【観戦後の雑感】2024 J2第9節 愛媛×岡山

皆さん、こんにちは。
前節、2024の初黒星を喫したファジアーノにとって、J1を目指すうえで今節は連敗だけは避けたい試合でした。田部井選手と柳貴博選手が復帰、そして前節で期待が高まった太田選手が先発と戦力の充実度で期待できる布陣で臨みましたが、試合展開は難しいものになりました。今節を振り返ってみたいと思います。


寸評

試合の序盤は、お互いの主導権を握るためにボールが激しく行きかう形に。岡山は、No.11太田が前線でボールを収めながら、愛媛はNo.14谷本を中心にパス交換で縦に速く攻めていく。ボールの回収は、岡山にやや分があるかと思われた前半12分、No.18田上のパスミスを谷本がワンタッチでNo.10松田に差し込む。松田が、このボールを上手くコントロールし、岡山は先制される。ここから岡山は、後方からのフィードを中心に愛媛ゴールに迫っていく。ボールを持てば、ペナルティ付近まで前進はするものの、あと1、2つながればシュートという場面で、愛媛の牙城を崩すことができずに前半が終了。一方、愛媛は前半20分ごろまではカウンターのチャンスをうかがう場面もあったが、その後は、岡山の圧力を中々跳ね返す場面は作れなかった。
後半、岡山はNo.27木村に変えて、No.8ガブリエル シャビエルを投入。シャビエルが、中盤にポジションを移して、ゲームコントロールを試みることで、後半は、岡山が概ねボールを握る展開になる。しかし前半と同様にコーナーキックなどのセットプレーで愛媛のゴールネットを揺らすことができない。岡山は、後半10分に太田に変えてNo.29齋藤を、後半19分にNo.14田部井と田上に変えてNo.25吉尾とNo.44仙波を投入し、流れを変えようとする。迎えた後半23分、No.15本山のCKの折り返しが、愛媛のNo.8深澤にあたり愛媛のゴールネットを揺らし追いつくことに成功。岡山としては、終始押し込んでいたこともあり、ここから畳みかけたいところだったが1分後にFKから、No.25小川がヘディングで合わせ突き放されてしまう。
激しい展開に、試合が混沌とした雰囲気をおびてきた矢先、その1分後にはボールを受けた吉尾に愛媛のNo.27パク ゴヌがチャージ。これが危険なプレーとみなされレッドカード。岡山は数的優位を得る。このプレーで負傷した吉尾に変えて、No.99ルカオを投入した岡山は、ゴール前の圧力をさらに上げていく。しかし90分でゴールを割ることができない。
負傷交代などもあり、アディショナルタイムは8分が提示された。迎えた後半47分、岡山は、仙波のクロスに反応した斎藤がゴールネットを揺らし同点とすることに成功。その後も、数的優位をもとに逆転を目指すが、そのままタイムアップとなった。

岡山で印象に残った選手

No.29 齋藤 恵太
失点にも絡んだものの、値千金の同点ゴール。愛媛のゴール前で多くの相手選手とのボディコンタクトがありましたが、身体の強さを見せていました。同点ゴール後の味方に自陣に速く戻るように促したジェスチャーやヒーローインタビューの内容は、非常に勝負にこだわっていることが感じられるもので、今後もピッチを引っ張ってくれると思うものでした。

No.44 仙波 大志
同点弾のクロスを供給。出場してから愛媛に対して数的優位を持てたところを非常に活かすプレーを披露していました。特に試合終盤に向かってドリブルを増やしたプレーは、愛媛の選手を釣り出して、守備ブロックの綻びを作ることを意図していたのでしょう。シャビエル選手とともに、相手が嫌がるところを常に狙っていることが感じられました。ここまで出場したファジの選手を見ても、やはり素直なプレーをする人が多い印象で、変化をつけられる人の存在は大きいです。今シーズン、岡山でのプレーを選んでくれて本当に良かった。

No.15 本山 遥
最終盤の愛媛のNo.9ベン ダンカンの抜け出しに追い付いたブロックは圧巻。1点目にも絡んでおり、今日の働きは、非常に大きかったです。一方で、パスやフィードについては、まだ課題がありそうです。前節のPKをゲットした際のフィードもですが、「位置は見えているが、距離があっていない」プレーが散見されます。今日の3CBの中で最も冷静に戦えていた印象もあり、この部分の精度が上がれば、不動の存在になっていくかもしれません。

愛媛で印象に残った選手

No.14 谷本 駿介
先制点をアシストしたワンタッチプレーは判断が早かった。ボールを良い形で持たせると危険という所を、まざまざと見せつけられました。岡山が押し込む中でも、ドリブルで運べて、スルーパスのセンスもあるので、1つのプレーで盤面をひっくり返す雰囲気があり、後半の比較的早いタイミングで交代したときは、正直なところホッとしました。

No.10 松田 力
冷静に先制点を奪う。決して身体が大きいわけではないですが、前線を広く動いてボールの収めどころ、そしてシュートチャンスをうかがうシーンは流石。岡山のNo.5柳育崇選手にマークにつかれても、ひるむことなく闘い続ける姿と相まって、やはりエースストライカーだなと思いました。

No.19 尾崎 優成
ファジサポのレビュアーさんたちが名前を上げており、今日の解説でもよく触れられていた選手。触れられていた通り、岡山のNo.17末吉選手をはじめ、対面の選手に上手く対応。「ここが抜ければ危険」という場面を、たびたび潰していました。岡山としては、左サイドを強みにできなかった点は、試合展開として響いたかもしれません。

終わりに ー最適解への模索とともに、勝ち点を粘り強く拾う戦いが続くー

この試合、「なんとも評価が難しい」という感想を持っています。
まず記事の書き出しに触れたように、連敗を避けることができた点は良かったですし、開幕からの戦い方のベースも継続できています。しかし、前回の記事で触れた通り、チャンスを作っても決めきれないという課題については、まだ時間がかかるということを感じる試合でした。
先行される中で、複数得点で追いついてドローで連敗を止める。客観的に見れば、決して悪くない結果のはずですが、J1を目指すうえでは、もっと質を高くして勝ちたいという欲が出てきてしまいます。
「印象に残った選手」では、触れませんでしたが、先発の太田選手は、前線の競り合いでの勝率が高かったですし、木村選手も昨シーズンと比較するとゴール前でのパスなどで判断力が良くなっていると、うにがしらは感じています。やはり選手層は厚くなっていますし、個人の質も上がっているのですが、クロスが合わない場面やラストパスが相手の壁の前になってしまっているところが目につきます。裏を返せば、チャンスは作れているという解釈にもなりますが(これはスタッツ上でも確認できます)。
「個では優位だが、優位な流れ(特に相手ゴール前)が作れていない」。この点については、しばらくサポとしては割り切って「いずれ改善する」ことを期待して観ていく必要があるのかもしれません。シャビエル選手は、少しレベル感が違うと感じられますが、現状ここまで出場してきた選手は、やはり一長一短があり、怪我から復帰してくる選手も、一気に課題を解決できる人はいないでしょう(いたらとても嬉しいですけども)。
とはいえ、ゴール前での密集しているところとか、もう少し都合のいいところにボールがこぼれてもいいんじゃないかと思うんですけど・・・まぁ、ここは「そう甘いこと、考えとったらいかん」ということなのでしょう。
しばらくは、課題と向きあいつつ、何とか勝ち点を拾って上位に喰らいついていきたいところです。
次節は、難敵秋田。どんな試合になるか楽しみです。

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