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記憶の扉に鍵をかける


何かを生み出したいと思うのは、いつだって傷ついた後だったような気がする
心がなんらかの形状を持つとして、その外壁に傷を刻むような出来事があったとき 自らのなかのなにかが目を覚ます
皮膚の再生も諦めるような深い傷があるように いつまで経っても疼き続ける心の傷は誰にだってある
その時の心のざわめきを思い出させる程の衝撃があった時に 何かを生み出したいと思う

優しさも満たされた気持ちも自分にとっては歩みを阻む足枷のようなものなのだろう 皮肉なことに
普通の幸せを感じる度に泣きそうになっていたころを思い出す
傷ついて傷ついてこぼれる涙と一緒に寝て 心の渇きをうるおす何かを探すように 這いつくばって過ごしていたころが ふいに懐かしくなる
たくさん笑って満たされて熱に浮かされた気持ちは虚しさも連れる
どうか忘れないように 自分の心の傷を 抗う気持ちを 乗り越える力を

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