タカラジェンヌに学ぶ退職メールの書き方
3月末、あと1週間で会社を退職する。退職が決まった時から、退職挨拶はタカラジェンヌの卒業挨拶を参考にしようと思っていた。彼女らはいつも素晴らしい挨拶をしているからだ。
今まで退職した先輩の退職メールは、ウェット系とドライ系に分かれていた。ウェット系は本人の気持ちがよく伝わってくるメールで、ドライ系は事務的なあっさりしたメール。
どちらが良い悪いということはないが、私はウェット系でしっかり足跡を残して去りたかった。同じような人には本記事が参考になると思う。
●タカラジェンヌの卒業挨拶が参考になる前提条件
私の場合はタカラジェンヌの卒業挨拶がとても参考になったが、これには3つの前提条件がある。誰にでも当てはまるわけではない。
①愛がある
今の会社に対して愛があること。宝塚歌劇団に対して(いろいろ複雑な思いはあれど)愛を感じていないタカラジェンヌはいないだろう。
タカラジェンヌの多くは宝塚歌劇団に大きな夢を抱いて、常軌を逸する努力を重ね、高い倍率を突破し入団している。入団後も不断の努力が必要で、激しい競争世界、芸の道に生きている。愛がなければやっていけない世界だ。だから挨拶にも愛がある。
退職者の理由はいろいろあるが、多少なりとも今の会社に対して愛があるのであれば、愛を感じるメールというのも一興である。
②退職後も関わる可能性がある
タカラジェンヌは退団後も芸能事務所に所属したり、教室の先生をしたりすることが多く、自分の名前と出身会社(宝塚歌劇団)を背負って生きることになる。"元宝塚"だからできる仕事が多く、退団したとしても宝塚と縁を切れるわけではない。だから挨拶が気持ち良いものとなり、「こいつとはもう仕事したくない」という風にはならない。
会社員の退職の場合、金輪際この会社とは縁を切りたい! という感じであればドライに挨拶すればいいと思うが、仕事というのはどこでつながるかわからないので、気持ち良く挨拶して区切りを付けたい。
③一斉送信である
私はまず社内でお世話になった人をクラスタリングし、個別に挨拶する人、数人のグループ単位で挨拶する人、まとめてBCCで一斉送信する人に分けた。このうちタカラジェンヌの卒業挨拶を参考にメールを送ったのは一斉送信組だけだ。
一斉送信組といえども、それぞれの方と一緒に仕事をした思い出があるので、その記憶を思い出してもらえるようなメールを書きたい。いつどこでまた一緒に仕事するかわからないので、なるべく良い印象で去りたい。
タカラジェンヌの卒業挨拶は、舞台上で観客を前にして行われる。観客にはファン歴50年の人から初観劇の人までいて経験値が異なるので、挨拶中に具体的な仕事名(作品名)は出さない。挨拶では自分が今までやってきた仕事を絶妙に抽象化して、全ての聞き手と共通項を作っている。だから挨拶を聞く人全員に「この人はこんな仕事をしてきた」と思い出させ(感じさせ)、「もっとこの人の活躍が見たかった」「これからも応援しよう」などと感情を動かすことができる。これは一斉送信組に送るメールで真似したいポイントだ。
これらの前提条件に合致するようであれば、タカラジェンヌの卒業挨拶は参考になると思う。
●タカラジェンヌの卒業挨拶の構成
タカラジェンヌの挨拶は基本的に以下のような構成となっている。
・今の仕事への感謝
・入社前から今までの経緯
・同僚・お客様への感謝
・これからの頑張り
・結語
具体例として、ある方のご挨拶をベースに例文を作成した。【】は筆者追記。
ちなみに上記で約500字。メールの文章としても丁度良い。
●実際に作成した退職挨拶メール(イメージ)
タカラジェンヌの卒業挨拶をそのままメールに移植することはできないので、多少のアレンジが必要となるが、構成要素を押さえた。
メールを送った後、たくさんの方から返信をいただいた。一緒にした仕事の思い出を書いてくれる方が多かった。メールの中に何かフックを仕込めたならよかったし、連絡してもらえるような関係性を築けたのもよかった。
くしくも今日3月24日、花組のトップスターはじめ数名の方が退団された。彼女らはどんな挨拶をしたのだろうか(育児対応でライブ中継も見れず…)。晴れやかな顔で卒業するタカラジェンヌのように、退職者は美しく去りたい。
《終わり》
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