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転職は自分の可能性と限界を知るマインスイーパだと思う

看護師を辞めて営業をやっている今が人生で一番楽しい。断言できる。
しかし、それはいくつかの挫折と諦めを経たからだろう。
最初から営業をやっていたら絶対腐っていただろうし、1年足らずで辞めた前職での経験はターニングポイントになった。
「向いてないと分かったらそれも前進。その経験から学べれば転職に失敗はない」と思っている。
マインスイーパの白いマスを開けるように、戦略的かつ大胆に一歩踏み出したら、違うものが見えてくる。

現在進行形で転職ミスったと思っている人、内定が決まってるけど不安で素直に喜べない人、現職に嫌気が差しているけど動くのも恐くて身動きがとれなくなっている人、仕事に迷う全ての人にこのnoteを捧げる。
※多少のフェイクを入れております


経歴

看護専門学校を卒業後、大学病院と中規模病院で計8年看護師を勤めた後、医療系ITの中小企業に転職。
CSとして働き始めるが絶望的にデスクワークができず、人事評価で異例の減給措置を受ける。
時々駆り出された営業先での対応が楽しかったため、営業を志し再度転職。
現在医療系営業。

なぜ看護師を辞めたのか

営業先で看護師だったと伝えると一言目には辞めた理由を聞かれる。
わかる。私も昔は一生看護師やると思ってた。
語り始めると長くなるので、箇条書きにすると以下のようなことだ。
・上司(師長や部長)に幸せそうな人がいなかった≒将来の自分が満ち足りている様子を想像できなかった
・辞めても戻ってくることはできるし、看護師しか経験していない人生は勿体無いと思った
・未経験転職するなら30歳より前の方がいいと思った
コロナ禍ですったもんだあった

看護師辞めたるわい、と決意したものの、自分が看護師以外に何になれるのか全くわからなかった
折角転職するならOLになる!となんとなく思っていたのだが、会社勤めの人たちがどんな仕事をしているのか見当もつかなかった。
この時点で自分の無知さに戦慄した。
しかし、無知のままでいる方が怖くて恥ずかしいと思ったし、未経験のことを始めるなら尚更、自分の無力さに怖気づいてはいけないと何度も言い聞かせた。
(転職以外でも、新しいことを始める時のコツとして、自分の至らなさに耐性をつけることが重要だと思う。この話はまた後日。)

転職活動の実際

いくつかのエージェントに登録すると、すぐにオファーメールが殺到する。
業種の希望などを登録しないと全方位から☆とか【】とかで目立つよう工夫されたタイトルがずらりと並び、開いてみると「来月から来てくれていいよ」的なことが書いてあったりする。
めちゃくちゃ困ってる大人が一所懸命涼しい顔をしている様が非常に苦手なので、【激烈人出不足】条件合えば即決☆します【3年勤続で賞与2倍】くらい堂々と言ってほしいもんだと苦笑した。

転職の専門家ではないので断言できないが、肌感で『業界』と『業種』のどちらかは自分が経験しているものがいいだろうな、と思った。
例:食品メーカーの営業が転職するんだったら、食品関連の別の業種か、別の業界の営業
後から知ったが、自分の経験に軸足を置いて片足を動かすからピボット転職というらしい。
自分、バスケやってたんでピボット任してください。

エージェントには「無知を克服したい姿勢やチャレンジ精神、自分から学ぼうとするマインドが非常に良いです。こういう人はどこに行っても歓迎されますよ」と言われ、実際1ヶ月ほどで第一志望のところから内定が出た。
やべえ、やれば出来んじゃん私。
医療現場で用いられるITサービスの会社で看護師経験が活かせると思った。
即戦力かはわからないが、お客様ファーストの精神には自信があった。

はじめての転職で(実質)クビになる

蓋を開けてみると、即戦力どころか漬物石と化していた
PCスキルや事務処理能力が低いとお話にならなかった。
二つとも自分ではそんなに低くないと思っていたが、看護師に求められるレベルが社会人のそれとは比にならないのだった。

加えて下記のような致命的な問題が私をしごとができなすぎる人、略して”しごでき”にしていった。
・テレワークで先輩たちと直接会う機会が少なく、一つ解決させるために多くの労力を要した
(社内チャットのどのスレッドでどう質問すればいいか小一時間悩んだりした)
・小規模な組織なら柔軟性がある(=ゆるくて自分にもついていける)と思っていたが、それは大間違いだった
・ゼロから人材を育てる体力が会社にないため、ある程度経験を積んだ即戦力ばかりが集まっており、完全に足手まといにだった
・「自分で考えて動いて」と「わからないなら聞いて」の往復ビンタに、涙目で立ち尽くす新人時代のトラウマが蘇った

あまりにも”しごでき”だった私は半年後の人事評価で「頑張ってるのはわかるけど、ぶっちゃけ思ったレベルまで全然到達してないんでこれくらいしか出せないです」的なことを言われ、大幅な減給をされた。
それは自主退職を促す戦力外通告だった。
今の時代、ここまで仕事ができない私のことも企業はクビにできないのか…と半ば同情した。

それでも後悔はなかった

黒歴史に新たな1ページが刻まれた訳だが、転職したことは後悔していなかった。
自分がここまで世間知らずだということを知れて良かった。
あのままいい歳になってたら結構ヤバかったな、という危機感の方が大きかった。
そして、井の中の蛙として、もっと大海を知りたいと思った。
だから、看護師に戻る気はなかった。

その職場で唯一評価された部分があった。それはお客様対応。
・直接でもWEBでも、先方の求めることを理解して的確に情報提供することに長けていた
・人手不足で時々営業のアポに駆り出されていたが、次のステップに進めていけることも多かった
そんな経験から、自分は現場で営業している方が向いているのではないかと思った

