根治不可のガンに対する自由診療について

私は根治不可な悪性神経膠腫、悪性度3のグリオーマのガン患者です。

ネットに蔓延している保険適応外の自由診療で受ける民間療法の数々…

皆さんはこれらの治療に対してどう思われますか?

「標準治療や治験などを受けても助からないような絶望にあえいでいるガンの人々を救済する希望だ!」

と思われているのなら今回の私の記事に不快感を示されるかもしれません。

私は現在、標準治療である抗ガン剤治療をおこなっています。(テモダールとアバスチンを併用して使っています)

今のところ、その治療でガンの増殖は抑えられている状態です。

仮に今使っている薬が効かなくなった場合、代替療法の自由診療はおこなわない予定です。

どうしてなのか説明していきます。


①わかりやすい表現で治療について解説

私は様々な保険適用外の自由診療の治療をおこなうクリニックのHPを片っ端から拝見させて頂きました。

そこでまず感じたことが「表現のわかりやすさ」です。


ガン患者の救済を謳うクリニックのHPはしっかり整備されていて、文言の表現が小学生でもわかるぐらい丁寧でした。

(例:ガンの表面には自分がガンだという目印がついています。この目印を見つけて攻撃させるのが、この治療方法の特徴です

公的なガンに対する医療系の論文や資料…目を通すと頭が痛くなるほど専門用語や難しい表現の数々で読むこともやっかいでした。

一見するとわかりやすく説明することは親切なように感じますが、原因もまだ解明されていないグリオーマに対して、「こういう原因が考えられます」と最後に言い切るケースが多くありました。

わかりやすい表現で読者の興味を引き、最後に自分たちの主観的な理論をただ相手に刷り込みたいだけなのです。


②海外では研究の進んでいる治療です!

海外の最新の学術研究を引き合いに出して、「日本で認可されていないが、世界では研究が進んでいます!この治療はゆくゆくは効果的な治療方法になっていく可能性があります!」と煽り文句を付けているのもよくある手です。

ここでポイントなのが研究中であって、まだ治療の効果が確認されていないという点です。

海外で治療の効果が認められている方法を公的な日本の脳外科医の方が勧めないことはあるのでしょうか?もしそうなら、日本は鎖国状態の医療後進国ですね。

数年前から研究が進んでいます(研究に成果が出たとは言っていない


③とにかく不安を煽る

これは色々な手口にも使用される方法ですね。まず、日本の医療について攻撃します。

「抗ガン剤は毒だ!」「放射線はゆくゆく他のガンを誘発する!」「アメリカと比べ、ガン患者が増えているのは日本の医療が遅れているせいだ!」

こう表現することで日本の公的な医療機関に対する不信感を抱かせ、今受けている治療に対して不安にさせます。

こうすることで、別の治療の選択肢を持たせることがより確実に出来ますね

※ちなみに日本のガン患者が増えていることは高齢化が進んでガンになる確率が増えていることにも関係しています。一概にアメリカのデータと比較するのはおかしな話ですね


④治療の安全性を謳う

「この治療は自分の持っている力をより開放するだけであって安全です」「身体に負担のかかる治療と違って副作用も無く、いつもの生活が送れますよ!」

身体に対してノーリスク、ハイリターンで治療が受けられるということを宣伝する傾向にあります。(なお、治療にかかる費用はハイリスクな模様


⑤成功例を引き合いに出す

「なんと!この患者様は根治不可といわれたガンを寛解されました!」

MRIの画像を見せながら病状の変化を見せ、その治療の有効性を示していました。

一見すると本当に治療の効果が出ているように思えますね。確かに助かった患者の方は中にはいることでしょう……100人の内数人ほどは……

実は治らないガンだと言われても中には一定数助かる方はいらっしゃいます。その方がたまたまその民間療法を受けただけなのです。

最近は標準治療と併用して出来ることを謳っている治療が多くありますね。標準治療だけをおこなっただけでもその患者の方は治ってしまったケースだったのかもしれません。


⑥Googleの検索エンジンの問題

ネットが普及して、携帯から誰でも情報を得られるようになったのは素晴らしいことですが、検索上位にきている治療方法だからといって正しい治療方法であるとは限りません。

広告費を払っているHPはもちろんのこと、大量の画像を貼られているHPの方が検索上位になるようにプログラムされていることも影響しています。


⑦高額な治療費

病気で苦しんでいることをネットに書き込んだり、ブログを投稿したりすると様々な方からメッセージを頂きました。

「こんな治療方法があるから試してみませんか?」

不思議なことに、わたしがよくお金が無いと宣伝をするようになってからピタッと代替療法を宣伝するメッセージは来なくなりました。

ネット以外でも祖母が私に数十万円もするガンに効くと噂のキノコを買おうとしていました。

善意というものにもお金が必要なんですね。


結論

業者は科学的に根拠のない治療を高額で受けさせたいが為にあれこれ画策しています。

それでも自由診療を受ける方を私は否定することはしません

担当医から根治できないガンだといわれることが、どんなに絶望に突き落とされるのか…

自分自身、同じ根治不可なガン患者として痛感しているからです

それに先ほど書いたことと反するかもしれませんが、代替療法をすることによって精神的に救われ、ストレスが軽減されることで体調が良くなり、結果的に予後長く生きれるかもしれません……

何が善で何が悪かなんて結局のところ分かりませんね……


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