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一年間という長いロスタイムを経て――NUANCE ONEMANLIVE『川井わか卒業公演「わかった」』

2024年3月24日、NUANCEのワンマンライブ『川井わか卒業公演「わかった」』が横浜ベイホールで開催された。

川井わかはグループ発足から現在まで、7年間も活動を続けてきた最後のオリジナルメンバー。大学や大学院の卒業などのグループを卒業するタイミングはいくつかあり、ワンマンライブの度に我々ファンは「大切なお知らせ」を覚悟していた。しかし、そんな発表は無くライブはいつも終了し、もしかしてこのままアイドルビジネス(メンバーを辞めたとしても関連の仕事など)を続けていくのかな?と考えたこともあった。

なので最初に卒業の知らせを聞いた時、驚きや寂しさよりも「ああ、やっぱりこの時が来たか」と「今までお疲れ様でした」という気持ちのほうが断然強かった。長く応援してきたファンのみなさんも同じ気持ちだったのだろう、SNS上でも同じような声が散見された。

本来ならば大学院を卒業した去年にグループを卒業することも出来たはずなのに、川井わかは一年間という長いロスタイムをファンにもグループにも与えてくれたのだと自分は思っている。それが無かったら、城戸海月がグループに加入していなかったかもしれないし、新メンバーに上手くバトンタッチを出来なかったかもしれない。そんなことを考えながらライブ当日を迎えた。


家を出る頃には降っていなかった雨が、元町・中華街駅を出た頃には傘無しではやや厳しい雨脚になっていた。晴れ女で知られていた川井わかなのに、最後の最後でその力も通用しなくなったのだろうか・・・と雨に打たれながら会場に向かった。

開演15分前ごろに入場したのだが、思っていたよりも客入りも良く正直ホッとした。リキッドルームでのワンマンの集客を体験していたので、卒業ライブだとしても多少の不安もあったが杞憂だった。

どこで見ようかと色々と移動してみたが、上手の柱の横辺りに陣取ることに。斜めからの鑑賞でバンド全体を見ることは出来ないが、メンバーの表情がハッキリと分かる距離で大満足。新メンバーの顔をちゃんと見たのは今回が初めてだったかもしれない。

印象に残った曲を上げていくと、まずは『ピオニー』。この曲は椅子の上でわかちゃんの上半身の振りから始まるのだが、初披露の時にまるで暴れているように見えたのが印象的で、そのシーンのファンになってしまった。しかし、段々と洗練されて大人しくなったのが不満だったので「最後だから暴れろ!」と心の中で思いながら見ていたのだが、通常と変わりなくて残念・・・と思ってたら、最後に椅子に上った城戸海月があの頃のわかちゃんのように暴れていた!これは今後のヌュアンスを継承していくバトンタッチのように思えた。『特急 元町・中華街行き27分』はライブで見たのは数回しかないが、こんなに楽しくて盛り上がる曲に成長したんだと感動した。今回は披露されなかったが『赤レンガ空中さんぽ』も去年発表された曲で、新曲たちがこんなに素晴らしいのもヌュアンスの凄さだとあらためて思った。

ライブ中盤辺りで川井わかの卒業メッセージ。「私のことを、もうすっかり忘れちゃうくらい、みんな幸せになってください」という締めの言葉が印象的だったが、忘れることなんて出来ないよ・・・とみんな同じ気持ちだっただろう。

後半戦も盛り上がりアンコールも終わり、最後の挨拶へ。客席を見回して「大阪の人もいるし、名古屋もいた・・・静岡も」と出席確認していたのが微笑ましくて、みんな全国から集まって来たんだなぁと実感できた。ライブ自体の感想としては、本人からのメッセージが中盤にあったせいか卒業ライブだけどカラッとして楽しく終われた感じがした。「7年間、お疲れ様」というファンの想いが、そうさせたのかもしれない。


特典会では自分の顔を見るなり「わ!古のオタクが現れた!」みたいなことを言われ、めちゃくちゃビックリしたその表情が一番記憶に残ってしまった。「そうやって人を幽霊みたいに・・・」って返しながら、久しぶりに話せて嬉しかった。明日からも普通にSNSは続けて欲しいとお願いしたのだが、この文章を書いている翌日にも動いていることを確認。まあ、これもいずれは・・・と思うとセツナイが。

せっかくなので、初めて特典会が終わるまで残ってみた。そこそこの人数が残っていて、わかちゃんの本当の最後の挨拶をみんなで見守ることに。去り際に「ワンマンは見に来るね~」みたいなことを言って奥にはけていったので、現場に行けばまた会えるのかもしれない。私のことは忘れてください、みたいな二度と会えないようなことを言っていたのに!

また会える日まで。

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