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「スポットライトをまなざしで」

umidas耕作所のutakoです。

目の前の風景はまなざしひとつで一変することがあります。瞳の焦点、瞼のたれ幕、まなざしのスポットライト。イメージをともなうと日常は、さながら移動式小劇場のようです。

まなざしのスポットライトが向かう先

私は不思議な巡り合わせで 兵庫県 発!「ふるさと兵庫こども環境体験推進事業『エコロコプロジェクト』」の運営メンバーに就任いただき、自然により一層スポットライトをあてていくそんな機会がふえてきました。

エコロコプロジェクトは、こどもをまんなかにした環境体験を博物館・現場(保育園・幼稚園・認定こども園)・保護者・行政がつながり、いろんな人をまきこみながら進化させるこころみで、この春から本格的に始動する実験的であり先駆的な取り組みです!

このプロジェクトで目指す先の風景は私が10歳の頃、おぼろげにイメージしていた「自然とアートが日常で結ばれる」風景に繋がっている予感があり、この巡り合わせにとても感謝している今日この頃。

といって当初は私になにができるだろうか?という感じでのプロジェクト合流でしたが、今は、多様な領域の方たちと知恵や意見をかわしながらうみだしていくプロセス自体が面白く、自分ができることでどんどんかかわっていくことにしました!そのひとつは、『遊び心』にありと、自分なりの立ち位置から、このプロジェクトが面白く湧き上がるように応援していけたらと思っています。うまれたてのプロジェクト、みなさんもぜひ賛同いただけるとこころづよいです!

セミの羽化をみんなでおいわいする

先日は、はじめてセミの羽化に立ち会うことができました。

「セミナリエ」というセミの赤ちゃんが長い地中生活を終え、地上に出てきておとなのセミになる瞬間をみんなでお祝いするそんなまなざしの羽化の観察会です。

イベントをナビゲートする“ひとはく”(兵庫県立人と自然の博物館)の八木先生。八木先生の「こどもとおとなはどこがちがいますか?」という問いに、こどもたちから返ってくる様々な見解。この日は園の子どもたちだけでなく、小学生や保護者の姿も。こどもたちの価値観にふれる瞬間でした。

「おとなはせがたかい」
「おとなはけっこんしていて、ゆびわをはめている。」
「おとなはいろんなことをしっている。」などなどの活発な意見の数々。


そこから、ムシの世界のこどもとおとなの違いについて話が展開します。
いろんなムシのこどもとおとなはずいぶん姿が違うことをみんなで写真をみながら共有できました。集まったこどもたちは、ムシ好きな子が多かったからか、次々と出てくるムシの写真をみては「あ、しってる〜!」と一気にクイズ大会のように会場が白熱していきました。

ムシの世界では“さいごの脱皮で翅(はね)を伸ばしておとなになることを羽化いうこと”と教わりました。

そして、今日は今から公園にセミの羽化を見に行く、そして、今日はおとなになるセミをお祝いしにいく日だよということばにこどもたちのワクワクが高まっていきます。

セミナリエの楽しみ方はとてもシンプル!
①幼虫をみつける(地面の穴をのぞいて確かめる)
②幼虫のうごきがとまったらその場所に目印のリング(光るわっか)をつける
③みんなで観察

身近なところで、タイミングさえあれば誰でも開催できるおいわいの時間。

まなざしが世界をかえる

この日のセミナリエの会場は兵庫県 尼崎市 街の中の公園でした。公園に到着して、園長先生のかけ声の後、一斉に一目散に駆け走り散らばる子どもたち。ちゃんとどこに行けばセミの赤ちゃんのいる穴があるのかを知っている様子でした。

今回、私自身がとても驚いたことは、目的を持って公園に行けば、いつもの景色が違ってみえてくるという発見です。セミの赤ちゃんのいる穴を地面に見つける、この意識で公園をみてまわる無数の穴が地面にあいていることに気づけます。えっ!?こんなにもたくさん??

そして、こどもたちは見つけるのが本当に上手で感心してしまいました。しかも、「これは、穴だけやったわ。」「こっちにはおるで。」と瞬時に選別しているから驚き。薄暗い中でよく見つけるものだなぁとこどもたちの声と姿を追いかけていました。

セミの幼虫は想像以上に動きが早く、そして、逞しい。木の根っこを乗り越えて、木の幹を登る登る。

こどもたちの声援が飛び交います。「がんばれー!」こどもと大人が一緒になって地面を、そし一本の木を囲み、温かい眼差しでセミの幼虫に声援をおくる、なんとも素敵な光景が目の前に広がっていました。

ちいさな世界でおきてることを丁寧に観察する

この体験のおおきさ、それは、日常を少し非日常な時間へとすり替え、そして、確かに日常のまなざしをふるわせることかもしれません。

こどもたちはもちろん、保護者の方も同じように声援を送る姿に感動しました。

そして、もうひとつ今回セミたち気づかせてもらったことがあります。

「自分のタイミング、集団としてのタイミング」について。

そう、セミたちは自分のタイミングで地面の穴から出てきて、自分で羽化する場所を選び、自分のタイミングで羽化を始めるそうです。

後からきいた話では、セミは羽化してしばらくしてからでないと鳴かないそうです。オスの方が少し早く羽化をして、メスの羽化を待ちかまえるのだそう。そのタイミングはセミにとってはとても重要な選択とタイミングです。つまり、個(自分)のタイミングは、種(集団)のタイミングとつながっているということです。

また、自然界は天敵や環境の状態の影響もあり、そのタイミングに乗っていくのはいろんな関連の中でおこる出来事となります。

この日、木に登る途中でアリの集団に襲われたり、羽化の途中で力尽きたり、風で煽られてせっかく羽化したのに木から落ちてしまったセミにも出会いました。

生きること、生きぬくこと

この日、最後まで、セミナリエ【セミの羽化】を見届けることはできませんでした。
しかしながら私はセミたちのその後が気になって、翌朝、早起きして、公園を訪ね、覚えている範囲でセミの抜け殻探しをしました。無事に大人になれたのだろうか?と。

この日、曇り空の中でセミたちのこえが鳴り響く公園空気をしばらく味わってから仕事に向かいました。とても清々しい気持ちになれる朝でした。そしてその後、私からumidasされたのが「うたコトば movie〜夏のオト編2〜」。日常のまなざしのスポットライトを、私のこころが動かされた瞬間を可視化させたいという気持ちの強まりからとにかく映像をつくってみることにしました。手探りながら!アプリの便利さがありがたかった!です。まだまだつたない表現ですが、セミたちになにか自分の表現の新たな可能性へ背中を押してもらった気持ちでいます。たとえ未完成でもかたちにしてみる勇気というか。

セミたちの羽化にまなざしのスポットライトをあてる。

日々の生活は選択と決断の連続です。
ここぞってタイミングでは、「個」の選択が「種」の選択と同じ流れの中で同時に動く、きこえてくるセミたちのうたの中に、「今」のタイミングをいきぬくことの大切さがこめられているような。セミたちのうた響く夏のはじまりに。背筋が伸びて瞳を一段とおおきくひらいて空を見上げてそう思いました。

スポットライトをまなざしで。耳を澄ませば。そのひかりが一段とつよまるようなそんな気持ちにさせてくれます。

セミよ、ありがとう。


参加イベント:「セミナリエ」(@学校法人 七松学園 認定こども園 七松幼稚園)

開催場所:昭和公園(兵庫県 尼崎市)

主催:ふるさと兵庫こども環境体験推進事業『エコロコプロジェクト』

https://eco-loco.jp/


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