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【どこよりも詳しい】オリックス新外国人フランク・シュウィンデル選手徹底分析

こんにちは、シュバルベです( ・∇・)

ようやく公式発表が出ましたね、オリックスの新外国籍選手獲得。

パリーグ連覇、そして悲願の日本一を果たしたオリックス・バファローズ。このオフはチームの主軸打者吉田正尚選手をMLBにポスティングで送り出した一方、森友哉選手をFAで獲得。獲得はならなかったものの、近藤健介選手のFA獲得争いにも乗り出すなど、補強姿勢を強めています。

外国籍選手はここまで育成契約で24歳と若いレアンドロ・セデーニョ内野手を獲得。2Aながら109試合で30本塁打を放つ強打の内野手を青田買いすることに成功しています。

支配下選手として、フランク・シュウィンデル内野手とジャレル・コットン投手の獲得が本日発表されました

オリックスはワゲスパック投手以外の選手との契約を結ばずリリースしているため、この後さらに報道では複数名の選手の名前が出ていますが第2弾・第3弾と補強が予想されます。

コットン投手のnoteはこちら↓(1/25追加)

まずはシュウィンデル選手がどんな選手なのか、そしてオリックスにどうフィットしていくのか。以下で検証していきたいと思います。


0.フランク・シュウィンデル選手のプロフィール

シュウィンデル選手はアメリカニュージャージー州出身、185cm/100kgの大型の一塁手です。1992年生まれの30歳で、オリックスで言えば福田周平選手や山﨑福也投手と同い年にあたります。

2013年にドラフト18巡目でカンザスシティ・ロイヤルズに指名、タイガースやアスレッチクスを経由し、2021年にシカゴ・カブスに移籍します。同チームで出場機会に恵まれ主に2番打者としてチームを牽引、シーズン14本塁打を記録するなど打棒を発揮しました。

2022年はシーズン開幕戦でスタメンを勝ち取るも、腰痛の影響で複数回戦列を外れこのオフにリリース。オリックスが獲得するに至りました。

契約は単年9,000万円とのこと。

横田昭作球団本部長は「シュウィンデルはパワーとミート力もあって、結構バランスのいい選手。中心の選手が抜けてるので、そこをカバーしてくれる一人になったら良いなと思う。」と記事内でコメントが掲載されています。

背番号は23番。日本ハムへFA移籍した伏見寅威選手が昨年まで背負い、過去には北川博敏選手や小川博文選手ら球団で長く活躍したOBが着用してきた番号です。


1.フランク・シュウィンデル選手の打撃成績

シュウィンデル選手の打撃成績を見ていきましょう。2022年の成績はこちら。

打率は2割台前半、出塁率も3割を切ってしまうなど、腰痛の影響を感じさせる内容となってしまいました。主に4番・5番の中軸で起用され、2022シーズン開幕戦でも5番スタメン。本塁打は8本放ちましたが、守備位置としては一塁・DHであり、この成績ではメジャー契約を継続するのは難しかったシーズンとなっています。

一方、シュウィンデル選手の2021年の成績はこちら。

カブスに移籍した7月以降、シュウィンデル選手はシーズン後半戦に非常に大きな貢献しました。打率.326という好打率をベースに、出塁率・長打率とも申し分なく、特に本塁打は64試合で14本。文句なしの中心打者と言えるでしょう。

MLBおよびAAAでのスラッシュライン(打率/出塁率/長打率)の2年間の推移はこちら。

やはり2021年が突出していますね。AAAでも2021年はOPS.900を超えている一方、2022年は10試合とは言えAAAでも厳しい数字となってしまいました。この成績の悪化が腰痛による影響だとするならば、それが完治した状態で来日できるのか、そしてパフォーマンスを元通り発揮できるのかが重要な点となります。

違う項目にも注目してみると、三振率は21年15.8%→22年19.9%と悪化した一方で、四球率は6.2%→6.5%と微増。三振率も20%を下回っているので、来日する外国籍選手の中では決して多くはない数字です。

ゾーンに対する対応ですが、スイング率はゾーンの内外問わず高く、積極的に打ちにいくタイプです。ボールゾーンのスイング率が2年連続で40%付近とかなり高い点は懸念点で、特にNPBの投手は低めの変化球が良い選手が多いため対応が必要になりそうです。

また、投手の左右による成績の差は少なく、この点は安心材料の一つでしょう。

動画を見るとかなり素直にバットを出していくタイプで、実際センター方向への打球割合が30%を2年続けて超えています。

2022シーズンのヒット落下地点

長打は引っ張り方向に多くその割合は40%前後を占めているものの、逆方向にも3本ホームランを放っており、センターやライトの前に落とす単打も打つことができる点はシュウィンデル選手の器用さの表れかもしれません。


2.フランク・シュウィンデル選手の打撃内容

MLBでは全球場に設置されたホークアイデータを元に集計された投球データや打撃データをBaseball Savantというサイトで閲覧することが出来ます。

シュウィンデル選手の打球速度・打球角度・バレル率・ハードヒット率を他の来日外国籍選手と比べてみましょう。
(バレル率についてはこちらをご参照ください。)

シュウィンデル選手の平均打球速度は142km/hで、最高打球速度は176km/h打球角度は約10度で、バレル率は4.8%ハードヒット率とは、95マイル(≒153km/h)以上の速度の打球割合のことで、これは36%あります。

