茂木健一郎『脳と仮想』《砂に埋めた書架から》49冊目
「ねえ、サンタさんていると思う?」
この本は、著者が空港で偶然耳にした、五歳くらいとおぼしき少女がたまたま発したそんな言葉から筆を起こしている。
サンタクロースは存在するか? 著者の茂木健一郎氏は、この問いほど重要なものは存在しないのではないかという思いに、このときとらわれる。
茂木氏は脳科学の研究者であり、〈クオリア理論〉の提唱者でもある。〈クオリア〉というこの耳慣れない言葉を、私は今年に入ってから知った。※
クオリアとは、私たちの脳が感じる「質感」のことを