改めて自分の得意・不得意を棚卸する

看護師という仕事から離れ、一般職を経験することで、看護師時代の自分も俯瞰して見られるようになった。
すると、看護師は複合的な技術を求められることに気づいた。
・相手の言いたいことを齟齬なく解釈する力
・相手に提案・依頼する力
・絶対にしてはいけないミスを理解し、防ぐ力
・決められたルールの中で適度に妥協し、安全かつ効率よく進める力
・急な変更に対応する力
・潜在的な違和感を察知して今後の展開を予測する力

逆に、向いてない作業や苦手な雰囲気がわかるようになった。
・明言されていないルールを紐解きながら動く
・やったことがない作業に見通しを立てながら進める
・期限から逆算して工数を省く
・たたき台を作って上司に確認する

得意不得意は混ざっていることもある。
例えば、明言化されていなくても経験を重ねていくことで自分の中でフローチャート化できてしまえば、マニュアルがなくても対応できる。
しかし、フローチャート化できるまでの経験を積むまでに時間を要するので、それまでは要領が悪くなってしまったりするのだ。

向いてないとわかれば価値ある経験になる

棚卸を経て思った。
結果的にはCSは向いていなかった。
しかし、社会人マナーについて1から勉強できたし、ここでしたミスは次に気をつけられる。
たとえ失敗体験であったとしても、得るものがあったら価値ある経験になる。
転職に成功したかどうかは年収の増減や肩書きのアップグレードだけではなく、価値ある経験をどれだけ積めたかが重要なんじゃないか。
転職をする理由は人それぞれだが、目的に向かってちゃんと試行錯誤できていなければ、転職してよかったかどうか検証できないのだ。

私は知らない世界に飛び込んで色んなことを知り、自分の可能性をひろげるために転職した。
だから、世間知らずで恥をかきまくりながら色んなことを勉強して、看護師時代には見えなかった自分の強みに気づくことができて良かった。
(人出が足りないのに普通に使えないやつを雇ってしまった会社側からすればめでたくないわと思われるかもしれないですが、これを機に私のような面接と自己PRだけ印象がいいボンクラの目利きを強化して頂ければ幸いです。お世話になりました。)

転職=マインスイーパ説

転職はマインスイーパでマスを開くようなものだと思う。
地雷が多い列もあるし、逆に少なすぎて不安になる行もあるかもしれない。
これはここまでいけた、これに関しては自分が関わるほど迷惑をかけた、と×をつけていくように試していけば、自分の守備範囲がわかる。
自信と誇りを持って働けるエリアが心の安全地帯、活躍できる作業がキャリアの安全地帯と言える。
いろんなことにトライして沢山のマスを開いた人は安全地帯と地雷源がわかり、働きやすくなっていくのである

人生100年時代、一つの仕事を極めても、時代の移り変わりと同時に仕事のあり方も変化を求められるようになってきた。
今やっている仕事もAI技術の進化や社会問題によって立場が危ぶまれるかもしれない。
これからの働き方で重要なのは、何ができるかだけではなく、自分の可能性と限界を理解して立ち回れる応用力なのではないか
そのためにはマインスイーパのマスを開けておくことで自分を知ることが、生き残り戦略の一つだと思っている。

再度転職活動を開始

向いていない仕事を理解し、営業に活路を見い出した私は、前回よりも自信を持って転職活動を始めた。目指したのは医療業界での営業だ。
営業活動をしたことはあるが、サポートレベルだし、数字を立てたこともない。
だから、営業能力を売りにするのではなく、医療現場での経験と内省力を押し出すことにした。
看護師8年という『事実』と、無知な自分を変えたいという『意志』、転職先での経験を踏まえた『客観的視点』の三つが武器になると思った。

この時やろうとしていることは、言ってしまえば「看護師しかやったことないんでCSやってみたら使えなすぎて反省したんで次は営業がやりたいんすよね」みたいなことだ。
ただ、なぜそうしようとしたのか、その結果をどう捉えて、次にどうしようとしているのが、をきちんと伝えられることが重要なのだ
(それを理解せず「え、キャリアがないのになんで自分をPRできるんですか」みたいに思ってる人がかなり多い気がするんだけど、やったことなくてやってみたいから転職するのに、できることだけで勝負しようとしている方が凄くね?と思ってしまう)

そして現職へ

転職活動開始後、1ヶ月ほどで今の会社に内定をもらった。
外資か内資か、転勤の有無などで悩むことはあったが、どこも思ってたのと違う、ということはあるので、面接での印象や書類上のやりとりがスムーズだったところに決めた。
最終面接に同席した上司に聞くと、医療職の経験は確かに強みだが、それ以上に客観的な視点を持って前向きに取り組むマインドが好感を持った、とのことだった。
狙い通りやん。
調子に乗るのは良くないが、相手の求めることを読んで表現することで目標を達成できたという点では、営業能力が発揮されたと言えるかもしれない。

入社後、思った以上にしっかりした研修を受けることができ、営業の基礎も固めることができた。
もう少しで1年というところだが、営業成績は中の上くらいで大口案件もクロージングでき、自信がついてきた。
ミスをして落ち込むこともあるけど、仕事ってそういうもんだよな、と切り替えられるようになった。
看護師経験でクライアントの想いが、前職でCSの苦労がわかったから、いま、楽しく頑張れていると思う。

このまま一生営業をやるかはわからない。
やればやるほどいろんなものが興味深く見えてくる。

マインスイーパはまだまだ白いマスだらけだ。
これからも可能性と限界を踏み分けながら、私だけの島(キャリア)を築いていきたい。

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