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44歳、ひとりになってトコトコ歩み出す

46歳独身ひとり暮らしそして無職。
書きながら、自分で自分に、そうなんだ!びっくりだね!と話しかけたくなってしまう。
ずっと家族と暮らしてきた私がひとり暮らしをはじめたのは44歳の時で、もうしっかり大人になった年齢だった。

実家に住む大学生だった私は、20歳の時に妊娠して結婚して子どもを生んでお母さんになった。その時も、びっくりしたものだった。
結婚も、出産も、子育ても、まだいつか自分がすることになるなんて考えたことも想像したこともない子どものまま親になって、大人の世界に飛び込んだ。
楽しいことも大変なこともあり、たくさんの出会いや別れがあり、挑戦があり挫折があり、喜びがあり葛藤があり、笑いがあり涙があり、おままごとのようにかわいいカップルだった私と元夫は23年の時を経てお別れすることになった。
家族で住んでいたマンションを処分して、息子と一緒に引っ越して2人暮らしを始めたのが、息子が大学4年生の時。それから息子が就職して独立するまでの1年半を、私は心の中でボーナスタイムと呼んで、その気になれば一人暮らしをはじめられる年齢だったのに私と一緒に暮らしてくれた息子に感謝しながら2人の生活を隅々までうれしく味わった。やがて息子は大学を卒業し、就職して、ほどなく職場に近いアパートで一人暮らしをはじめ、その約半年後の春に、私は息子と2人で暮らしたアパートを出て一人暮らしサイズの今の部屋に引っ越した。
それからゴタゴタが続いていた7年働いた職場を離れたのが夏の終わりの出来事で、こうして私は独身になり、一人暮らしになり、無職になった。
こんなに何も決まっていることもやらなきゃいけないこともないなんてどういうことだろう、なんで私はひとりでいるんだろうと、たとえば部屋でコーヒーを淹れてる時とか、ごはんを作るために冷蔵庫の野菜室を開けた時なんかに、キョトンとしたきもちになる。

私は、結婚も子育てもまわりの人より10年早かったから子育てが終わるのも10年早くて、しかも離婚までして仕事も辞めてしまったからぐるんと回って今が20代だと思うことにした。
息子は、一人暮らしをはじめるときに、おたがいにひとり暮らしをしよう、と言った。かーさんもこれからは俺のためじゃなく自分のために時間を使って、と。私はずっと、若くして結婚して子どもを生んで転勤で何度も引っ越しして遊びも知らずがんばってきたとまわりの人に言われてきたから、息子もそれを聞いていたんだと思うし、離婚のことでよけいに、私をかわいそうに思ったのかもしれない。現実の私は、息子とできる楽しいことは全部やり尽くしてやるという気概で生きて実際そうしてきたし、人生最良のことは息子の母になれたことだと本気で思ってるからかわいそうでは全然ない。誰にだって時間は同じように流れるし、何かを経験するということは何かを経験しないということだ。そこに優劣はない。私はここまで生きてきた時間を別の時間に交換したいとはぜんぜん思わない。だけど、たぶんみんなが言うような、年相応の無責任で気楽な時間や、遊びや、そういう経験はしてこなかった。

私は、同世代においていかれた女の子でもあるし、同世代の先を走った女でもある。
私は「年相応」という考えを捨てた。
だいたい、「相応」という言葉が気に入らない。
私たちはもっと形なんてない生き方をできるはずで、やったことが現実になる。歩いたところが進んだ先だし、進む方向は自分で選べる。
それをやってみようと決めた44歳からの私が、綴った文章です。

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