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東京六大学野球ゲームレビュー2022/5/1

こんにちは、シュバルベです(๑>◡<๑)

4月9日から東京六大学野球が開幕しました。行ける日は限られていますが、私も出来る限り多くの試合を観て行きたいなと思っています。時間が許す範囲で各試合の簡単なレビューと、各チームのその日のMVPを勝手に選んでいきたいと思います。

これまで書いてきたレビューはこちら↓(だんだん増えてきたのでマガジンにまとめました。)

今回は東京六大学野球第4週の2回戦の2試合です。

1.5月1日 東大ー早大2回戦

前日は東大が9回裏に阿久津選手のホームランで同点に追いつき劇的な引き分け劇となったこのカード。この2回戦も6-6の引き分けで、2試合連続引き分けという死闘になりました。スコアはこちらから↓。

先発投手は東大が小髙峯頌大こだかみね・おとはる投手(筑波大付④)、早大が左腕の齋藤正貴投手(佐倉④)でした。小髙峯投手は2週前の明大戦2回戦に続けて2度目の先発登板、齋藤投手は早くも4試合目の先発登板です。早大は前日タイムリーを放った森田朝陽選手(高岡商③)が初めてスタメンに起用されました。

先発する小髙峯頌大投手

初回、前日の試合で波に乗る東大は2番中井徹哉選手(土浦一④)がヒットで出塁するとすかさず盗塁を成功。この日初めてスタメンに抜擢された3番浦田晃介選手(金沢泉丘④)が四球を選ぶと、東大はなんとダブルスチールを敢行します。ここで早大キャッチャーの印出太一選手(中京大中京②)はセオリーと異なりセカンドに送球し一塁ランナーを刺しました。この場面、サードではなくセカンドに投げたのはランナーをよく見ていたなと感じます。真意を聞いてみたいですね。齋藤投手は続く打者を抑え、ピンチを乗り切ります。

早大は1回裏、1アウト一二塁のチャンスを作ると4番蛭間拓哉選手(浦和学院④)がタイムリーヒット。前日は3四球と勝負されないシチュエーションを東大に作られてきましたが、早大が上手く蛭間選手に繋げました。さらにエラーで追加点をあげ2点を先制しましたが、早大としてはここでもっと点が取りたかったでしょう。

やはりこの日も初回からゲームの動いたこのカード、東大にしてみればよく2点に収めたという展開でした。

2回表、東大が反撃します。1アウトから2者連続デッドボールでチャンスを作ると、好調8番別府洸太朗選手(東筑③)がヒットで繋ぎ満塁。9番小髙峯投手に早くも代打を出すも打ち取られたものの、ツーアウト満塁で迎えた1番宮﨑湧選手(開成④)が追い込まれてからしぶとく左中間に落とすタイムリーツーベースで同点。さらに続く中井選手が一二塁間を抜く逆転タイムリーヒット。試合をひっくり返します。

2回から東大は松岡由機投手(駒場東邦③)をマウンドに送ります。先頭の印出選手をヒットで出すも後続を打ち取り役割を果たすと、3回表東大打線が牙をむきます。

齋藤投手にとってこの日3個目の死球を足掛かりに、東大5番キャプテンの松岡泰希選手(東京都市大付④)が今シーズン待望の初ヒット。ツーベースとなりチャンスを広げると、前日の殊勲者阿久津怜生選手(宇都宮④)がセンター返しで追加点。さらに7番林遼平選手(甲陽学院④)がスクイズで加点し5-2と3点リードに広げます。

スクイズを決めた林遼平選手

早大も負けじと3回裏に蛭間選手が四球を選び(松岡由投手と蛭間投手の力のぶつかり合いは見ものでした)、盗塁でチャンスを作ると、5番松木大芽選手(金沢泉丘④)がタイムリーヒット。1点を返します。

4回表、早大はユエン賢投手(セントジョセフ③)に継投するも中井選手がまたも出塁→盗塁のコンボを決め、3番浦田選手がヒットで返します。点を取られたら直後に取り返す、この日の東大は前半を素晴らしい試合運びで展開できましたね。

