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シルクスクリーンでTシャツを作る方法

こんにちは、MOSです。

今日はシルクスクリーンを使ってTシャツにプリントする方法をざっくり説明していきます。

個人がTシャツにプリントする方法はアイロンシートを使うか、シルクスクリーンでインクを塗るかのどちらかが一般的なパターンです。この2つならシルクスクリーンの方が少し本格的で上級者向けになります。

やり方次第ではプロクオリティに近いものを作ることも出来るので、是非スキルを身につけてみましょう。

シルクスクリーンとは?

シルクスクリーンの製作例

普段の僕はシルクスクリーンを利用して主にTシャツ生地への印刷を行っています。

シルクスクリーンはインクを自由に変えることが出来るので、水と空気以外には何でも印刷できるといわれるほど応用範囲が広い便利な工法です。

海外では版画の一種として、布地以外に紙などへ印刷するアート手法の一環として扱われています。

シルクスクリーンのメリット

まずシルクスクリーンを選択するメリットを簡単に説明します。アイロンシートに比べ、シルクスクリーンが優れている点は、

・インクを染み込ませるので、通気性を損なわない

アイロンシートはウレタンのシートを貼り付ける都合上、生地表面の通気性が幾分犠牲になります。特に夏場に大面積のアイロンシートのプリントTシャツは少し暑く感じるかもしれません。

・Tシャツそのものの着心地を変えない

シルクスクリーンのインクは生地に染み込むので生地の質感を変えません。アイロンシートはどうしても大面積でごわつく時が有るので、着心地を重視するならシルクスクリーンの方が有利です。

・イラストなど細い線を描ける

アイロンシートは物理的にシートを裁断して柄を作るため、細かい線の表現が苦手です。1mm以下の線を正確に表現することは困難です。

その点、シルクスクリーンは版に原画を焼き付けるので、細い線に対してもかなりの追従性が有ります。写真など高精細な対象をプリントすることも可能です。

以上が、シルクスクリーンのザックリとしたメリットです。次にデメリットを説明していきます。

・作るのに手間がかかる

シルクスクリーンの全工程を自分で行おうとすると、1枚のプリントに大変な手間がかかります。元々大量生産の量産品に適した工法なので当然かもしれませんが、簡単なデザインのTシャツを1枚だけ作るなら、アイロンシートの方が費用も手間も少なくなることが有ることを覚えておくべきでしょう。

・どうしてもインクのにじみが出る

インクは液体なので、印刷したときにどうしてもにじみが出ることが有ります。それに対してアイロンシートは物理的に分離しているので、境界がにじむことは絶対にありません。綺麗なエッジを出したい、という時シルクスクリーンは少し苦労します。

・インクを使う都合上、汚れやすい

シルクスクリーンはインクで着色する為、アイロンシートに比べると非常に汚れやすいです。インクの飛散等、周囲を汚す恐れも有るので、掃除しやすい広い環境が必要です。

簡単にシルクスクリーンを体験してみるなら

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難しいステップ無しにシルクスクリーンを体験したい、という人向けに僕は太陽精機さんのシルクスクリーンキット"Tシャツくん"をおすすめしています。

というのも印刷までの全ての機材をセットにしてくれているので、初心者が難しいプロセスをかなり簡略化してくれているからです。とりあえずこれでシルクスクリーンは出来ます。

「今後本格的にシルクスクリーンをやるかわからないし、まずはお試し」という人は迷う事無くTシャツくんを買いましょう。

シルクスクリーンの基礎"版作り"

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まず、シルクスクリーン印刷を行う為の必須アイテム、スクリーンこと通称"版"を作ります。

仕組みは非常に簡単で、木や金属のフレームにメッシュ生地を貼り付けたものです。これは既製品を買うことも出来ますし、自分で作ることも出来ます。アルミフレームを自分で作るのは少し難しいですが、木製フレームならホームセンターに有る材料で制作可能です。A4版100円くらいで作れるので、何個も版が必要なら自分で作ってしまうのも手です。