打席数にバラツキがありますが、この2年間の来日した、もしくはこれから来日することが決まった外国籍選手の中で傑出した数字は残せていません。

昨年シュウィンデル選手と同じくらいの打席数を踏んでいるガルビス選手とポランコ選手を比べると、打球速度が速く、バレル率も角度もハードヒット率も高いポランコ選手は1年目から20本塁打を記録しており、その点で考えるとシュウィンデル選手の打球角度10度とバレル率4%台はやや不安材料です。

ただ、21年に来日したスワローズのドミンゴ・サンタナ選手も20年は背中の怪我の影響で打球角度5.4度、バレル率6%でした。2021年のシュウィンデル選手のバレル率は8%あり、ハードヒット率も40%とポランコ選手・オグレディ選手らのNPB1年目から結果を残した選手に次ぐものがあります。

次に、ゾーン別の対応です。ゾーン別の打率はこちら。

高めのボールにはボールゾーンでも高い打率を記録しており、基本的にはハイボールヒッターと考えて良いでしょう。

掲載は割愛しますが、インコースのボールに対してスイング率が高く、コンタクト率も高いですが、各種動画を見る限り強く引っ張りこむ打撃は不得手でセンター~逆方向への「しぶとい」ヒットが目立ちます。

アウトコースの丁度腕が伸びるゾーンは一番のスイートスポットで、21年シーズンは多くのボールを長打にすることに成功しています。

弱点としては、コースを問わず真ん中~低めのボールに対しての打率は低く、特にインローのボールに対して脆さを見せています。

最後に、球種別の対応についてです。
・ファストボール:フォーシーム、ツーシーム、カット、シンカー
・ブレーキング:スプリット、チェンジアップ、フォーク、スクリュー
・ブレーキング:スライダー、カーブ、ナックル
と系統別に分類した結果がこちら。

傾向として、ファストボールに分類されるボールに対しては空振り率は低く、打率は高くなっています。打率2割前半に沈んだ2022シーズンでもファストボール系のボールに対しては打率。268を残せており、日本でも速球対応はある程度見込んでおいてよいでしょう。

逆に、オフスピードボールへの対応は悪く、好成績を残した2021年も打率は2割前半、空振り率は2年続けて3割強となっています。

ブレーキングボールに対しての対応は2022年に極端に悪くなっており、このカテゴリーに位置付けられるスプリットやフォークなどの落ち球への対応の差が腰痛によるスイングキャンセルの可否に結びついているのかと推察しています。

ここまで細かくシュウィンデル選手の打撃内容を見てきましたが、最終的には1章と同じようにどこまで腰痛から回復しているかに左右されてきます。そこが完治していれば甘い速球系のボールを左右に強く弾き返すことが出来るでしょうし、落とすボールにもスイングを止めることが出来るでしょう。

この章の締めくくりとして、定性的な情報を。

シュウィンデル選手の動画をある程度見ましたが、シュウィンデル選手はオリックスの杉本選手と似たようなバッティングをするなぁと率直に思いました。基本的にはボールに逆らわずセンター方向にはじき返し、インコースも詰まっても逆方向に落とすイメージですね。

腕っぷしが強くてどこまでも飛ばすというより、得意なゾーンのボールをしっかり強く弾き返していく中距離ヒッターで、京セラではフェン直二塁打が多くなりそうな予感がします。

高めのボールに対して強く、そして打ち損じない打撃が出来れば、森友哉 ー 杉本・”ラオウ”・裕太郎 ー フランク・”ザ・タンク”・シュウィンデルで組まれる中軸はかなり強力なものになりそうです。


3.フランク・シュウィンデル選手の守備走塁

2021年から2022年にかけて、シュウィンデル選手がついた守備位置は一塁のみです。これまでMLBで846イニングに出場し2失策、守備率.998と一塁守備は安定しています。

走塁面では、足はMLBの中でもかなり遅い部類に入り22年は0盗塁。スプリントの数字を見ても芳しくありません。

典型的な一塁専と言われる選手像となっています。


4.さいごに:フランク・シュウィンデル選手に求められるもの

最後に、シュウィンデル選手がオリックスでどのような役割を求められるか考えていきましょう。

幸か不幸か、新外国人選手にとってオリックスという球団はかなり活躍のハードルが低くなっています。こちらは過去3年間のオリックスに在籍した外国籍の野手の成績です。

22年の3選手は散々な結果で、WARベースでは全員マイナス。リーグの平準的な選手で代替可能なレベルを下回っている状態です。過去を見ても2020年のモヤ選手のWAR+1.3が最高値であり、この成績を残せれば十分すぎる補強となるでしょう。

最も、WARベースだと一塁というポジションは非常に不利で、打撃で大きな成果を残す必要があります。吉田正尚選手という偉大な打者が抜けた状態でもあるので、一塁・DHを担うシュウィンデル選手にはやはりOPS.800越えは求めていきたい数字となるでしょう。

打順に関しては、出塁率と打率の乖離がそこまで大きいタイプで無く、走力も低いため1~3番では使わず、4番~5番での起用が多くなるのではないかと考えられます。

2章の末尾に書いたように、3番森友哉選手、4番杉本選手、5番シュウィンデル選手と並べて中軸を形成するのが来年のオリックスでは一番怖さが出るかなと思います。ランナーを返していく役割をどこまで果たせるか、そして21年の輝きをもう一度取り戻せるか。

5番打者として打点を稼ぐことに特化したバッターになったらオリックスの得点能力という点で大きな伸びしろとなります。

本人にとっても日本での成功を元に再度MLB挑戦を、という思いがあるようですので、オリックスで打力を存分に発揮してもらい、リーグ3連覇を手にキャリアアップ(オリックスでの高額残留というラインも含めて)を果たしたいところですね。

注目していきましょう。
Go, Schwindel!!


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