タイムリーの浦田晃介選手

4回裏からマウンドに上がったリーグ戦初登板の綱嶋大峰投手(筑波大付④)は2イニング完璧なピッチングで0に抑え、6回裏からは前日155球完投の井澤駿介投手をマウンドに送ります。

新・偉人、綱嶋大峰投手

試合後半は早大打線が意地を見せます。6回裏にエラーがらみで1点を返すと、8回裏にも2つの四球を足掛かりに得点し1点差まで持ってきます。投手では8回・9回の2イニングを投げた副将の原功征投手(彦根東④)が1人のランナーも出さず4三振の快投。流れを持ってきます。

流れを呼び込む原功征投手

そして9回裏。早大は先頭の森田朝陽選手が鋭く一二塁間を抜くと、送りバントなどで2アウト二塁。同点のチャンスにバッターはここまで3出塁の印出選手。東大の井澤投手もすぐに2ストライクに追い込みあと1球というところまで来ましたが、6球目外角のボールを印出選手がセンター前にはじき返します。センター別府選手から素晴らしい返球が返りますが、森田選手の走塁が上回り同点のホームイン。

前日土壇場で追いついた東大が、この日は逆に追いつかれる展開となりました。そのまま試合は終わり6-6の同点。2試合続けての引き分けとなりました。この2試合、私が東大ファンであることを差し引いても非常に面白い野球の醍醐味を感じさせる2つの引き分けでした。

早大の流れを決定づけたのは既に述べた原投手のピッチングで、9回表の上位打線に対するスローカーブを織り交ぜたピッチングはまさに彼の真骨頂だったと思います。

対する東大の井澤投手は前日の疲労が隠せないながらも、1イニング複数得点は阻止して9回まで漕ぎ着けました。4イニング78球のロングリリーフで見せた気迫と、絶対に投げミスはしないと言わんばかりのコーナーワークは現地で観ていても感じ入るものが有りました。

9回裏の森田選手・印出選手のバッティングは本当に素晴らしく、東大の歓喜の1勝の前にこの2人が立ちはだかりました。



・東大Daily MVP:中井徹哉選手

今シーズン最多の6得点を演出したのが2番の中井徹哉選手です。

ハイタッチの中井徹哉選手

この日は5打数2安打2盗塁。チーム唯一のマルチ安打に加え、一時逆転となるタイムリーヒットを放ちました。2年生の春季リーグ開幕戦から出場機会を井澤投手や西山慧投手(土浦一④)らと共に得ている中井選手。細身な身体つきですが引っ張り方向への打球は鋭く、この日で通算8盗塁を記録している足の使える選手です。

チームとしては1番の宮﨑湧選手が非常に好調なので、次に回る中井選手が出塁or塁を進める働きをできると得点チャンスが広がっていきます。次戦以降も繋ぎの二番としての活躍、期待しています。

・早大Daily MVP:原功征投手

9回同点打の印出選手と悩みましたが、8回・9回の原功征投手のピッチングが無ければこの日の試合は東大勝利で終わったと感じています。

副将として迎えたラストイヤーですが、法大戦・明大戦でともに失点。前日の東大戦含めて4試合続けてランナーを出してしまったように、持ち前の制球がいま一つで得意とするはずの左打者に打たれてしまうシーンが目立ちました。

しかし、この日の原投手は2イニング完全で4三振。どのボールでもストライクが取れ、タイミングを狂わせる100km/h前後のスローカーブで好調の宮﨑選手・中井選手を打ち取るなど投球術も見せました。

今年の早大は経験の少ない投手がほとんどなので、原投手のようなリーグ戦経験あるリリーフが後ろに控え良いピッチングを見せることで他の投手の気持ちもかなり楽になるでしょう。左サイドの投手は個人的にも好きなカテゴリーなので引き続き頑張ってほしいです。


2.5月1日 法大ー慶大2回戦

前日の1回戦は法大が5-4のサヨナラ勝ちを収めたこのカード。なんとこの日の2回戦は慶大が3ー2のサヨナラ勝ちで法大を破り、見事にやり返した試合となりました。スコアはこちらから。

