文明の終末
女たちが
赤ん坊をみることを諦めたので
今はおれたちが子らにミルクを与えている
女たちが
食事を作る暇なんてないと言うので
今はおれたちが朝昼晩と支度をしている
女たちが
話し合いに忙しいからと断るので
今はおれたちが毎日の雑用をこなしている
女たちには時間がないのだ
ある者は怪我人の収容と手当に奔走し
ある者は国家の重要な会議で明け方まで睡眠を削っている
子供の顔を見たいだろうに
美味しいものを食べさせたいだろうに
女たちが
一人また一人と戦争に駆り出されていくので
今はおれたちが家と暮らしを守っている
女たちが
心配ないよと優しい言葉で微笑むときは
今日で顔を見るのが最後なのだと知っている
あんなにもたくさんいた
男どもは
もうとっくに戦場で亡くなっていて
これまで一人として還った者はいない
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