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短い小説、あります。

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短編の小説を格納しているマガジンです。
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記事一覧

浅草異界:ハイテクサブカルサンダル 【短い小説 #9】

 オレは浅草とか、全然好きじゃない。っていうか興味ない。  普通だろ? 遊びに行くならフ…

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密林に、異常あり。 【短い小説 #8】

 わたしのジャングルは、白い。  白々と重なる何万枚もの葉を見上げる。みっちり頭上を覆う…

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ミニマリストのミルク皿。 【短い小説 #7】

 ヒトシは「ミニマリストらしい哲学を持たない、ミニマリスト」だ。  “最小限主義”。“シ…

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猫は流れる。 【短い小説 #6】

「あ、あなた。それはイケマセン。おやめなさい」  人通りの少ない青山通りを歩いているとそ…

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ハシゴの上のひとりとふたり。 【短い小説 #5】

俺の彼女は、ハシゴの上で寝る。 上、といっても登った方の上ではない。部屋の隅に置かれたヨ…

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ちょっとした遠距離恋愛。 【短い小説 #4】

あのね。ちょっと考えてみて。 わたしの彼氏が例えば、地底人だったとするじゃん。 そうする…

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黄ワニさんの電話相談。 【短い小説 #3】

隣の部屋で電話が鳴る。 もっと正しく言うとskypeの呼び出し音だ。それがふっと消える。 「はい」 「もしもし……黄ワニさんの電話相談ですか?」 「はい、こちら黄ワニです。相談をうけます」 黄ワニさんの最近の仕事は、skypeで相談にのることらしい。部屋の片隅に放っておいた古いipadを興味深げにしげしげと眺めていたので「使ってみるかい?」と与えたら、いつの間にかそんなことを始めていた。何回も呼び出し音が鳴る日もあれば、一度も鳴らない日もある。が、鳴らない日は珍しい方なの

生かすか死なすか、それが缶詰だ。 【短い小説 #2】

「お父さん!」  入り口のムシロを剥ぎ取る勢いで、ミスミが飛び込んでくる。 「……そのムシ…

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世界を割らない方法。 【短い小説 #1】

 “上を見上げてると、鬱な気持ちになれないらしいですよ”  のっぺりと青い空を見上げて最…

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