ヒゲの話。

どこかで書いたかもしれないし、書いていないかもしれない。

営業の仕事を辞める少し前から、ストレスなのか遺伝なのか髪が薄くなり、
筋力も大分落ちていたことも相まって、昔より大分みっともない姿になっていた。
営業の仕事ではいつも無理して笑っていた記憶がある。人の話に笑って相槌を打ち、頼まれたことはNOと言えず、それでも上手く立ち回れずに社内に味方が少なかった。
そんな時、限界が来て営業の仕事は辞めてしまったのだけれども、仕事を辞めて2〜3ヶ月経った12月の年の瀬、高熱で動けなくなった。高熱で数日寝込むなんてあまり経験が無かったので、珍しいなぁと思いながらずっとうなされていた。
そして数日が過ぎて年を跨ぎ、新年になって起きた時、無精ヒゲが生えていたのである。
営業やっていた頃はヒゲを剃り忘れて出社しようもんなら、もうメタクソに言われるような所だったので、ヒゲが生えている姿が新鮮だった。
そこで思ったのである。これも何かのタイミングかもしれない。
「敢えてこれこのまま伸ばしてみるか」と。
営業の仕事をしている時はずっと自分を殺して仕事をしていた。上手く自分の中で折り合いをつけようと頑張ったがとても無理だった。そのまま続けた結果、限界が来て仕事を辞めた。
私のような人間は生き方が下手なのである。”ちょうどいい塩梅”というのが分からずに自分を守ることも出来ない。ならばヒゲを生やそうと思った。自分を守る証として。
これから先、どんな仕事に関わろうと、「そのヒゲはダメだね」と言われた時に「そんじゃあ結構です」と言えるくらいにはなろうと思ったのである。

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