インディーズゲームにおける個人開発者の未来

 企業ではない、いち個人が自分が作りたいゲームを開発し、販売することが容易になってきた現在。

 今では世界中で多くの個人ゲーム開発者が日々ゲームを開発し、販売しようと奮闘している。

日本国内もまたその例外ではなく、ネットでのダウンロード販売を中心にその市場がどんどん拡大している状況は、ゲームファンにとっても嬉しいことだろう。

 この個人開発されたゲームは、開発における人数、予算、期間、あらゆるリソースが巨大資本がうごめくビッグタイトルと比べて制限されており、販売される値段もリーズナブルが多い。

これらを総称してインディーズゲームと呼ばれている。

 インディーズゲームを開発する人たちがここまで増えたのは、自由にゲームを開発できる環境が多くの人に解放されたからに他ならない。

企業向けだった開発ツールの多くが無料公開となり、なおかつスマホでのアプリ市場は誰もが開発したアプリを売ることができるようになった。

そのような時代背景も含めて、自分で考えた自分のゲームを、自分で開発しようと志す者が今まで以上に出現するようになったのは、必然の流れだと言える。

 インディーズゲームは、これまで個人がPC用ゲーム、近年ではスマホアプリで、競争が激しい中でも全体として売り上げを伸ばしながら、成長を遂げてきた。

才能あるクリエイターが頭角を現し、自由な発想、失敗ができない企業とは違った、斬新な方向性でのアプローチで素晴らしいゲームが生み出された。

今やインディーズゲームは、下手な企業のメジャーゲームよりも面白いものがたくさんある。当然ながら企業の活動として、巨大資本で最新技術の研究開発を行い新しい世界を切り開く使命のもと、素晴らしいゲームを生み出していること自体が否定されてはいけない。

 メジャー陣営は開発期間の長期化による商品が出るまでの空白期間に、ゲームファンがゲーム機から離れない手段として、ついにインディーズゲームに門戸を開くにいたった。

 PSはインディーズゲームをPS4用のゲームとして発売したり、任天堂においては、Nintendo Developer Portalにて、任天堂ハードの個人開発を許可している。

 ちなみに、インディーズゲームは起業していない個人が開発もしているが、インディーデベロッパーとして会社を立ち上げ、あえて企業としてインディーズゲームを開発してる人もいるということも、理解しておいたほうがいいだろう。

 このインディーデベロッパーが各ゲーム機器に参入していることが多く、ようやく任天堂が個人にも開発ツールを提供してくれた。過去にXboxもXNAにて個人開発を提供していたが、現在はインディーデベロッパーのみを受け付けている現状だ。

とはいえ、メジャーとインディーズが繋がることによって、個人開発者にさらなるチャンスが巡ってくることは素直に期待していいだろう。

より多くのゲームを遊ぶことができる環境をスピーディーに構築するためには、メジャーにとってインディーズの小規模開発体制は魅力的に違いない。昔のファミコン時代であれば、ビッグタイトルでも1年や2年で発売されていたものが、今は4年や5年というスパンだ。

 ほとんどの場合、インディーズゲームは昔のゲーム業界のように1年か2年でリーズナブルなゲームを公開する能力があると考えられ、その能力を期待されている。

これはつまり、大手が出さない、やらないようなゲームが求められていると言うこともできる。

 VRやARなどの台頭により、ゲーム業界はすでに新しいフェーズを歩いている最中だ。

その道中にあっても、新しいゲームとノスタルジーを思わせるゲームの両方が市場では望まれている。

尖ったゲームだけではなく、昔懐かしいようなゲームも公開されているインディーズゲームの魅力は、これからもっと多くの人に理解されていくに違いない。

 インディーズだメジャーだと分けて言ってはいるが、違いは企業か個人か、開発体制の違い、予算の違い、そしてネームバリューの違いがあるだけで、「面白いゲームを開発する」ということに変わりはない。

 熱い信念のもと、多くの個人開発者が、さらなる高みを目指してこれからもインディーズゲームを開発していくことだろう。

 インディーズからみれば、市場はもはやPCやスマホだけにとどまらない時代が来ている。全てのハードで、インディーズゲームが遊べる。インディーズデベロッパーだけではなく、個人開発者にも、そのチャンスは必ずくるはずだ。

 個人開発者の未来は、まだまだ開かれていくだろうか。否、その自らの手で、切り開いてく力があるのだ。

(C) 2017 UmiIzu

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