ここでは僕が作っている時のポイントを簡単に掲載します。

・補強は必須

メッシュを張っていく段階で、フレームを捻ろうとする強い力が加わります。なので、タッカー針を打ち込むだけだとフレームがドンドン歪んできます。L字金具や釘を打って補強してやると強固で長持ちするフレームが作れます。

フレームは一度作れば何度でも使い回せるものなので、しっかりとしたものを作っておくと後々まで役に立ちます。

・メッシュの粗さは120くらいが目安

スクリーンとなるメッシュ生地の粗さは様々で60くらいから300以上まで存在します。理論上、メッシュの目が細かいほど、高精細なプリントが可能です。よくTVの解像度の説明で、解像度が上がるほど段差の目立たない綺麗な画像になっていきますよね?

 スクリーンメッシュもそれと同じ理屈で、細かいメッシュを選ぶほど綺麗なプリントが可能です。

ただし、シルクスクリーンに使うメッシュはインクを通さないといけないという絶対的な目的が有ります。市販されている水性インクは120メッシュくらいが丁度良く、180メッシュまで上げるとあまりインクの出が良くありません。

ロゴデザインなら120メッシュでも粗さが目立つようなことは無いので、初心者は120メッシュくらいから始めるのが良いのではないでしょうか。

柄を決める製版作業

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次にスクリーンに露光していきます。この露光の過程で無地のメッシュに柄が入ります。

Tシャツくんなら露光の機材がセットになっているので、最適なタイミングで露光され、失敗も少ないです。

では、そうした機材が無い場合はどうするか、というと蛍光灯から出る紫外線を利用します。蛍光灯の下に一定時間置いておけばスクリーンにどんどん柄が焼き付けられていきます。

もう少し出力が欲しい時はケミカルランプやブラックライトが更に有効です。LEDライトは紫外線を出さないので注意して下さい。

この時、スクリーンの裏側から紫外線が入り込まないように、黒い布地を敷きます。個人的に黒は露光を遅らせ、白は反対に早める様に感じます。迷った時はとりあえず黒で良いです。

ちなみに、究極的には太陽の直射日光が一番手軽で強力です。夏場なら1分で露光が完了します。

いよいよプリント

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版が完成したら、いよいよTシャツ生地にプリントしていきます。

印刷はTシャツを地面に置いて、その上からスクリーンを重ねる形でも簡易的には可能です。もしにじみを抑えたいという時は印刷台を使った方が確実です。

スクリーンにインクを流し込んで、スキージーでこすることで生地に柄を転写します。細かい手順は言葉より動画で確認してもらったほうがより確実です。

シルクスクリーン印刷の作業風景を動画で確認する

インクはシルクスクリーン用の物が市販されています。国内で手に入るのは太陽精機さんのTシャツくん用インクか新日本造形さんのダイカラーがポピュラーです。

Tシャツ君用インクは典型的な水性インクで、これから入る人が多いですね。カラーも豊富で、生地の色を選びません。また100gからでも小分けで売られているので、コスト面で優しいです。一応60から120メッシュに最適化されています。

ダイカラーは粘度がかなり高く、その分繊細な描写が得意です。ただしハイメッシュに使用するには少し粘度が高過ぎる様に感じます。

スペック的には180メッシュまで使えますが、理想を言えば実際のメッシュはもう少し粗い方がおすすめです。

実は沢山作るのが簡単

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シルクスクリーンは大量生産に適しているので、印刷対象のTシャツを差し替えていけば、そのまま何枚も印刷することが出来ます。クラブTシャツとかちょっと枚数が欲しい用途に最適です。

インクも市販品で十分耐久力が有るので、ハードに着倒す様な使い方もOKです。

↓他にも作例をYouTubeにて動画にまとめています。僕の実際の製作シーンを編集して載せているので、「ここどうやるんだろ?」という疑問が出た時の参考にしてください。公式HPでも都度コラムを書いています。

YouTubeチャンネルはこちら

公式HPはこちら

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