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砂に埋めた書架から

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書評(というよりは感想と紹介文)です。 過去の古い書評には〈追記〉のおまけが付きます。
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2021年8月の記事一覧

島田雅彦『彗星の住人』《砂に埋めた書架から》52冊目

 島田雅彦が挑む二十世紀の歴史。それは今まで誰も書いたことのない、恋愛小説として立ち現れてきた。 『彗星の住人』は、百年にわたる一族の宿命とも言える恋の物語である。しかも、その恋の仕方は、遺伝子のように代々受け継がれ、いずれもその恋が成就することは、国家レベルの危機を招くことになるという恐ろしいステージにある恋愛なのだ。  このような恋を発明できるのは、島田雅彦しかいないのではないか。  駐留米兵と蝶々夫人の悲恋から始まる一代目。マッカーサーの愛人を寝取った二代目。そし