詩『かなしいほどに人間的』

夏の終わる残照に揺らめく人影のふたつ

蝉々鳴る夕べに一輪の花を差し出す君を

僕は見つめささやく

悲しいほどに人間的だね…

秋の終わる月光に伸び立つ人影のふたつ

蟋蟀鳴る夜さりに一輪の花を差し出す君を

僕は見つめささやく

哀しいほどに人間的だね…

冬の終わる雪路に浮き出る人影のふたつ

皆音鎮まるあかつきに一輪の花を差し出す君を

僕は見つめささやく

愛しいほどに人間的だね…

そして

ふたりだけのかなしさを結んで…

そう、

ふたりだけのかなしさを…

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