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ピカリとヒカリ。

umidas耕作所のutakoです。先日の空にみた虹からの回想より浮かぶ"虹のりぼん"のつかいみち。

手始めになにがいいかな〜と思い巡らせてみて、まずは日々自分が出会うオモシロいコトや場からの連想(インスピレーション)を時折連載していくことにしました。

うたのようなコトバ。
私、utakoが出会うコトと場。

虹のりぼんを結ぶように、ひもとくように
感じるままに綴ります。

.......

【ホタルに会いに夜のはらっぱへ】

先週、ムシ博士たちと一緒に、河川敷にヒメボタルに会いに出かけてきました。

たくさんの子どもたちと家族づれと共に夜のはらっぱで過ごす特別な時間。

その場所は、猪名川の河川敷、大阪国際(伊丹)空港の近く。意外にまちなかでの出会い。この季節ならではの自然の営みを間近で感じることができます。

ぞろぞろと行列をつくりながらみんなで集合場所の駅から蛍の暮らす夜のはらっぱに向かう途中、目に飛び込んでくる空港や都市のまばゆい光、空には鮫のように上空から空港へと次々と泳ぐようにすべりおりてくる飛行機。

ほぼ毎日、こんなにもまちはまばゆく光っているのだと驚きました。これは日常なのに、どこか近未来的な夜景の風景のように思えるほど!不思議な気持ちになりました。まちは無数の点々がちらばるように輝く宝石箱のよう。それは私たちの生活を示す光。

蛍が暮らす場所は、その風景からひと道それるように暗がりの河道へとはいっていきます。空が広くまぁるい月が空高くに浮かんでいました。とても静かで、足をすすめる度に、足元から草の音がきこえてきます。かさかさ、かさかさ。そこにはまた別の未来の風景が広がっているようでした。

しばらく静寂な暗がりにとけこむようにたちどまっていると、少し先の茂みの方でとてもちいさく、ピカリピカリと暗がりの草むらから放たれるようなヒカリの粒のちいさな点滅。なんて繊細な光。光を探すように、光を追いかけるように、自分を光によせていくために、暗がりをみつめます。

あ、また光った。

はじめて光をみつけた瞬間。気のせいかもしれないと思うほどのちいさなちいさな光。もう一度ピカリと光った時にそれは気のせいではなく蛍の光だと認識できました。

それからヒメボタルたちはリズムを刻むように、しばらくの静寂の後、ポツリポツリと連動するようにいくつかのヒカリが同時に点滅するように光ります。


この日は風が強く、ヒメボタルたちはちいさなからだが吹き飛ばないように、草むらの根元にとまり、光っています。とてもちいさなからだ、そのサイズ、5mm〜7mmくらいでしょうか。

こどもも大人も一緒になって、草むらにしゃがみこみ、そっと草をかきわけ、夢中になってその光をつかまえて手のひらの中でみつめていました。

自然とひそひそとちいさな声で始まる会話。
携帯の光も邪魔してしまう。写真にも真っ暗でのこせない、目と記憶にやきつける光景。

みんなが夢中で時間があっというまに流れます。

草むらにしゃがみこんで、私も草の根元にピカリピカリと光る点滅をみつめていました。月明かりの中、しずかな気持ちでそっと草むらの中に手を伸ばすと一匹のヒメボタルが私の腕をそうように登ってきてくれました。


なんだかこそばゆくそれにしてもキレイな光。

「意外と人懐っこいでしょ?」

ムシ博士のおだやかな声が背後からきこえました。たしかに全然逃げる気配はありません。私は頷きながら蛍の光をしばらく見つめていました。

ムシ博士は色々教えてくれました。

ヒメボタルたちは幼虫の時に食べたごはんで成虫になってからのエネルギー源としているらしく、一週間ほどのおとなの時間は水しか飲まないんだそう。それでもって暑さに弱く、暑さでエネルギーが消耗してしまうのだそう。

この光の点滅はいのちの点滅でもあるのだと、一気にさっきまでの可愛らしさから一転して、その逞しさに、目の前の命の輝きと命のバトンに思いを馳せてしまいました。


「さぁ、パーティがはじまるぞ。」

ムシ博士たちは本日の最終便を見送った飛行機の飛ばない一層静まり返った月明かりの空の下で、今夜の本番を迎えたヒメボタルたちの繰り広げる光の点滅をやさしく嬉しそうに見届けながらほほえんでいました。

ピカリピカリ。

ピカリヒカリ。

ヒカリとヒカリ。


蛍が暮らすこの原っぱの風景を大切にこれからもつないでいきたいとお月さまの光の中で心に刻みました。

(猪名川の河川敷のヒメボタルはこの数日の暑さでピークを終え、今年出会える光の数は減っていきます。2019年5月26日現在、詳しくは、「猪名川ひめぼたるネットワーク」のHPをご覧ください。) ☆https://inagawahime.jimdo.com/



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【仲間入りしたイベント】

猪名川河川敷にヒメボタルに会いに行こう。

主催:兵庫県立人と自然の博物館(エコロコプロジェクト[ふるさと兵庫こども環境体験推進事業])

共催:猪名川流域ひめぼたるネットワーク












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