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確定申告で、家族の医療費をまとめて引く医療費控除を利用して、所得税の減額や還付を受ける。

「どうやって届け出たらいいんですか?」20歳代の男性が税務署のアドバイザーと話しているのが聞こえてきました。「医療費が戻ってくるって聞いたんだけど。」

こんにちは、ユナイトnote担当です。
今のは医療費控除によくある勘違いだと思います。
医療費控除と聞くと、以前、妻の確定申告に付き合い税務署に行った時の彼を思い出します。
彼は、医療費が戻るわけではないことと、金額が該当以下であることを知り足早に去っていきました。



■医療費控除は、医療費を所得から引くことです。

医療費控除は、所得税を計算するときに、所得から医療費を引くことです。
年末調整ではなく、確定申告で計算して提出します。
提出することで所得が下がり、所得税が減り、多く納税していた分が戻ってくることがあります。
ただし、所得税額は所得に所得税率をかけて計算しますので、医療費分がそのまま戻ってくるわけではありません
冒頭の彼はこの辺りを勘違いしていたと思われます。

■計算の対象となる日は、その年の1-12月分です。

医療費控除では、一年間(1/1~12/31)の医療費が対象になります。
計算の対象日は「実際に支払った日」です。
例えば2023年12月に入院し、2024年1月に支払った場合は、1月が支払日ですので、2024年分の確定申告に含まれます(実際に申告を行うのは2025年)。

■金額に制限があります。

医療費の全額を所得から引けるわけではなく、以下の計算で算出した金額を引くことができます。
(医療費-保険金等の補てん額)-10万円=所得から引ける金額
『所得から引ける金額』は、最大200万円までです。
また『10万円』は、所得が200万円より多い場合です。低い場合には所得の5%の額になります。

▼保険金等の補てん額

保険金等の補てん額には以下のようなものが該当します。

  • 生保や損保の医療保険やがん保険などの、入院給付金や手術給付金など。

  • 社会保険等で、医療費の支払を給付原因として支給されるもの。例えば、出産育児一時金や高額療養費など。

出産一時金や高額療養費を申請した方は、医療費控除を提出した方も多いかもしれません(私がそうでした。)。

この補てん額は給付金の支払いの要因となったものだけを引きます。
もし引ききれず余った場合も、他の医療費から引く必要はありません。
例えば医療費が25万円かかり、そのうち手術代が10万円だったとします。手術給付金を20万円もらった場合、25-20=5ではなく、10-20=-10。このマイナスは0になりますので、25万円のうち手術分の10万円を補てん額として引きます、25-10=15。さらに固定の10万円を引き、15-10=5。5万円が所得から引ける金額になります。

なお、給付金等はもらった年ではなく要因となった医療費の医療費控除の計算時に利用します。
例えば、2023年12月に医療費を支払い、2024年1月に給付金をもらった場合は、2023年分の医療費控除の補てん額に入れて計算します。

■生計を一つにしている場合は、集約して計算することができます。

生計が同じ場合は、一人に医療費を集中させて医療費控除の申請ができます。
一般的には、所得が最も高い方で申請することが有利になります。

■医療費控除の対象になるもの、ならないもの

医療費控除の対象になるものとならないものは以下のような場合です。

医療費控除の対象になるもの:

  1. 医師の診察料:医師による診察にかかる費用。

  2. 薬代:医師の処方による薬の費用(予防や健康増進は対象外)。

  3. 入院費:病院やクリニックでの入院にかかる費用や部屋代や食事代など。

  4. 通院費:医師の診療を受けるための通院費。タクシー代(出産のためや環境などの要因でバスや電車が使えない場合)。

  5. 手術費:手術に必要な費用。

  6. 歯科治療費:歯科医師による治療にかかる費用。

  7. 医療機器や医療用品の購入費:医師の指示により購入した医療機器や医療用品の費用。

  8. リハビリテーションやマッサージの費用:医師の指示により受けたリハビリテーションやマッサージなどの費用。

  9. 出産費用:出産に伴う医療費や入院費など。

医療費控除の対象にならないもの:

  1. 人間ドックや健康診断の費用:一般的には控除の対象となりません。ただし、診断の結果、重大な病気が発見されて治療をする場合などは含まれます。

  2. 通院費:ガソリン代や駐車場代。タクシー代(電車やバスが使える場合)。

  3. 眼鏡や補聴器などの購入費:治療を受けるために直接必要でない、視力や聴力を補助するための器具の購入費用。

  4. セルフメディケーション税制:セルフメディケーション税制を選択した場合のすべての医療費や薬代。


イメージです。

■まとめ

今回は、医療費控除について取り上げました。
計算上の差し引きがあったり、対象になるのかならないのかなど、複雑です。
苦労のわりに戻ってくる金額はそれほどでもないことも多いかもしれません。
しかし、金額を積み重ねることとこうした制度を利用する慣習を持つことは悪いことではないと思います。
制度利用で一番大変なのは、書類を整理することとフォーマットに合わせ正しく入力することだと思います。
私も妻の出産時に医療費控除をe-Taxで確定申告しました。
主にレシートなどを整理していたのは妻なので、一番大変なのは妻だったと思います。私は、計算と入力だけでした。それでも面倒だと思いましたし、入力失敗してやり直したりしてイライラしました。
ただ過ぎ去ってみれば「まぁこんなものか」と思っています(あくまで量が少なく単純で、ごくたまにしか行わない人間の感想ですけれど。)。

お忙しい中、最後までお読みいただきありがとうございました。
制度を知って、活用していきましょう。

※記事内容の正誤に関わらず、読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。
※私なりに言い換えた表現を使っているため、より正確な内容を知りたい場合は以下の■参考をご覧いただければと思います。


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■参考

▼国税庁

No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)|国税庁 (nta.go.jp) 
医療費を支払ったとき|国税庁 (nta.go.jp)
No.1122 医療費控除の対象となる医療費|国税庁 (nta.go.jp)
No.1124 医療費控除の対象となる出産費用の具体例|国税庁 (nta.go.jp)
医療費を支払ったとき|国税庁 (nta.go.jp)
医療費を補填する保険金等の金額のあん分計算|国税庁 (nta.go.jp)