乗代雄介『それは誠』《砂に埋めた書架から》69冊目
名前は文芸誌でよく拝見していたが、作品は読んだことがなかった。けれども野間文芸新人賞や三島賞の受賞、芥川賞にも複数回ノミネートされるなど、評判の良さは耳に入ってくるのでとても気になる作家だった。四回目の芥川賞候補作となった『それは誠』で、私はようやく乗代雄介氏の作品を体験したが、それは、この小説をどうしても読んでみたいと思う理由があったからだった。
昨年の七月、第169回芥川賞が発表されたちょうどその日、著者がデビュー前から長年書き続けているという個人ブログ『ミック・エ