料。忙しいからこそ作り置きしておくと助かるのかもしれない。

もしよかったら昭和一桁生まれの人たちが作り続けてきたこのレシピを受け取って欲しい。全てのものが有限。だから大切に繋いでいきたい。


※最後までお読みいただきありがとうございました。


※スタエフでもお話ししています。

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