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恐怖の「欠品」蛙化現象

夕食はパンにしよう、それもバゲットみたいなしっかりした食事パンがいい。
外皮が固くて、中身がモッチリしてるやつ。
ついでに明日の朝食にデニッシュも併せて買おう。

ベーコンとキノコの蒸し焼きを食べたい!
ベーコンから脂がしたたり、キノコからにじみ出るスープを
バゲットに吸わせて食すのだ!

そう決心して、わたしはなじみの人気パン店へ出向きました。
お昼時を過ぎたのに、店内はお客様でいっぱいで、思わず期待が高まります。

「あれ~?」

お目当てのバゲットを探して、店内をしつこくうろうろしますが見当たりません。それではと、他の食事パンを探しても、全て欠品しています。
一方、デニッシュは在庫が豊富なので、明日の朝食は買えそうです。

すると、ある強い感情が湧き起ります。

「やめた、よその店に行こう…」


そうです、その店での主な買い物目的が叶えられないと、ついで買いの商品も要らなくなる不思議な感情。
これが「欠品の恐怖」です。

カレーの材料を買いに来て、最後にお気に入りのカレールウがたまたま欠品していたばかりに、それまで買い物カゴに入れた肉、野菜まで陳列棚に戻し、お客様が他店へ回ってしまう話を聞いたことがあります。

このように、陳列商品の「欠品」は見た目以上に消費者の行動へ強く作用することから、小売店、特に食品スーパーでは極力避けるべき事態として認識されています。

初めは買う気満々だったのに、欠品ひとつをきっかけに、店への気持ちが一気に萎える。
その晩は他店で買ったごくありふれたバゲットを
「ま、いっか」
と、白ワインといっしょにムシャムシャ頬張りながら、欠品「蛙化現象」のシビアさを実感したのでした。

ラクリマ・クリスティをスプリッツァー仕立てで

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