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04_宝島染工×MONPE「墨たたき」

※この記事は「宝島染工と染染週間 -染とは植物や大地から色を借りる行為-」うなぎの寝床旧寺崎邸開催 2023年7/14(金)~7/24(月)に付随した特集記事で、メールマガジンでリリースした内容をアーカイブしています。メールマガジンの新規登録はこちら


明治の三筆の一人 中林梧竹
出典:中林梧竹記念館

墨ってなんだっけ?黒い岩?
書道、文字の思い出。

「墨」が何でできている?なんて、考えたことあるだろうか?僕は正直考えもしなかった。なんか黒い岩みたいなものを硯でゴシゴシしたら出てくるもの。くらいの認識しかない。僕(白水)は佐賀県の小城市の出身で、中林梧竹という偉大な書家を輩出した土地でもあり、家の近くの図書館に梧竹記念館があったり、学校の体育館には「大吉」という大きな中林梧竹の書が飾ってあった。佐賀県は政治家であり書家でもある副島種臣も輩出しており、この2人の書はとても好きだ。「文字には不思議な力があります。」とドラマ『TRICK』の胡散臭い書道家の山田里見(故・野際陽子)が言っていたのを思い出す。個人的には井上有一熊谷守一の書も好きだ。そして、高校の時も芸術クラスが存在して、書道の専門の先生や生徒もいて、なぜか書に対して馴染みがある。前置きが長くなってしまったが、その中の重要な位置をしめる「墨」。これが何でできているのか?を少し見てみよう。

「墨」は何からできている?
墨汁は墨を溶いたもの

墨の歴史は面白い。煤と粘性物の組み合わせ
墨丸ってなんか使ってみたい。

まず歴史的にみると、墨は中国ではじまり、起源は諸説あるが紀元前には存在していたとされる。古代中国の甲骨文に墨書(ぼくしょ)や朱墨(しゅぼく)の跡が発見されており、殷の時代(紀元前17世紀-紀元前1046年)に発達した甲骨文字と時を同じくして使用されたと考えられている。また、中国湖北省で紀元前211年の墓から筆と硯、墨が発見されている。紀元前には木炭の粉や石墨の粉(グラファイト、黒鉛)を水と漆で溶いた液が用いられ、漢の時代には漆で丸く固めた「墨丸」や硯の類、松を燃やした煤(すす)松煙(しょうえん)が使われるようになり、三国時代までは膠(にかわ)で固めた扁平な墨が作られるようになり、宋(960年-1279年)の時代には油を燃やした煤(油煙)による油煙墨が作られはじめた。
なるほど中国での歴史だけ見てもおもしろい。材料でみると下記。

1_煤(すす):いわゆる木などの有機物が不完全燃焼を起こして生じる炭素や微粒子、建築物の天井などに溜まるきめこまかい埃
2_膠(にかわ):膠は動物の骨や皮などを煮て得られる液体を濃縮乾燥させたものだが、牛皮を原料とする墨が多く製造されている

この2つでつくられている。これに臭いを消すために香料などがいれられることもある。要は色の元となる煤の粉を、膠という接着剤で固めるということだろう。なるほど、墨の正体って、こんな物体だったんだとやけに納得感があった。黒い岩をゴリゴリ削るんじゃないんだなと(笑)。もちろん、現在の墨は化学的な物質に一部置き換わったりしている部分もあるようだ。

日本においては、現存する日本最古の墨書は三重県嬉野町(現在は松阪市)貝蔵遺跡で出土した2世紀末の墨書土器に記されていた「田」という文字(あるいは記号)とされている。更に遡ると紀元前1-2世紀の硯とみられる品も、福岡県行橋市下稗田遺跡など九州北部の複数遺跡から出土している。日本での製墨の記録は『日本書紀』が初出とされ、推古18年(610年)に高句麗から渡来した曇徴によって行われたとする記録が残っている。

日本での現在の墨の生産地は奈良県産(奈良墨)が9割のシェアを占めるほか、藤白墨(紀伊国産:和歌山県と三重県南西部)と同じく平安時代に始まり紀伊徳川家に支えられた歴史を持つ三重県産(鈴鹿墨)や、藤白墨の松煙生産を現代に復興させた和歌山県産(紀州松煙墨)がある。

墨で描くように染めていく
色の濃淡がおもしろい

墨が染料に使われた時期は不明だが、布を染めたのは室町時代以降と言われているようだ。宝島染工では、墨汁の濃度によって仕上がりをコントールし、色の濃淡を表現している。ここまで、長々と「墨」について書いてしまったが、染め方はシンプルで墨の染料を用いて描くようにしてたたき付けて染めていく染色法でMONPEを染めてもらっている。お楽しみください。

宝島染工と染染週間
-染とは植物や大地から色を借りる行為-

うなぎの寝床 福岡八女 旧寺崎邸
期間 2023年 7/14(金)~7/24(月) 
お休み:火曜・水曜
営業時間:11:00-17:00
住所:〒834-0031 福岡県八女市本町327
電話:0943-24-8021

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