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・焼きするめ食むために乗るストーブ列車


(雪の青森紀行4)

青森が好きで、何度も訪れているが、冬は初めてだ。
冬らしい楽しみ方をしなくては!


3日目は、交通不便な津軽鉄道のストーブ列車に乗り、焼きするめと地吹雪体験をした。

青森駅から奥羽線で川部駅へ。
川部駅から五能線で、五所川原駅へ。
津軽鉄道で金木駅まで、ストーブ列車に乗る。

ストーブ列車は1日3本しか出ないので、時間を合わせるのが大変だ。

ここは奥津軽なので、吹雪が多い。
幸いというか、今冬初の大雪に見舞われた。
余りにも寒いので、駅のだるまストーブで体を温める。
ローカル列車なので、客同士が知り合いばかりのよう。おしゃべりが弾んでいる。

いよいよストーブ列車に乗り込む。
すかさずスルメ売りが、回ってくる。
1枚800円。
買わない人はほとんどいない。

車掌が順番に、だるまストーブに載せて焼いてくれる。
香ばしい匂いが、車輌全体に漂う。

実にいい焼き加減だ。
甘みがあり、奥深い味。
噛むとじわじわ…。

僅か25分間の乗車で、堪能できた。

外は大雪。
ホワイトアウト。
地吹雪のラッシュだ。
窓の隙間から寒気が入り込む。
ストーブの近くに移動する。

金木駅で下車した。
帰りもストーブ列車に乗るには、1時間しかない。
必死で雪道を、太宰治の生家「斜陽館」まで歩く。

春に訪れた時も、静寂な佇まいだったが、一層深みのある雰囲気で迎えてくれた。

暖房なし、ガイドなし、音もなし。
太宰の遺品の数々と、彼のいた空間、重文の建物などをなぞり、いい時間を過ごせた。

帰途のストーブ列車は、流石にするめの販売はなかった。
しかし、ストーブがあるだけで、気分が高揚する。
するめの匂いも染み付いている。

五所川原駅近辺で、そばを食べ、青森駅まで路線バスで向かう。

吹雪なので、欠航かも?
不安になりケータイを見たら、案の定飛ばないメール。

取り消しの手続きをして、新青森駅から新幹線で帰る。
海鮮丼と地酒、つまみなどを買い込み東京まで3時間。

さらに名古屋まで2時間弱。
マイレージは返還されるが、JR代2人で50000円は、予想外の失費だった。

帰宅後に聞いた話。
東北に実家のある人は、冬は新幹線を利用するとか。
早く聞いておくべきだった。

まず駅のストーブ囲むローカル線

ストーブ列車ホワイトアウトで盛り上がる

地吹雪や三百六十度の白き闇

広土間は太宰の遊び場底冷えす

衣紋掛に太宰のマント羽織るかな

幼なき日の太宰の痕跡冬館

しんしんと雪の音のみ斜陽館

斜陽館ストーブもガイドも音もなし

欠航や冬は新幹線が正解か

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