レンタルビデオショップブルース

2000年代、上京して一人暮らしをしていた。
別に映画好きではなかったが、映画に詳しい人ってかっこいい、と思っていてよくレンタルビデオ屋へ通っていた。

自分の住んでるボロアパートからビデオ屋まで徒歩で30分かかった。
1週間のレンタル1本旧作で250円だった。毎週4本借りていた。(洋画1本、邦画1本、お笑いかアニメ1本、エッチなやつ1本)
30分かけてビデオ屋へ行き、1時間近く棚で腕組みをし、30分かけてアパートへ帰っていた。
この行動はなんだったのだろう?
今はサブスクで1000円で1ヶ月見放題だ。
ただ今思うといい思い出だ。

全然わかりもしないのにカッコつけて、ゴダールやデビッドリンチや黒澤明や小津安二郎を借りたりしていた。
いざ見るとなると覚悟がいって先延ばしにして、結局見ないで返却していた。

涼宮ハルヒの憂鬱のエンドレスエイトを借りて見て返して、またエンドレスエイトを借りて見て返しての時は何をしてるんだろうと思った。

夜中、職務質問もされた。借りたビデオを見せるのは恥ずかしかったが、警察も察してくれてビデオの入った袋までは見なかった。

ビデオ屋の近くのラーメン二郎にもよく行った。メガネを曇らせて夢中で食べた。食べ終わった後は当分二郎はいいや、と思ったがまた次の週並んでいた。

ipodでビートルズのWhile My Guitar Gently Weepsを聴きながら。
なぜか一時期ビデオ屋へいく時のbgmになっていた。

何者かになれると思っていたあの頃。


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