雪だるまメモリー

東京でこんなに雪が降るのはどれくらいぶりだろうか。

18時を過ぎた頃には、近所の小さな公園のいたるところに、雪だるまが出来ていた。
ひとりはベンチで佇み、ひとりは健康器具のような遊具を試し、もうひとりは公園の入り口に門番のように立っている。

こんなにも人間的な雪だるまたちは見たことがないぞ。

たまらず隣を歩く5歳の娘に、もしかして雪だるまの世界に入り込んじゃったんじゃない?とノリノリで声をかけてしまう。娘はもちろん目を輝かせてノッてくる。なにしろ我々親子はレイモンド・ブリックズ作「スノーマン」の大ファンだ。

明日の朝には消えてしまう心優しい雪だるまのともだちとの出会い。

絵本はもちろんだけど、スノーマンはアニメーションが素晴らしい。幼い頃、母と弟と一緒に通っていた絵の教室で初めて観せてもらってから、世界一好きなアニメーションとして不動の位置にいる。とはいえ大人になってからは観ることもなくなり、VHSのまま実家の納戸で眠っている。

それでも、娘が4歳になった昨年のクリスマスの時期、蔦屋でDVDをみつけて時が来た気がして買ってきた。驚くべきことに、あの素晴らしいシーンの音楽が変わり、新キャラが登場したのだが、昔の方がよかったなんて野暮なことは思っても言わずに楽しんでいる。

せつなくて美しいものに弱いのは大人だけではないということを証明するように、娘もまた、スノーマンの世界に魅入られた。ひとたびDVDを流せば、YouTubeと同じレベルで真剣な眼差しを向ける。

なぜかスノーマンについて熱弁することになったが、積雪が日常ではない暮らしをしていると、こんな雪の日には必ず思い出がセットになるということだ。



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