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小川原湖の夕焼け

出艇時は、雲が厚くかかり、今日の夕焼けはどんなもんだろうか。
そんなことを想っていた。もしかしたら、見えないかもしれない。
もしかすると、見えるかもしれない。
夕焼けツアーと銘打っておきながらも、いい夕日が見える確率は半分ほどだろうか。現在の時刻は16:20。10/9の日没時間は17:04。
さあ、漕ぎ出そう。

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この夕焼けツアーのテーマは、カヤックを頑張って漕ぐことじゃない。
湖上で、夕焼けを見ることだ。
もちろんカヤックが初めての方であれば漕ぎ方も説明するし、水上での基本操作も確認する。こんなに凪いでいる湖で、カヤックの操作が難しいなんてことはない。

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奥に見えるのは八甲田連峰。だんだんと夕日が沈むにつれて、空が色づいてくる。このツアーは、自然の変化、日が沈む景色を楽しんでほしいと思っているので、私自身あまり余計なことは話さないように努力はしているが・・。(笑)

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気づけば、夕凪の真っ只中にいた。
じゃあ、漕ぐのをやめてちょっとゆっくりしましょうか。
ゲストの皆さんと少し距離を開けて夕焼けをじっと見つめる。
二人で何を話していたのだろうか。何も話さなかったろうか。
でも、何を話そうとも各々の時間で夕日を楽しんでくれればなんでもいい。
ケンカさえしなければ(笑)
時間にして、20分ほどじっと見つめていた。

普段生活していて沈む夕日をじっと見つめる時間なんてないし、もし見つめてるとすれば通り行く人々に「おい、大丈夫か?しっかりしろ!」なんてことを声かけられるに違いない。(笑)
スマホも持たず、誰の目を気にする必要もない湖の上。
シーカヤックガイドという仕事をしていても、なかなか水の上で手を止め、じっと景色を見る時間なんてのはあまりない。

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吸い込まれそうな夕日だった。
どうやらこの雲は、波状雲といって、天候が下り坂に向かっていくときに現れることが多い雲のようだ。確かに、翌日のツアーは荒天の為中止になった。そんな話はさておき、ゲストの皆さまと同様、私自身もいつもいつも、水の上の景色に感動する。
受け売りの言葉だが、本当にその通りだ。

”満ち足りないものがあるのなら、海に出ればいい。
海の上は、いつも新鮮な感動を与えてくれるはずだ。

私は、シーカヤックガイドという仕事を通してどんな価値を届けたいのだろうか?そう考えると、カヤックの楽しさ、とか、自然の美しさ、とか、海旅の面白さ、とかいろいろあるけれども。
一番に来るのは、「感動」なんだよなと気づく。そして、その感動を届けるために日々トレーニングを積んでいる。もちろん声にこたえられないことだってあるけれども、極力、ゲストの皆さんの要望に応えられるように。

儲かっちゃいないけれども(笑)
海に出るって言うのは、いろいろなことに気づかせてくれる。

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すごいものを見た後の、もくもくと漕ぐ時間が心地いい。
久しぶりにじっと見た夕焼けは、史上最高の夕焼けでした。

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