先発投手は法大が左腕の尾﨑完太投手(滋賀学園③)、慶大が1年生右腕の外丸東眞投手(前橋育英②)。今年は4年生以外の投手の2戦目登板が多いですね。東大・立大以外の各チームが2戦目を4年生以外に託しています。

力投の外丸投手

1年生ながら早くも2度目の先発登板となった慶大の外丸投手。悪天候の影響もあったか、初回は持ち前の制球力にばらつきがありランナー2人を溜めますが後続を打ち取りなんとか0に切り抜けます。

1回裏、慶大の1番バッター萩尾匡也選手(文徳④)が初球を振り抜きます。どこまで飛んで行ったのか目視ではわからなかったぐらい、大きな飛距離のホームランを放ち慶大が1点を先制します。

法大の尾﨑投手はこの日球速はあまり出ず140km/hを割り込むボールも多かったですが、雨の降りしきる中丁寧にコントロール重視のピッチングを見せます。慶大打者のインコースにもきっちり投げ込み、3回まで萩尾選手の本塁打の1点のみに抑えます。

4回表、法大はノーアウトからエラーで出塁すると、この日までに早くも5打点を挙げている好調の5番今泉颯太選手(中京大中京③)が逆方向に放った痛烈な一打は右中間を破るツーベースヒット。

法大が長打で1点を返し同点。しかし外丸投手も粘りを見せ、後続を3人打ち取り逆転は許しません。

その裏、慶大もチャンスを作ります。7番山本晃大選手(浦和学院④)のライトオーバーの二塁打をきっかけにツーアウト満塁とすると、法大はこの日まで3試合8イニング無失点と抜群の安定感を見せている塙雄裕投手(常総学院③)をマウンドへ。第1打席ホームランを放った萩尾選手を打席に迎えますが、ライトフライに打ち取りピンチを脱します。

両チーム中盤から早くもリリーフ勝負に移り、慶大は二番手に今シーズン初登板の生井惇己投手(慶應④)が登板します。5回・6回と四死球でランナーを背負うものの被安打は許さず0に抑え、慶大に流れを持ってきます。

すると6回裏、5番古川智也選手(広島新庄④)のフォアボールを足掛かりに1アウト一三塁のチャンス。バッターは8番善波力選手(慶應③)。法大も警戒はしていたと思いますが、雨でぬかるんだグラウンドで絶妙なスクイズを決め慶大が1点を勝ち越します。

7回表、慶大は勝ちパターンを担う渡部淳一投手(慶應④)をマウンドへ。先頭は打率1割台と苦しむ野尻幸輝選手(木更津総合④)ですが、二塁横を速い打球で抜くヒットで出塁。

送りバントなどで2アウト三塁のシチュエーションを作ると、打率4割越えの絶好調男、副将の1番宮﨑秀太選手(天理④)。コンパクトに振り抜いた打球はライト前に落ち、勝負をかけて飛び込んだ山本晃大選手の横を抜けていきます。宮﨑選手はランニングホームランを狙いますが、慶大のバックアップ・中継も上手くクロスプレーでアウト。慶大としては同点で辛うじて凌いだイニングとなりました。

7回裏から法大は左腕の武冨陸投手(日大藤沢③)を送ります。これまでの試合も2回戦は塙投手ー武冨投手の2人が2~3イニングずつ投げる運用で勝利を呼び寄せてきた、法大の新しいパターンです。慶大も8回表からクローザーの橋本達弥投手(長田④)をマウンドに上げ、両チーム似たような展開で0を刻みます。

2-2の同点で迎えた9回裏、武冨投手は先頭の代打本間颯太朗選手(慶應②)をあっさり三振に取りゲームはこのまま引き分けになるかというムードが流れ始めていました。

1アウトランナー無しで打席には萩尾選手。第1打席の先頭打者ホームラン同様、初球でした。バットとボールの当たる高音が響き渡ると同時に、打球は雨を切り裂きレフトスタンドへ。

