実験が上手な人

今は職を変えてしまいましたが、以前はたくさん実験をする仕事をしていました。

学校でする実験は結果が分かっていますが、仕事の場合は結果が分かりません。「こういう結果が必要」ということだけ分かっています。どうすれば欲しい結果が出せるか、を探すわけです。うまくいく方法がわかると、それが工場の機械にインプットされたりして、毎日使う何かを作ったりします。

実験手順が決まっている場合は誰がやってもだいたい同じですが、試行錯誤を繰り返す場合もあり、この場合は上手下手が分かれます。少ない実験で欲しい結果を出す人が上手な人とされますが、その道のエキスパートとされている人でも案外下手だったりします。

上手な人は例外なく、欲しい結果とかけ離れた結果、つまり失敗データをきちんと見ています。欲しい結果が出なかったときに「失敗だ~」と結果を捨ててしまう人や、「それを試すと失敗するから」と経験則から出ようとしない人はたいてい下手です。

欲しい結果に注意が向きすぎると良くないわけです。

本来実験が失敗したというのは、計画した実験ができなかったことを言います。実験の途中で停電して装置が落ちた、とかですね。計画した通りに実験できて、欲しい結果が出なかったのは失敗ではありません。やった通りに結果が出たわけで、実験は完璧に成功したのです。ただそれが自分の都合に合わなかっただけ。だから、自分の都合はいったん忘れて、えり好みせず全部のデータを分析しましょう。

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昔のことを思い出して、今の自分も実験下手と同じことをしていると気付きました。収入やら仕事やらに自分の都合を当てはめて、成功とか失敗とか一喜一憂してる…。ずっと前に分かってたことなのに、どうして忘れていたんだろう。

すべては完璧、えり好みしてるだけ、なのでした。

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