詩 シャトル

小指に力を入れて黒いグリップを握る

カーボン製のラケットのガットに透ける相手

ラブオールの宣言から始まる第三試合

サーブを打ち返して、クリア、スマッシュ

そして時にはネット際で、ロブ

鷹の目でシャトル(球)を追う二人

白いウェアを伝う汗、締まるシューズの紐

終盤、仕掛けられたトリッキーなレシーブ

ストリングがシャトルを弾き、ラインの外へ流す

鬼のような足捌きでそれを拾い、相手に返す

またロブ、ロブ、跳ね上げてクリア、またクリア

次は甘い軌道で羽根が飛んでくる

身体を右に開き、前方で左手が宙に浮く

反射的に右肩の先の腕が弧を描きそれを撃つ

合宿で鍛えた筋肉で放つスマッシュ

バシッと音を立て、相手のコートに刺さった

審判が得点を宣言、ゲーム終了

ジュースを制した代償にラケットの芯が折れた






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