萩尾に始まり萩尾で終わったこの試合、慶大が3-2のサヨナラ勝ちでゲームセット。歓喜に沸く慶大ベンチと、マウンドでうずくまる武冨投手の対比が野球の面白さと残酷さを物語る対比となった試合でした。

東大ー早大戦の途中から降り始めた雨でグラウンドコンディションが悪く、この試合では両チーム合わせて12四死球とともにランナーを貯める展開が目立ちました。しかし慶大も法大も守備は落ち着いていて、あえてファーストが取りやすいワンバウンドで投げた8回表の
(慶應③)の守備のようなインテリジェンスも目立つ試合でした。

緊迫したロースコアゲームで、一振りで1点を取れるホームランの偉大さが改めて光ったとも言えます。ナイスゲームでした。

・法大Daily MVP:宮﨑秀太選手

法大で目立ったのは同点打を放ち、チーム唯一のマルチヒットの宮﨑秀太選手です。

この日を追えて打率.478と非常に当たっている新チームの1番切り込み隊長は、広角に鋭い打球を飛ばす能力を見せています。前日の試合ではなんと4安打の固め打ちも記録するなど慶大を苦しめてきました。今シーズンは打席でどっしりと構えて強く振ろうとする姿勢が感じられますし、溌溂としたプレーで副将としてもチームを盛り上げています。

守備面でもセンターを守っていますが、昨年レフトで出場していたときよりも安定感があるように感じています。このオフによく練習されたのでしょうね。

ホームクロスプレー時に負傷し、守備時から途中交代となりましたが翌日からスタメン復帰するなど軽傷で安心しました。ナイスヒットでした。

・慶大Daily MVP:萩尾匡也選手

この試合のMVPは言うまでもなく萩尾匡也選手です。先頭打者ホームランとサヨナラホームラン。素晴らしい活躍です。

歓喜に沸く慶應大学

ともに初球を叩いたもので、打席に向かう準備と思い切りの良さは天性の勘と努力の賜物と言えます。リーグ戦では2年春のリーグ戦初出場初打席のホームラン以来の一発で、通算3本。もっともっとホームランを今年は量産できそうです。

この日までで90打数31三振と三振も非常に多い選手ですが、バットに当たった時の圧倒的飛距離を生み出すパンチ力、この春2盗塁と技術も伴いだした足の速さなどは非常に魅力的で、私が贔屓とする東京ヤクルトスワローズの塩見泰隆選手にどこか近しいカテゴリーの選手だと考えています。

昨秋は神宮大会で2本ホームランを放つなど大舞台での強さも見せているので、次のステージが気になっています。この春の一挙手一投足に注目が集まっていると思うので、残りの試合も良いプレーで魅せて欲しいですね。華のある選手です。

■さいごに

日曜日も非常に面白い2試合を見せてもらいました。1試合目の途中から雨になり、2試合目は断続的に降る雨の影響で気温も下がり、選手の皆さんも大変だったと思います。

東大は2試合続けての引き分けで、4試合目までは確定となりました。5月2日(月)に3試合目、翌週の東大ー立大戦から1日空けて4試合目が開催されます。なお、5月2日の東大ー早大3回戦は8回まで0-0のゼロ行進も終盤に早大が意地を見せて4-0となりました。よく頑張ったのですが…。来週の4試合目で勝って5試合目まで縺れ込ませたいですね。

慶大ー法大の3試合目も5月2日に行われ、こちらは法大の劇的なサヨナラ勝ちとなりました。同一カード3試合連続のサヨナラ勝ちで、チームの力が拮抗していることがよくわかります。心配なのは生井投手が故障で降板してしまったことですね。昨年4冠間近までチームを作った慶大ですが、その中心リリーバーの一人なだけに戦力ダウンは避けられません。

久しぶりの勝ち点制、選手・スタッフは大変だと思いますが見ている我々としては試合が増えて面白いですね。今年もレベルはとても高いですし。残り4週間、どのチームも全力で戦い好ゲームをたくさん見せて欲しいなと期待しています。みんな頑張って!

・出典


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